第53回気象予報士試験 実技1 問3

第53回気象予報士試験 実技1 問3(1)

①700hPa の鉛直流と湿数の特徴

図6(下)の低圧部とは、992hPaの等圧線で囲まれたオレンジ色の部分です。

700hPaの鉛直流の特徴

図6(下)の低圧部を図7(下)に当てはめるとここになります。

この特徴を書けば、
・鉛直p速度は正領域である。
この一言で済んでしまいますが、40字で書けということです。

北上大の答え
『関東の南東海上の鉛直p速度は負領域だが、内陸の低圧部は正領域で下降流域である。』(39字)

模範解答は
『関東の南東海上は強い上昇流域だが、低圧部は下降流域または弱い上昇流域である。』(38 字)

さぁ、どうでしょうか。
模範解答は『鉛直p速度』を使用していない、『強い上昇流』『弱い上昇流』に触れている。
この2点の違いですね。

これで、減点されるとしたら、まさに国語の問題だと揶揄されるところです。
でも、合格範囲として70%の配点はもらえると信じたいです。

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700hPaの湿数の特徴

図6(下)の低圧部を図7(上)に当てはめるとここになります。

この特徴を書けば、
・湿数が3℃以上で乾燥している。
この一言で済んでしまいますが、40字で書けということです。

北上大の答え
『関東の南東海上は湿潤だが、内陸の低圧部は湿数が3℃を超えて乾燥している。』(36字)

模範解答は
『関東の南東海上は湿数が小さく湿潤だが,低圧部は相対的に湿数が大きく乾燥している。』(40 字)

こちらも、国語の問題ですね。
でも、この程度書いていれば、満点とはいかなくてもOKだと思いますよ。

②850hPaの気温の特徴

図7(下)における、内陸低圧部はこの領域になります。

この気温の特徴を15字で、ということは「一言で言え」に近いですね。
見てすぐ分かることは、
・12℃の等温線が北に張り出しており、その暖気内にある
・北側の気温傾度が大きい
どう表現したら良いものだろうか。

『温度傾度が平滑な暖域にある。』(14字)
『暖気が北に張り出し暖気核がある。』(16字)
『等温線集中帯の南縁付近にある。』(15字)
色々浮かぶけれども、絞りきれない。

実は、先ヅモ(麻雀用語で、次の手牌を先に見てしまうこと)になってしまうけど、次の③の問題では、この地域の気温の状況が、フェーン現象によって引き起こされるものであることを答えさせています。

ということは、フェーン現象によって引き起こされる気温の状況を記載することを求められているのだと理解すれば、答えの方向性は決まってきます。

そこで、北上大の答え
『周辺より気温が高い領域である。』(15字)

模範解答は
『低圧部には、高温の極値がある。』(15 字)

この低圧部の850hPaにおける気温の特徴がこれなのか!って感じだなぁ。
低圧部の特徴を言えと言う設問で、わずか15字の解答文の中に『低圧部には』ってのは無駄でしょう。
簡潔に言うと『高温の極値』があるということだけです。
これに関しては、私の答えのほうが良いと思います。

③850hPaの気温の要因

図7(下)の風に着目すると低圧部の周辺は、西寄りの風ですね。
ここで、参照しなさいというのがこの地形図です。

オレンジの部分が気温が高い
西寄りの風が吹いている
西側には山岳がある

こんな条件で、オレンジ部分の気温が高い理由と言われれば、
『山越え気流によるフェーン現象。』(15字)と答えるでしょう。

模範解答は
山岳の風下の下降流による昇温(フェーン)。』(15 字)

まぁ、これは良かったんじゃないでしょうかね。

第53回気象予報士試験 実技1 問3(2)

閉塞点を決めさせる問題ですね。

閉塞点の決め方として一般的に言われていることは、こんなことです。

  • 700hPa面の上昇流の極大点付近
  • 降水量極大地点付近
  • 500hPa面の強風軸の直下

あと、寒冷前線の位置は

  • 850hPa面の等相当温位線の集中帯の南縁
  • 風のシアライン

こんな要素を加味して決めたのがこちら
850hPaのラインを基準にして少し南側

解答図に移したのがこちら

模範解答と全く同じラインにはならなかったけど、まずまずではないでしょうか。
あと、前線記号を忘れないように。
特に、閉塞前線の記号が注目されると思います。

第53回気象予報士試験 実技1 問3(3)

図6(上)の渦度ゼロラインが、グリーンの線です。
閉塞点付近では『5520m』に対応しています。

閉塞点の上を強風軸が通っていることを確認させる問題ですね。

第53回気象予報士試験 実技1 問3(4)

図10の地形図を使えということは、山岳の風上と風下の違いを探せということなのでしょう。

ということは、日本列島の内部を細かく観察して、上昇流と下降流の解析をしなければなりません。

図9を拡大して、要因になりそうな項目を着色した図がこれです。
前線位置は、問2(2)②の850hPaの前線位置を描き写しました。

  1. 日本列島の輪郭を青いライン
  2. 前線位置は赤いライン
  3. 風の向きを赤色の矢印
  4. 上昇流域を緑色で着色
  5. 上昇流の極値付近を濃いグリーン
  6. 下降流域は白色

第一の設問は『前線付近の鉛直流の分布の特徴』ですが、

寒冷前線は上昇流域と下降流域との境界にありますが、寒冷前線の構造から考えれば、ごく自然なことです。
一方温暖前線は全般に上昇流域にあり、特に上昇流が強い点を通っています。

第二の設問は『本州付近の地形の影響による特徴』です。

図9のハッチングだけでは分かりにくいですが、本州中央部の上昇流域に着色すると、越後平野(新潟県)付近が下降流域が目に付きます。
風向は南~南西風で、岐阜県と越後平野の間には日本アルプスがありますから、山岳による上昇流と山越えの下降流が発生しています。
出題者は、おそらくこの現象を書かせたいのでしょう。

ということで、45字にまとめてみます。

北上大の答えは
『寒冷前縁の暖域と温暖前線付近は上昇流域で、南~南西風により山岳の南側は強い上昇流域である。』(45字)

下降流のことには触れませんでしたが、地形の影響による特徴と問われたら、山岳南面の上昇流で良いのかなと思いまして。

模範解答は
『前線付近および山地の南~南西斜面では上昇流域,山地の北~北東側では下降流域になっ
ている。』(44 字)

そうか、前線付近と本州を分ける必要がなかったのか。
それで、文字数が苦しくなったんだな。

それにしても、下降流域の説明に解答文字数の半分を費やす必要があるのだろうか。

第53回気象予報士試験 実技1 問3(5)

①GMSガイダンスは何倍

図6(下)において、東海地方の前12時間降水量予想は下図の通り97mmです。

一方、GSMにおける東海地方の予測降水量は黄色(200mm)です。

単純に割り算をすると 200/97=2.06 となり
小数点第1位で答えると『2.1倍』です。

②強雨域分布の共通点

図10に着目してということは、前問の問3(4)の山岳南側の上昇流域で降水量が多いことと同じことを書けばよいのでしょう。

20字ではあまり多くのことは書けませんね。

北上大の答え
『強雨域は本州山地の南側に分布している。』(19字)

模範解答
『山地の南~南西斜面に沿って分布している。』(20字)

まぁ、これはこんなもんでしょう。
『南側』と『南~南西斜面』が違うと判断されたら、それまでのことで仕方ありませんが、おそらくそういう判定はないものと思います。

③降水量が多い場所の違いとその要因

『MSMガイダンスは、・・・・・』で55文字です。

これは、降水量予想図を見た瞬間に感じることで、55文字にどのようにまとめるかだけの問題です。

要は、GSMは格子サイズが20kmと粗いので実際の山岳地形をモデル地形では表現できません。
そのため、細かな山岳による上昇流域が表現できず、まとまった降水域としてなってしまいます。

一方、MSMは格子サイズが5kmで、GSMの4倍細かいので、実際の地形に近い降水域の表現ができます。

こんなことを、『MSMガイダンスは、・・・・・』で55文字で表せばよいのです。

書くべきポイントは次の2点

  • 降水量が多い場所の違い
  • その要因

北上大の答え
『MSMガイダンスは、GSMよりもモデル地形が実際の地形に近いので、降水量が多い場所が細かく予想できている。』(53字)

模範解答
『MSMガイダンスは、MSMのモデル地形の分解能が高いため、実際の山地の南西斜面を中心にきめ細かく予想している。』(10+45=55 字)

表現力の差はあるのかもしれませんが、これなら満点をもらえてもいいでしょう。

第53回気象予報士試験 実技1 問3(6)

①寒冷前線通過時刻とその根拠

一般的に寒冷前線が通過するときにはこんな現象が発生します。

  • 気温が下がる(暖域から寒域へ)
  • 気圧が下がって戻る(気圧の谷の通過)
  • 風向が南南西方面から北北西方面へ変化する
  • 降水量が増える(積乱雲の発生)

問題文で、風向きと気温がヒントになるよって教えてくれていますから、その2つを見てみましょう。

通過した時刻は『440分』です。

風と気温について30字程度で述べよ、

北上大の答え
『風向きが南南西から西南西に急変して、気温の急低下があった。』(29字)

模範解答
『風向が南南西から西南西へ変わり,気温の下降が始まったため。』(29 字)

まぁ、これは合格点でしょうね。

②前30分降水量最大値と時刻

降水の棒グラフは、10分間降水量なので、前30分は連続した3本の棒の合計になります。

降水量は『40mm』 時刻は『520分』

30分間の降水量が40mmですから、平均降水強度『mm/h』に変換すればよいのです。
つまり、40mm/30分×60分/h=80mm/hになります。

平均降水強度は『80mm/h』

③表面流量(表面雨量指数)

何も難しく考える必要はありません。
1km2の面積に1時間に降った40mmの水がそのまま流出したら毎秒何m3に換算されるかという算数です。

(40mm/h×1km2)/3,600sec=
の計算式ですが、単位を合わせる必要があります。

1km2は1,000,000m2
40mmは0.04m

(0.04m/h×1,000,000m2)/3,600sec=『11.1m3/sec』になります。

④表面雨量指数最大値

前30分間降水量の最大値は、80mm/hでしたね。

この数値で、③と同じ計算をするのですから『22.2m3/sec』になります。

⑤発表される危険度分布基準値

表面雨量指数が22.2ですから、普通に判断すれば、発表される基準は

基準基準Ⅱ(警戒)でしょう。

巻末

解説動画のご案内(準備中)

完成したらここに掲示します。

模範解答

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