低気圧の発達条件としての正渦度移流

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    • #4421
      Yoshiken
      ゲスト

      低気圧の発生、発達条件として前面での暖気の移流と上昇流、温度(気温)傾度の増加、トラフを結ぶ軸が西傾などが挙げられますが、43回実技2のように過度場と鉛直流場から「正渦度の移流とその上昇流」を答えさせる問題があります(問題と関連する図は添付のとおりです)。

      正渦度の移流というのがどうもわかったようでわかりません。以下のことについて教えてください。

      1.概念
      正渦度の移流とは、正渦度領域が移動してくるという意味ではなく、

        等渦度線と等高度線が交差している状態、あるいは渦度の大きい領域から小さい領域に向かって風が吹いている状態

      を指すのでしょうか。

      2.渦度の移流と上昇流の概念
      任意の場における鉛直流は、

      温度場(暖気or寒気)による鉛直流 + (500hPaの)渦度場による鉛直流=ある等圧面(ex:700hPa)の鉛直流

      により表されると認識しております。たとえば、低気圧後面では正渦度による上昇流より寒気による下降流が勝るのでトータルで下降流になると思っています。まずは、この認識は正しいのでしょうか。
      渦度の大きい領域から小さいほうへ移流があるということは、たとえ移流の風下側がトータルで下降流域で
      あっても、その下降流の度合いは減る(正渦度による上昇流が増加する)ということなのでしょうか。

      3.地上低気圧と500hPaの渦度の関係
      以下の認識は正しいのでしょうか。

      1と2に関連しますが、地上低気圧とトラフが近ければ(経度換算で数度)、地上低気圧が500hPaの
      負渦度領域に位置するほうが、正渦度領域に位置するより発達度合いは大きいと思います。その理由として、
      仮にトラフを結ぶ軸が直立なら、地上で収束した気塊が途中で発散することなく上層の低気圧の
      周りをグルグル回るだけになり地上で新たな収束を促進することはできないと思います。
      よってとトラフを結ぶ軸が西傾しているほど低気圧は発達する(地上低気圧が負渦度にある方がより発達しやすい)。

      纏まりがない文章で申し訳ないのですが、低気圧の発達という観点から教えてください。

    • #4423
      まさ
      ゲスト

      Yoshikenさん
      こんばんは、まさです。

      1.
      概念ですが、正渦度「の」移流というところに引っ掛かりました。
      確か模範解答では正渦度移流と書かれていたはずです。
      その正渦度移流は、正「の」渦度移流という意味です。
      ”移流”についてもしかしたら誤解しているかもしれません。
      ”移流”の言葉の定義ですが、”風が吹く”ことにより、”ある地点”での”変化”を示します。
      暖気移流なら、「風が吹くことにより、ある地点の気温が上がる」
      寒気移流なら、「風が吹くことにより、ある地点の気温が下がる」という意味であり、
      暖かい(冷たい)空気の動きそのものを指しているのではありません。あくまでも、「ある地点での
      変化」です。
      渦度移流に戻りますが、以上のことから、
      渦度移流とは、「風が吹くことにより、ある地点での渦度が変化する」ことを示します。
      正の渦度移流とは、「風が吹くことにより、ある地点で渦度が増加する」ことであり、
      負の渦度移流とは、「風が吹くことにより、ある地点で渦度が減少する」ことです。
      間違っていけないのは、ここでいう正負は増減の意味であり、正渦度、負渦度ではないということです。
      今回のケースでは、正渦度の正の渦度移流ってことになります。
      (負渦度の正の渦度移流っていうケースもあるってことです。試験では出ないでしょうけど)

      トラフの部分では、トラフ後面で、風が吹くことによって(正)渦度が減少する負渦度移流域があり、
      トラフの前面で、風が吹くことによって(正)渦度が増加する正渦度移流域があることになります。

      (まずはここまで)

    • #4424
      まさ
      ゲスト

      2.正渦度移流域と上昇流域に関して
      気象予報士試験での範囲を超えてしまうので、実際には正渦度移流域が上昇流域と覚えておきましょう。
      簡単に言うと、
      正渦度移流→その地点での低気圧性の流れが強まる→等圧面高度が低くなる
      →層厚が減少する=気層の平均気温が低下=上昇流による断熱膨張によって、気温が低くなる
      →上昇流
      ていう感じです。(イメージが湧きにくいとは思いますが。)

      3.
      3に関しては1での回答でもありますが、定義を見誤っていると思われるので、割愛します。

    • #4425
      まさ
      ゲスト

      まさです。
      追記です。
      熱心に勉強されているので、すでにご存知かと思いますが、
      500hPaで渦度が示されるのは、500hPaが対流圏の”中”層(上層ではない)ので、
      発散や収束が起こりにくく渦度が保存されやすくて、将来の渦度の分布を予測し易いためです。
      当然、地上や上層の300hPaとか100hPaでは発散や収束が起こっているので、渦度は保存されないので、
      数値予報図に渦度分布なんてないですよね。

    • #4426
      Yoshiken
      ゲスト

      まささん、ご丁寧にありがとうございます!私は正渦度移流の「正」の意味を履き違えていました。

      >正渦度移流→その地点での低気圧性の流れが強まる→等圧面高度が低くなる
      >→層厚が減少する=気層の平均気温が低下=上昇流による断熱膨張によって、気温が低くなる
      >→上昇流

      大変わかりやすいご説明ありがとうございます。

      1点だけわからないことがあるため教えてください。
      「層厚が減少する=気層の平均気温が低下=上昇流」の部分の流れです。
      細かい部分になってしまいますが

      「層厚が減少した」した結果、「気層の平均気温が低下」し、「上昇流による断熱膨張」が
      起こるということなのでしょうか。
      それとも「上昇流による断熱膨張」が起こった結果、「気層の平均気温が低下」が起こり
      「層厚が減少する」ということなのでしょうか。

      単に起こる順序の並べ替え・・・という意味になってしまいますが、教えていただけると幸いです。

    • #4427
      まさ
      ゲスト

      Yoshikenさん

      こんばんは。
      あえて、→で書かずに=で書いたのは、順序ではなくて、
      層厚が減少することとは、気層の平均気温が低下することと同意であり、
      その気層の平均気温が低下したことは、上昇流による断熱膨張によって気温が低下
      したとも取れるという意味で書きました。
      なので、順序ではなくて同意っていうことです。

      因みに、暖気移流域も上昇流域に対応します。
      この場合は、層厚は増加し気層の平均気温は高くなりますが、上層等圧面、下層等圧面はそれぞれ、
      上層等圧面が暖気移流によって高くなる=等圧面高度の増加による正渦度減少とも言える=発散
      下層等圧面が暖気移流によって低くなる=等圧面高度の増加による正渦度増加とも言える=収束
      となるので、上昇流域であるとも言えるからです。

      理屈は上記の感じですが、変に理解しようとすると混乱するので、試験では、

      ある地点での上昇流=正渦度移流によるもの+暖気移流によるもの
      という風に覚えておきましょう。

    • #4428
      まさ
      ゲスト

      すみません、訂正です。
      下層等圧面が暖気移流によって低くなる=等圧面高度の低下による正渦度増加とも言える=収束
      です。

    • #4431
      Yoshiken
      ゲスト

      まささん、追加質問に対し詳しくご回答ありがとうございます。
      だいぶイメージしやすくなりました。
      低気圧の盛衰は結構問われるポイントなので助かりました。

    • #8738
      とうり
      ゲスト

      2年前の話題に参加します。同じ、43回実技2問3。500hPa の高度と渦度の場合。低気圧の発達条件として、模範解答では、「トラフの接近により正渦度移流が大きくなる」(一部略)、とあって、正渦度の値は大きくなる、という表現はできますが、「正渦度移流がある」というのも、正答ではないような気がします。正渦度移流となって上昇気流に寄与、としたいのですが、どうなのでしょうか。「大きくなる」は使用したいのですが、値でもないので、迷っています。皆様ご教示ください。   

    • #8739
      電球
      ゲスト

      とうりさん、こんにちは。

      43回の実技2。受験生だった頃のノートを振り返ると
      試験1ヶ月前の段階で、まるで出来てなかった(大汗)
      問3文章題も、いまにしてみればトンチンカン(大汗)

      それはさておき。
      とうりさんの書かれているとおり、正渦度の極大値は
      「大きくなる」ですが「正渦度移流」が「大きくなる」
      では、少し違和感がありますね。
      「強まる」または「強められる」はいかがでしょう?

      図4と図5を比較してみると、
      ①時間経過とともにトラフが近づく
      ②500hPaの等高線の間隔が狭くなる
      ③等高線の形が南に凸になる(曲率が大きくなる)
      ④正渦度の極大値も大きくなる

      正渦度移流、渦度が大きくなるような空気の流れが
      ②と③で強化されています。このあたりを簡略化して

      「トラフ(高度場の特徴)の接近(高度場の変化)で
      正渦度移流(渦度場の特徴)が強まる(渦度場の変化)」

      これで、問題が求めている場の特徴と時間変化を
      盛り込めるのではないでしょうか?

      なお「正渦度移流がある」は、前後でどう変わったか?
      「変化」が書き足りていないと考えられます。

      模範解答の「大きくなる」は、確かに「微妙」だよなあ
      (しみじみ・・・)

    • #8740
      とうり
      ゲスト

      電球様、やっと皆様の話題に参加できるようになりました。書かれているように、「変化」を描写していません、「がある」。「トラフの接近で正渦度移流が強まる」はいいような印象。同時に、「温度場の表現について」の、ワラビ様、古久根様、Yoshiken様の間での議論では、古久根様が「等温線が北に凸」に変わっていくという状況がある(略)正確にはトラフの接近による正渦度移流によっても上昇流が強化される」と書かれていますので、「強まる」、「強化される」はいいように思われます。皆様に追いかけるのに精いっぱいですので、よろしくお願いします。

    • #11699
      とうり
      ゲスト

      正渦度、といえば、この話題を思い浮かびます。当初は、トラフの書き方から始まっていました。そこから、最近では、トラフが例題の如く、問題文に書かれるようにようになって、それと低気圧(中心)との、時間的、あるいは空間的な関係が問われてきています。「結びつく」あるいは、地域的な位置(必ずしもこれを問うていなくても、文字数の関係で入れる場合もある)も文にいれることもあります。そこで、符号ですが、ここはやはり、出題者の意図を読み取るしかしかない。受験生としてそう思います。100点として、30%を減点覚悟で実技はこなしたい。この問題が出れば、点になると思いたい。

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