第51回気象予報士試験 実技1 問2

第51回気象予報士試験 実技1 問2(1)

① 低気圧の移動方向と移動速度

低気圧の位置を転写して、距離と長さを測る問題です。

低気圧の位置を正しく転写することが、まず最初のポイントですね。

低気圧の位置を転写する方法は、トレーシングペーパーを使う方法と、コンパスで記入する方法があります。

わたしは専らコンパスを使う方法を利用しています。
動画で説明しているので『低気圧中心位置を描き写す方法』をご覧ください。

12時間予想位置と36時間予想位置を図示するとこんな風になりました。

低気圧Aは青色、低気圧Bは赤色で示しました。
わたしのプリンタ出力用紙で測定した長さをmmで表示しています。
(実際の問題用紙とは、若干異なるかもしれません)

移動方向は矢印の方向を見れば一目瞭然ですね。
低気圧A北北東
低気圧B北東
です。

ここで、長さの基準になるのは、北緯30°~北緯40°の距離が600海里(緑色の線)であることです。

12時間後から36時間後ですから、時間経過は24時間ですね。
ノットは時速1海里の速さですから、600海里の長さは25ノットに相当します。
(600NM/24H=25KT)

問題用紙上の長さを測定して、比例計算をすれば、速度が決まります。

低気圧A 22mm/40mm×25KT=13.75KT ⇒ 14ノット
低気圧B 28mm/40mm×25KT=17.5KT ⇒ 18ノット

模範解答では、Aが13~15KT、Bが16~17KTを正解範囲としているので、多少ずれても大丈夫です。

実は、面倒な計算をするよりも間違いが少ない方法があります。

トレーシングペーパーを使って、『ノット専用ものさし』を作ってしまうのです。
.
北緯30°~北緯40°の距離が、25ノットでしたね。
これを5等分した目盛りをつけて、ノット専用ものさしを作ります。
このものさしを、低気圧間の距離に当てれば、計算をしなくても、目分量のノットが分かります。
.

の低気圧Bでは、18ノットが読み取れました。
17ノット、18ノット、19ノットが正解範囲ですから、精度的にはこれで十分です。
.
計算ミスで、とんでもない値を出すリスクも軽減されます。
もちろん、低気圧Aでは 14ノットになりますよ。

動画を作ったので参考にしてください。

計算が苦手な人は、お好みで使い分けてください。

② 低気圧の中心気圧の変化傾向

低気圧A 12時間後(1,008hPaの閉じた低気圧)⇒36時間後(1,012hPaで閉じていない)
低気圧B 12時間後(1,008hPaの閉じた低気圧)⇒36時間後(1,012hPaで閉じていない)

低気圧A、B共に、12時間予想では 1,008hPaの等圧線が閉じており、明確な低気圧が表現されています。

しかし、36時間後では 1,012hPaの等圧線の内側ですが、1,008hPaの等圧線は消えています。
これは、4hPa単位では表現できない浅い低気圧であることを示しています。

こんな絵でイメージが伝わるかな?

したがって、低気圧A、B共に『浅くなる』が正解です。

③ 正の渦度域の南縁移動

課題の正の渦度域の南縁の動きをgifアニメにしたのでご覧ください。

青と緑の星マークの動きを追いかけてください。
上に上にと動いていることが分かりますね。

ですから、135°も140°も『北上』しています。

あとは数値を読み取るだけです。

12時間後

目分量で読み取ると、33°と35°ですね。

36時間後

140°のラインは間違いようがありませんが、135°には、新しい正渦度域が発生しています。
紫色のラインを読み取ると、『南下して32°』になってしまいます。

この前の24時間の図を参照しながら動きを追えば、南下にはならないはずですから、惑わされないでください。

計算してみると次のようになります。
135°は『北上』して、移動距離は37°-33°=『4°』
140°は『北上』して、移動距離は37°-35°=『2°』
(3°でも正解)

このような問題では、わざわざものさしを当てるまでもなく、目分量で大丈夫です。
その程度の誤差は、正解として吸収してくれます。

第51回気象予報士試験 実技1 問2(2)

これは難しいです。
温暖前線と寒冷前線の断片的な位置はなんとなく分かりますが、
どこまで伸ばすか
つながるのかつながらないのか
判断ができませんでした。

とりあえず、図9の湿潤域に薄いブルー(湿数3℃以下)に着色して、図10の相当温位集中帯の南縁付近に、風のシアニチイしながら、温暖前線候補(赤)と寒冷前線候補(緑)のラインを引いてみました。

風の循環から判断して、赤い星マークあたりが、低気圧の中心のようです。

残念ながら、わたしの判断で描く前線ラインはここまででした。

前線解析の概ねの位置は正しいようですが、温暖前線と寒冷前線の接点の部分については、模範解答のように接続させる根拠が見いだせませんでした。

東京堂出版の『第51回模範解答と解説』も参考にしましたが、温暖前線と寒冷前線の接点に関する記載はなく、わたしには理解できませんでした。

ひょっとすると、問題文にある『湿潤域に着目して』との指示は、温暖前線の南方に飛び出した湿潤域が寒冷前線との接点になるというヒントなのかもしれませんが、ちょっと分かりません。

温暖前線も寒冷前線も、一般的に前線とは次のような構造になっています。

暖気と寒気が接触しており、その境界に『前線帯』があります。
前線帯が、『相対温位集中帯』と呼ばれる部分です。
前線帯と暖気が接触している面が『前線面』です。

通常は、前線面と地表との接触地点が『前線』と呼ばれます。

ところが、この問題では850hPaでの前線面の位置を書かせようとしていますから、ちょっと特殊な例なのです。

 などともっともらしい説明を書きましたが、この問題は、わたしにはお手上げですな。
.
解説をあてにして勉強している皆さん、役に立たなくてごめんなさい。
m(_ _)m

第51回気象予報士試験 実技1 問2(3)

① 降水域の方向

低気圧A、Bの中心に赤い星マークを、降水の極大域に青い丸を描いたのが下図です。
なお、大きなグリーンとオレンジの丸は、中心から500kmの目安です。

低気圧Aから見ると降水域は、北~東の方向に広がっています。

問題は、『低気圧中心から見てどのような位置か』と聞いているので、どう答えたらよいか?

東とか北東でも良いのかもしれませんが、『進行方向』あるいは『進行方向前面』というのがスマートな気がします。

模範解答では、『低気圧の東側』となっていますが、北東側の方が適切でしょうね。
それよりもやっぱり進行方向前面が好みです。

低気圧Bから見れば、『低気圧の中心付近』としか答えようがありませんね。
模範解答は『低気圧中心』となっていますが、これでいいと思います。

② 予想降水量の極大値

これは、簡単ですね。

上の図に書き出した通りです。
低気圧Aでは、『67』mmと『48』mm
低気圧Bでは、『44』mm

③ 乾燥域の特徴

湿数が大きい部分が乾燥している領域になります。

図9に2の低気圧位置を記入して、共通する乾燥域のラインを引けばこうなります。

等湿数ラインは6℃ごとに描写されているので、グリーンのラインは12℃になります。

共通して見られる特徴と問われれば、『西側に広がっている』ことでしょう。

これらを30字で表現するとこんなふうになります。

『2つの低気圧の西側に湿数12℃以上の乾燥域が広がっている。』(29字)
模範解答は
『低気圧の西側に湿数12℃以上の乾燥した領域が分布している。』(29字)

単語が少し違うけれども、これは、満点と言って良いでしょう。

④ 相当温位の高低の分布

相当温位線の図は、細かい線がごちゃごちゃして見づらいのですが、15℃ごとの太線で概要を読み取る習慣をつけると、理解が楽になります。

この図の場合、こんなイメージになります。

日本海中央部から北側に330K以下の寒気が広がり、一部が九州の西側に進出しています。

この図を頭に入れてから、低気圧A、Bの詳細を観察します。

低気圧Aの周辺

半径500kmの範囲について、相当温位3K刻みで色を付けました。

低気圧の北側に高温域がありその北側に低温域
低気圧の南側に低温域がありその南に高温域
4段階の高低差の分布があります。

相当温位高低の分布を地上低気圧の中心との位置関係を25文字で。

『低気圧の南側の相当温位が低くその南で高い、低気圧の北側で高くその北側で低い。』(38字)

えー!

25文字で、4段階の高低差の表記なんか文字数が足りなくて絶対無理だよ。

ニャンともしょうがないなぁ!!

そうですね。
猫ちゃんと同じように、わたしも困りました。

ここで、問題の意図を考慮してみると、半径500kmにはさほど重要な意味はなく、低気圧中心付近の構造を述べさせようとしているのではないか、とも思えます。

そうすると、低気圧の南側が低く、北側が高い領域であることを書けばよいのではないでしょうか。
(かなり無理矢理の理屈ですが)

そうすると
『低気圧中心の南側の相当温位が低く、北側が相対的に高い。』(27字)
としてみました。
模範解答は
『中心付近の北側で相当温位が高く、南側で低い。』(22字)

やけにあっさりしているなぁ。
こんな解答を求めているなら、半径500kmなんて制限をなくして、
『低気圧中心付近の相当温位の高低の分布について書け』
と出題してくれたほうが、よほどスッキリします。

だって、半径500kmであれば、北側の高い温域のさらに北には低い領域があるし、南側だって低温領域を超えると確実に高くなっているのです。

それは、低気圧の構造に関係がないと言われればそれまでなんですが。

低気圧Bの周辺

低気圧Bの方は、低気圧A低いよりもスッキリしています。

低気圧中心付近に独立した高相当温位域があります。
その北西側で低く、南東側で高い。

でも、20字の制限はきついなぁ。

『低気圧の中心付近で高く、その北西が低く南東が高い。』(25字)

20字の指定に対して、誤差は10%程度に抑えたいので、あと3文字削る。
え~い、『低気圧』を取ってしまえ。

『中心付近で高く、その北西が低く南東が高い。』(21字)

模範解答は
『中心付近で相当温位が高く、西側で低い。』(19字)

西側ではなく、北西だと思うなぁ。
それはともかく、南東側の高温領域には触れなくていいのかなぁ?

これ、難しいです。

模範解答

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