第53回気象予報士試験 実技2 問3

第53回気象予報士試験 実技2 問3(1)

①トラフの正渦度極大値

地上天気図(左)と500hPa 渦度解析図(右)を並べてみます。
位置はほとんど同じですね。

正渦度極大値は『129×10-6/s』(←単位を忘れないように)

位置関係を見ると、地上低気圧中心のほぼ真上に500hPaの渦度極大値がありますね。
『この地上低気圧とトラフとの位置関係を20 字程度で述べよ。』という設問なので、主語は地上低気圧にすべきなんでしょうね。

位置関係
北上大の答え
『地上低気圧は500hPaトラフの真下にある。』(22字)

模範解答
『地上低気圧はトラフの直下にある。』(16字)

直下と真下の違いだけど、許容範囲でしょう。

②正渦度極大点の位置と移動

必要な情報を1枚の図にまとめました。

18日21時の正渦度極大域の位置は、佐渡ヶ島付近から南東に移動しているので、青い星マークの『北緯:37°』『東経:143°』です。
ここまでは、目分量でも問題ないでしょう。

速さは、移動距離を12時間で割れば良いのです。
単位はノット(海里/h)で求められているので、距離は海里で計算します。

18日9時の位置(佐渡ヶ島付近)から18日21時の長さは、私のプリントで17mmでした。
北緯30°~北緯40°間(600海里)の長さが、38mmでしたから、
移動距離は、600/38×17=268海里
これを12時間で割ると268/12=22.3
速さ:22ノット』

東経140°までの長さは7mmなので、経過時間は12h×7/17=4.9h
つまり、18日9時から5時間後は『時刻:18日14時』になります。

③新しい低気圧発生の予兆

上記の正渦度極大点の移動速度が22ノットで、図7(下)の関東の東海上の低気圧とマッチしています。

一方、図1の佐渡付近の低気圧の移動速度は10ノットでしたので、この低気圧とは違うというわけですね。

『図1に⾒られる気圧分布の特徴を,等圧線の値低気圧の発⽣の状況に⾔及して60 字程度で述べよ。』
ということなので改めて図1を見てみましょう。

キーワードは3つです。
気圧分布の特徴』『等圧線の値』『低気圧の発⽣の状況

新低気圧発生に関与している等圧線の値は、状況判断でも位置的にみても1008hPa の等圧線ですね。
関東の東海上に発生した新低気圧も1008hPaですから、間違いありません。

低気圧の発生の状況はどうでしょうか。
佐渡付近に中心がある孤立した低気圧が、どう変化するかがポイントです。
1008hPa等圧線の形状を見ると、低気圧中心が北端に偏り同時に南半分が膨らんで、新しい低気圧領域が広がりつつあるような様相を呈しています。

時間経過とともに、上空トラフの正渦度極大域と結びついて新しい低気圧を形成した。
このような気圧分布の特徴を60字で書けばよいのです。

しかし、図1には500hPa の情報はないので、トラフの正渦度極大値に触れてはいけないみたいですね。
60字の文章は長いからまとめるのが難しいですね。

北上大の答え
『1008hPaの孤立した低気圧内部で低気圧中心が北端に偏り、同時に南側に低気圧領域が広がり、新しい低気圧が発生しつつある。』(61字)

模範解答
『1008hPaの等圧線で囲まれた領域が低気圧中心の南東側に広がり、関東の沿岸付近に新たな低気圧が発生しかけている。』(57字)

こんな長い文章の採点はどんな基準なのか分かりません。
ほとんど同じようなことを書いたつもりですが、『南側』と『南東側』の違いとか、『関東の沿岸付近』に触れていないことが減点材料になるのかならないのか。

配点を計算してみると、この60文字だけで6~7点はありそうなので、下手な作図問題よりも時間をかけて丁寧な文章を作るべきです。

第53回気象予報士試験 実技2 問3(2)

①暗域Qの動き

暗域Qが、正渦度域の北縁に沿って走っている特徴が変化しなければ、下図のような位置にあると予想できます。

左右を比較してみると、一見、停滞しているようにも見えます。
しかし、問題文では『九州付近における暗域Q』と細かい指定をしており、暗域Qの全体のイメージを問うている訳ではありません。

改めて九州付近に着目してみると、18日9時には山陰付近にあったのが、21時には福岡まで南下しています。

したがって答えは『:南下する』が正解です。

②暗域Qが南下する根拠

①ですでに書いたように、18日9時に暗域Qの南に接している正渦度域の北縁(渦度ゼロ線)の位置が、山陰付近から九州まで南下したからですが、これを40字にまとめます。

北上大の答え
『暗域Qの南に接している正渦度域の北縁が、山陰付近から九州まで南下するため。』(37字)

模範解答
『暗域Qのすぐ南側にのびる500hPa面の細長い正渦度域が九州付近で南下するため。』(40字)

これは、ほとんど同じ意味のことを書いていますが、正渦度域を示すのに『500hPa面の』という形容詞が必要かどうかで採点が変わりますね。
自明のことなので、限られた文字数の中で、あえて『500hPa面の』と書かなくても良いような気がします。
だけど、採点結果は分かりません。
巻末

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模範解答

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