第52回気象予報士試験 実技2 問1

第52回気象予報士試験 実技2 問1(1)

①~⑦は、天気図から単純に数値を読み取る問題です。

は北緯を目分量で読み取る問題ですが、北緯38°と北緯39°の境界領域にあります。
手元のプリントを測定して計算したら、38.6°になりましたから、迷います。
だから整数にすれば『北緯39°』が正解なのですが、このような場合は38°も正解にしてくれるので、あまり時間をかけないで、目分量でスパッと決めましょう。

同様に『東経142°』です。

③④は数字を読み取って『1020hPa』『15ノット』です。

『南東』にしか見えないのですが、正式には『東南東』が正解になっていますね。
正解を見たあとで、きちんと作図してみました。

なるほど、こうしてみると『東南東』の方が近いですね。
でも、ま、紛らわしい問題なので『南東』でも正解扱いです。

解説動画

実技2 問1(1)⑤『風向判定』の動画解説です。

は前線記号を見れば間違うことはありません。『停滞前線』です。
漢字で答えなさいとの指定なので『ていたい』などとひらがなで書いたら間違いにされるでしょう。

は中国大陸の低気圧の進行方向ですが、これは迷うことなく『北東』ですね。

⑧⑨は東京の雲形です。

雲記号を読み取ると『層積雲』と『積雲』です。
ただし、雲記号として分離して読むものではなく、観察結果として
『層積雲(積雲から変化したものでない)と雲底高度の異なる積雲との共存』
を表しています。

さぁ答えを書こうと思ったら、雲記号で答えよという問題です。
わたしの記憶の範囲では、この10年くらいでは見たことがない問題ですね。

雲の記号は、まったく分かりませんでした。
これはやられましたね。

そこで、調べたところ、十種雲形について、最も分かりやすく整理していたのがこちらの図でした。
これで、⑧⑨の『積雲』と『層積雲』を確認したところ『Cu』『Sc』でした。
⑧⑨の順番は逆でも良いと思います。


画像出典:あおぞらめいと

十種雲形は、『巻』『高』『層』『積』『乱』の5つの漢字を組合わせて名付けをしています。
漢字にそれぞれ意味があるので、名前を見るだけでどのような雲か見当がつきます。

漢字 英語 記号 意味
Cirrus C・Ci 上層(5~13km)の雲・氷晶からなる
Alto A 中層(2~7km)の雲・水滴からなる
Stratus S・St 水平方向(横)に広がる雲
Cumulus C・Cu 垂直(縦)に発達する雲・対流性の雲
Nimbus N・b 雨を降らせる雲

出典:ちがくのとも

は、8分割の雲量を指しているのは明確なので『8』ですね。
は、過去天気が『雨』です。

問題は、ですよ。
雲の何があるんだろう?って悩みました。
分からなくて答えを見たら『すき間』だって。
えーっ!そんなことかよ!って感じですが、冷静に考えれば、そうだよね。

いやいや、きちんと調べてみたら、雲量10の説明には『隙間なし』という注釈がついているんですね。これなら、『隙間なし』という答えが出て当然です。

気を取り直して、さぁ、続いていきましょう。

雲の記号に関しては、ノーマークだったのでまったく分かりませんでした。
そもそも CLってなんだ?って感じ。

調べた結果を書くと、高度によって3つの分類があります。
・上層雲 CH
・中層雲 CM
・下層雲 CL
ですからは CL(下層雲)に分類される雲種の記号を選べばよいわけです。

鹿児島の下層雲は鏡餅みたいな記号ですね。
これは積雲ですから『Cu』と答えればよいのです。

は、鹿児島の下層雲量は1以下なので、大部分を占めているのはメガネマークの雲です。
こいつは、高積雲なので、答えは中層雲の記号である『CMになります。

いやいや、雲の記号を意識したことがないので、⑧からあとはメロメロですわ。

反省して、勉強しようっと。

第52回気象予報士試験 実技2 問1(2)

舘野の雲頂高度

雲頂高度の目安は、湿潤状態から急激に乾燥状態に変化した点です。
上の図で見ると、露点温度が急変している赤い矢印は、800hPa辺りのちょっと下ですよね。
810hPaまでは届かないような。

10hPa刻みの気圧で答えよとの指定なので『800hPa』とします。

鹿児島の雲底高度

雲底高度の目安も湿潤状態から急激に乾燥状態に変わる点です。
上の図で、露点温度が急に下がるところが赤い矢印で『680hPa』ですね。
これも正解でした。

第52回気象予報士試験 実技2 問1(3)

雲域A、Bとも可視画像で明るく赤外画像で薄暗いので下層雲と判断できます。


雲域Aは全体的に滑らかであることから層状の雲であり、雲域Bは団塊状の凹凸があることから対流性の雲です。

したがって、選択肢から選ぶと『層雲または霧』『積雲』となります。

(a)(b)は、上の理由を30字にまとめれば良いのです。
北上大の解答は
(a)『赤外画像で仄暗く、可視画像では明るく全体に平滑であるから。』(29字)
(b)『赤外画像で仄暗く、可視画像では明るく団塊状の凹凸があるから。』(30字)

模範解答は
(a)『赤外画像で暗灰色、可視画像でなめらかな明白色になっている。』(29字)
(b)『赤外画像で暗灰色、可視画像で粒状の明白色になっている。』(27字)

『仄暗い』と『暗灰色』は、ほぼ同じ表現だと思う。
『明るい』と『明白色』も同等と見てもらえるでしょう。
『団塊状』と『粒状』も許容範囲だと思います。

③④の地上気温と言うのは違和感がありますね。
海上ですから地上というのは適切ではないかもしれませんが、地球に接近した低層の大気の気温と判断して、船舶からの報告を読み取ります。

上図の通り『10℃』『7℃』です。

⑤⑥は、図4の海面水温図から読み取ります。

単純に等温線を読むだけなので絶対に間違えないように。
船舶Xは『6℃』、船舶Yは『10℃』です。

⑦⑧は、地上気温と海面水温の差から判断します。
『冷却される』『加熱される』ですね。

船舶X付近では、海面水温で大気が冷却されて霧が発生して、船舶Y付近では海面水温で温められて対流雲が発生した様子を解明したことになります。

全体を俯瞰するとこうなります。

第52回気象予報士試験 実技2 問1(4)

前線解析の基本は『等相当温位集中帯の南縁付近』です。

は上の図で、赤い線をつけた等相当温位線の値を読み取ればよいのです。
矢印で示したように『348K』ですね。
単位を付してと指示されているので『K』を忘れると誤りにされます。

②は、①で850hPaの348K等相当温位線と地上前線との距離感を与えれたので、それに沿って前線を作図すればよいのです。

図5と解答用紙を重ね合わせて、850hPaの当相当温位線南縁付近を赤色で着色し、赤いラインに沿って適度な距離をおいて青いラインを引きました。

不要なラインを取り除くと解答のラインになります。

上図のように、ほぼ正解のラインの作図が出来ました。

解説動画のご案内

問1(1)⑤『風向判定』に解説動画を付けていますが、他にも問1,問2、問3全部の解説動画があります。
サンプル動画をご覧になって、他の解説動画も見たい方はご利用ください。

恐縮ですが、めざてんサイトの運営費に当てるために有料設定(300円)にしています。
動画撮影に使用したスライドも同時に公開しています。
お支払いはクレジットカードになります。
リンクはこちらです。
⇒ 『実技2』の問1問2問3を全部まとめて300円

模範解答

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コメント

  1. tete より:

    はじめまして。どうしても分からないので質問させてください。
    問1(4)の前線につきまして、前線が中国大陸の低気圧中心につながらないのは何故でしょうか。
    私は図5が予想図ということも考慮してズレと判断し、中国大陸の気圧中心を通るように解答してしまいました。
    ご助言頂けますと幸いです。

    • 北上大 より:

      teteさん、こんにちは。

      >問1(4)の前線につきまして、前線が中国大陸の低気圧中心につながらないのは何故でしょうか。

      どうして、低気圧中心につながると考えたのですか?
      どんな場合でも、低気圧中心に前線が通るとは限りませんよ。

      低気圧中心につながる前線は温暖前線と寒冷前線ですね。
      (閉塞前線もあるけど)
      この中国大陸の低気圧に寒気と暖気のせめぎあいが観測されていませんから、前線の根拠がないのです。
      前線とは、寒気と暖気の境界なのです。

      問4(1)①で、こんな課題がありました。
      『① 図5 に基づき,この前線の東経135°より⻄の部分に対応する850hPa ⾯の等相当
      温位線の値を,単位を付して答えよ。』

      この問題は、梅雨前線の850hPa面の位置を確認させるためなのです。
      ここで384Kと答えたら、地上前線はこれを目安に描画しなさいという誘導なのです。

      低気圧中心の東経129°北緯34°付近は、850hPaの等相当温位線集中帯のど真ん中なので、前線が通る状況ではありません。

      >私は図5が予想図ということも考慮してズレと判断し、

      その判断は間違っています。
      仮にズレた予想図を与えられたら、試験に於いてはそのズレに従った判断をするべきです。
      勝手にズレと判断してはいけません。
      (ズレである根拠が明白な場合は別ですが)

      • tete より:

        北上大 様

        ご返信ありがとうございます。

        >この中国大陸の低気圧に寒気と暖気のせめぎあいが観測されていませんから、前線の根拠がないのです。前線とは、寒気と暖気の境界なのです。

        今までは
        相当温位線集中帯=寒気と暖気のせめぎあい(低気圧が前線を保有している)
        と解釈していた(機械的に解いてしまっていた)のですが、
        ご指摘を受けて他の事例を見てみたところ
        「シアーラインによる寒気と暖気の衝突の有無」
        が重要な指標なのかなという考えに至ったのですが、こちらの解釈で正しいでしょうか?

        私は過去問10年分を3周してそのやり直しに取り掛かっている最中なのですが、少し余裕ができてきて細かいところまで考えが及ぶようになったためか、今まで誘導通り素直に解いて正解していた問題で変に考え込んで間違えるようになってきて、少々へこんでおります。

        ご助言頂けますと幸いでございます。

        • 北上大 より:

          teteさん、

          >相当温位線集中帯=寒気と暖気のせめぎあい(低気圧が前線を保有している)
          と解釈していた(機械的に解いてしまっていた)のですが、

          その解釈で結構です。
          一般的に相当温位線集中帯の南縁付近が前線になるのですが、南縁は問1(4)の中国大陸の低気圧中心を通りませんよね。
          低気圧中心は、相当温位線集中帯の南縁ではなく、集中帯の真ん中にあります。
          だから、前線が通らないのです。

          •  tete より:

            北上大 様

            ご返信ありがとうございます。
            納得いたしました。

            まだまだ理解が不足していると痛感いたしましたので、1月の試験に向けて気を引き締めて勉強して参ります。

            丁寧にご教授頂きありがとうございました。

  2. PKAD より:

    第52回実技2 問1の(2)について質問です。
    舘野の雲頂高度、鹿児島の雲底高度を求めるのに間違えてしまいました。
    例えば鹿児島の雲底高度は地上から持ち上げていくと920hpaとなるので920hpaが答えかと思ったら違ってました。
    雲底高度は乾燥断熱線から湿潤断熱線に移動するので湿っていなければいけないので680hpaが正しい答えだとわかりました。
    という事は680hpaの状態曲線を通る
    等飽和混合比線8と露天温度の破線が交差する900hpaの空気塊が持ち上がって680hpaで飽和した、という事で合ってますか?

    同様に舘野も地上から持ち上げて場合で考えるとどれだけ上昇しても状態曲線と交差せず⁇な状態でした。舘野も地上じゃ無い所から空気が持ち上がってるのでしょうか?

    教えて下さい!お願いします

    それと、鹿児島の雲底高度の説明ですが
    湿潤状態から急激に乾燥〜
    は逆になってます。

    • ジャンボ より:

      ジャンボと申します。
      この問題は、「どの雲の雲底高度」なのか?です。問題では、「鹿児島上空の大部分を覆う雲」について問われており、全体の雲量は7で、積雲が1ということは、ほとんどが高積雲だと分かります。
      高積雲は主に6000~18000ftの高さに現れる中層雲なので、エマグラムを見ると700hpa付近の湿潤域が雲底という結論です。

      • PKAD より:

        ジャンボさんはじめまして、そしてありがとうございます。
        鹿児島上空を占める雲が高積雲で中層雲である事がわかっていれば下層の920hpaなんていう変な答えにはならないですね。やらかしました
        中層雲は大体600hpaから400hpaあたりですか?

        • ジャンボ より:

          PKADさん、こんにちは
          資料では、600hpa以下が下層雲、400hpa以上が上層雲とあるので、そういうことになりますね。
          エマグラムから雲がどの高度に存在しているかを問う問題もありましたよね。
          問1(1)にヒントがあり、天気記号が読めて、雲の出やすい高度を知っていれば、作図も計算も不要な問題ですね。

  3. Gokuh より:

    この場所は、個々の雲ではなく雲の状態を全体として見た観測結果です。
    Synopの8群に当たります

    Cl=8 の雲の状態を表してます。
     層積雲(積雲から変化したものでない)と雲底高度の異なる積雲との共存
     CuがScの下にあっても,また上にあってもよい。Cuが発達し,Scの雲底に達していても,また突き抜けていてもよい。
    ですね。
    https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf
    の52ページにあります

    • 北上大 より:

      Gokuhさん、
      >個々の雲ではなく雲の状態を全体として見た観測結果です。
      >Cl=8 の雲の状態を表してます。
      > 層積雲(積雲から変化したものでない)と雲底高度の異なる積雲との共存
      なるほど、そういう意味でしか。
      それなら、本文の説明も修正が必要ですね。

      雲記号を考えたことがなく、わたしにとっては知識の真空地帯でした。
      ご指摘ありがとうございます。

  4. Kotsume より:

    問1(1)の⑬ですが、「⑧⑨で『Cu』(積雲)と『Sc』(層積雲)を答えているので、その中から選ぶのですが、層積雲のほうがやや上にある傾向なので、ここでは下層雲として『Cu』を答えるようです。」と解説されていますが、鹿児島の下層雲の種類について問われているため、記号から判断してCuとなるのが正解だと思われます(解説でおっしゃっていることは東京の下層雲のことだと思われます)。

    • 北上大 より:

      Kotsumeさん、こんにちは。

      ご指摘の通りです。
      直ちに訂正しました。
      何を書いているんだこいつは!と感じられたことでしょうね。
      画像の切り貼りや修正をしながら長い解説を書いているうちに、頭が混乱したようです。
      申し訳ありませんでした。
      また、ご指摘ありがとうございます。

      • Kotsume より:

        ご確認ありがとうございます、また早速修正していただいたということでご対応の素早さに感激しております。
        わたしもこちらのサイトを活用させていただいて合格できた身ですが、これだけの解説をご自身で作られるというのは相当な労力をかけられていることと思います。外野から気が付いたことだけ指摘するのは少々ずるいかなと思いつつ、今後もサイトを見させていただいて勉強しつつ、私で気がつくことがあればコメントさせていただければと思います。

        • 北上大 より:

          Kotsumeさん、こんばんは。

          おっしゃるとおり一人で作業をしているので、どうしてもポカがありますので、誤字脱字も含めて、間違いの指摘をいただくことはとてもありがたいです。

          あとに続く受験生に迷惑をかけないためにも、お気づきの点は教えて下さいませ。
          今後もよろしくお願いします。

          つい先程、実技2の問2解説をアップしましたが、こちらもミスがありそうで心配しています。