偏西風、右手に赤道暖かい

mail701

偏西風とは、日本上空付近で西から東に向かって吹いている地衡風です。

日本からアメリカに向かう飛行機は偏西風に乗るので、日本に戻る便よりも速く飛べます。

アメリカに向かうときに、飛行機の進行方向の右側が赤道で、左側が北極ですね。

だから 「偏西風、右手に赤道暖かい」 となります。

至極当たり前のことですが、この「語呂合わせ呪文」に込められた意味の深さは、気象の勉強をする上でとても重要なものです。

その全部を語っていると本が一冊書けるほどですが、今週はその中から、たった二つのことだけを覚えてください。

1、温度風の関係による地衡風は、高温領域を右手に見て吹く。(北半球)

2、地衡風は、等高度面の高い方を右手に見て吹く。(北半球)

この二つです。


1、温度風の関係


北半球では高温領域を右手に見て吹きますが、無意味に暗記しようとすると、どちらか分からなくなりますよ。

そんなときに、偏西風に乗っかってアメリカに飛ぶ飛行機をイメージしましょう。

アメリカに向かっている方向の右側が赤道ですね。

赤道は暖かいですね。

そう考えたら、間違うことはないでしょう。

北半球の温度風の関係では、地衡風は高温部(暖かい方)を右側に見て吹くのです。

mail701

この図が意味することそのままなので、絶対に忘れないでください。

「偏西風、右手に赤道暖かい」


2、地衡風の方向


地衡風の吹く方向は、等圧面の高い方を右手に見て吹くか、左手に見て吹くかの覚え方です。

まず、この応援呪文を思い出しましょう。

「層厚あついは空気が軽い、空気が軽いは暖かい」 です。

暖かいところは層厚が厚いのです。

ということは、暖かい赤道は、冷たい北極よりも、層厚が厚いことになりますね。

すると、例えば、500hPaの等圧面の高さは、赤道側のほうが高いことになります。

つまり、北側よりも南側の方が等圧面が高いのです。

北半球の地衡風は、等圧面の高い方(暖かい方)を右手に見て吹くのです。

20130304h5

(南側を手前にすると立体図を描きにくいので、左に90度回転しています)

偏西風は、地衡風です。

「偏西風、右手に赤道暖かい」

の呪文ですが、これに続けて「暖かいから等圧面高い」と覚えれば完璧ですが、赤道が暖かいだけで十分でしょう。

これで、温度風の関係の方向、地衡風の方向で間違うことはありませんね。

蛇足になりますが、地衡風が、気圧傾度力とコリオリ力のバランスで吹くことを知っていれば(当然知っているはずです)、良く見かける次のような図を自分で描けることになります。

mail072

なお、南半球では左右が逆になりますので、注意してください。

(南半球でも地衡風は西風ですから左手が赤道です)

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