第49回気象予報士試験 実技2 問2

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

第49回気象予報士試験 実技2 問2(1)

[1]
さっと等高度線を眺めてトラフを描けと言われると、等高度線の湾曲部を結んでこんな線を描いてしまいそうですが、これでは間違いです。

トラフの解析には、次のような要素が考慮されます。

  • 等高度線の湾曲部
  • 正渦度極大点
  • 地上前線との対応(北西部)

この問題では、等高度線の湾曲部以上に、正渦度極大点の配列が大きなヒントになっています。

3つの要素を解答図に記入するとこんな風になりました。

この図で注目すべき点は、地上前線が朝鮮半島辺りでキンクしていることです。
キンク部分から南西に伸びる前線に対応して、その北西部に正渦度極大点の列があり、5820hPa等高度線の湾曲部につながっています。

このように解析すると、トラフ位置は大体この辺(青い太線)だろうと推測できます。

正渦度極大値を注意深く観察しながら線を引くと、ほぼ模範解答図と同じ線が描けます。

[2]
図5下に雲域の図を重ねてみるとこうなりました。

緑色で示した雲域を南北に半分に分けて、北側が下降流、南側が上昇流域にきれいに分かれています。
南側は、前線付近から駆け上って雲を作っている上昇流だと考えられます。

解答は25文字なので、余計なことをごちゃごちゃ書く余裕はありませんから、見たママを素直に表現すればよいでしょう。

「雲域の北側は下降流域、南側は上昇流域である。」(22字)

あれ、25字に対して3文字少ない。
なんか、用語の選定を間違えたかな?

模範解答は、『南半分は上昇流域、北半分は下降流域になっている。』(24字)

『北側、南側』を『北半分、南半分』としているのは、より正確な表現ですね。
文字数の一番の違いは『である』が『となっている』で3文字多いところでしたが、あまり関係ありませんね。

また、北側を先に書いても、南側を先に書いても、採点には関係ないと思います。

第49回気象予報士試験 実技2 問2(2)

[1]
問われている要素を整理しましょう。

  • 雲分布の特徴
  • 低気圧との位置関係
  • 雲頂高度

この3点ですね。

分かりやすいことから見ていきましょう。

低気圧との位置関係は見たままですから分かりやすいですね。
雲頂高度は、下層雲は可視画像で判断し、雲頂高度が高い雲は赤外画像の白さで判断します。
可視画像を見ると、低気圧中心の北海道の地形図ラインが見えないほど白いですね。
この現象から、雲頂高度が低い下層雲が低気圧中心を覆っていると判断できます。
また、赤外画像よりも東の方への広がりが大きいです。

赤外画像では、雲分布は低気圧中心の東側に広がり、低気圧中心の稚内付近の地図ラインがはっきり見えます。
ということは、低気圧の中心付近には雲頂高度が高い雲は少ないと言えます。
実はこの現象は、温帯低気圧が閉塞するときに現れやすい雲の状況なのです。
上昇流は、低気圧中心から離れて東側の閉塞点付近に移動するため、雲頂高度が高い雲域は東側に離れたところに移動します。

一方、バルジを形成する上昇流から離れた下層雲は北東からの風に乗って低気圧中心付近に流れてきます。

図1の天気図からも、この低気圧が閉塞直前の状態出ることが読み取れます。
そんな状況であることを踏まえて、50字の長文を書いてみました。

『雲頂高度が高い雲域は低気圧から離れて東側に分布し、高度が低い雲域は低気圧を含めて東側に広く分布している。』(52字)

模範解答は
『雲頂の高い主要な雲域は低気圧中心の東側にあり、低気圧の中心付近は雲頂の低い雲に覆われている。』(46字)

50文字の長文解答を、まったく同じ文章で書くことなどできませんよね。
この程度の表現の違いなら、わたしは満点をあげちゃうよ!
だけど、審査員が何点くれるかは分かりません。

[2]
図5上から、関連部分を切り出すとこうなっています。

極大値は150ですが、単位を付してと指示されているので『150-6/s』が答えになります。す。単位を書かないと誤りです。

地上低気圧中心から見た方角は、東か東北東か悩むところですが、8方位との指定なので、東北東は選べませんから『東』になります。

第49回気象予報士試験 実技2 問2(3)

[1]
地上前線に対応する当相当温位線といえば『等相当温位線集中帯の南縁付近』とおまじないとして覚えておいてください。

図6に地上前線を記入して、その北側にある等相当温位線集中帯の南縁に赤いラインを描きました。
このラインの温位を読み取れば良いのです。

でも、ごちゃごちゃした等相当温位線の値を読み取るのは、ちょっとコツが要ります。

そのコツとは、太線の温位を読み取って、そこから何本目かを数えることです。
太線は15k単位で表示されています。
300,315、330,345の順です。
細線は3K刻みで作図されています。

この赤い線は、330Kの太線から高温側に2本目なので、『336K』になります。

[2]
15日9時は24時間後なので、図11のT=24の図から、『等相当温位線集中帯の南縁付近』を読み取ると図のラインになります。

北海道付近で温位線がバラけるので、336Kのライン1本ではつながりません。

一方、図8の地上天気図から前線を読み取ろうとするのは至難の業です。
風のシアラインと降水帯から推測して、この辺りかなぁ?という感じです。

結局、問2(3)[1]の解答図を参照して、850hPaの等相当温位線集中帯の南縁付近と地上前線とのズレ具合を参照しながら描いたラインがこれ。

停滞前線の記号がないと減点されます。

これは、模範解答とぴったり同じラインを描くのは難しいです。
模範解答と比べると長さが違いますが、ごめんなさい、よく分かりません。

第49回気象予報士試験 実技2 問2(4)

[1]『北西』
図5に地上の台風中心を記入するとこんな位置関係になります。

[2]『36』時間後
各々の読み取り正渦度極大値は次の通りです。

  • 初期+268(図5)
  • 12時間+246(図7)
  • 24時間+361(図8)
  • 36時間+461(図9)
  • 48時間+311(図10)

[3]『200』km
トレーシングペーパーで『W』の位置を写し取って、実測したところ
・台風中心と高温域中心の長さは6mm
・緯度10°間の長さは34mm
1110kmx(6/34)=196km

答えは、50km単位なので、200kmになります。
実際には、こんな計算をしないで、大体5分の1と見当をつけたら200kmと解答します。

[4]『後方』
8方位でもなく16方位の指定もされていないので、どうする。
『進行方向の?』と問われたら、文脈から『前・後・左・右』を選ぶことになりますね。

[5]『外側降雨帯』
湿潤域が湿数6℃以下なので、こんな形になっています。
赤い星が、地上の台風中心位置です。

周辺の円弧状の部分をなんと表現したら良いでしょうか。
普通に思いつくのは『スパイラルバンド』ですよね。

模範解答は『外側降雨帯』だって。
そんなモン、聞いたことがないぞ!

『スパイラルバンド』だろう。
なんて、ブーたれて、念のために調べてみたら、気象庁のサイトにしっかり載っていました。

勉強不足を露呈してしまいました。
でも『スパイラルバンド』も気象庁で使っている用語なので、点数がもらえるかも?

[6]『北東』
24時間(図8)の湿潤域はこうなっています。
台風中心から大きく伸びている方向を、8方位で答えれば『北東』ですね。

[7]『前線』
問2(3)[2]で解析した前線を前提にして、この問を見れば『前線』しか考えられません。

[8]『縮小』
明らかに小さくなります。
『小さくなる』を『▲▲する』と表現するなら、『縮小する』でしょうね。

[9]『450』
図5下に地上台風位置を書き込みました。
北東象限の風が強い点を探すと、50ノット、55ノット、60ノットの風があります。

最も風が強い60ノットまでの長さを計り、計算をすると441kmになりましたので、50km単位にすると、『450』kmが答えになります。

わたしは受験していないので本物の問題用紙がありませんから、公開されたPDFを自宅のレーザープリンタでA4用紙に出力して使用しました。
このプリントでは、緯度10°間(1,110Km)が34mmでした。
逆算すると50kmが1.5mmに相当します。

つまり、1mm読み違えたらアウトなので、正確な作図と読み取りが必要になります。

[10]『200』
これは図11から読み取ります。
85ノットが2つありますが、どちらもほぼ『200』kmとみて良いでしょう。

[11]『北北東』
[12]
『南南西』

これは簡単ですね。
図10を使います。

第49回気象予報士試験 実技2 問2(5)

台風が温帯低気圧化するときの兆候は
台風中心の対称構造(円形)が崩れる
強風域が中心から離れる

  • (ア)(イ)台風中心の極大点は、低気圧化とは関係ない
  • (ウ)(エ)暖気核は台風の特徴
  • (オ)スパイラルバンド(外側降雨帯)は台風関連の現象
  • (カ)(キ)湿潤域の円形構造が崩れ始めたのは温低化の兆候
  • (ク)(ケ)強風域が中心に近いのは台風の特徴
  • (コ)気圧配置の円形構造が崩れるのは温低化の兆候

模範解答

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