偏西風とは、日本上空付近で西から東に向かって吹いている地衡風です。
日本からアメリカに向かう飛行機は偏西風に乗るので、日本に戻る便よりも速く飛べます。
アメリカに向かうときに、飛行機の進行方向の右側が赤道で、左側が北極ですね。
だから 「偏西風、右手に赤道暖かい」 となります。
至極当たり前のことですが、この「語呂合わせ呪文」に込められた意味の深さは、気象の勉強をする上でとても重要なものです。
その全部を語っていると本が一冊書けるほどですが、今週はその中から、たった二つのことだけを覚えてください。
1、温度風の関係による地衡風は、高温領域を右手に見て吹く。(北半球)
2、地衡風は、等高度面の高い方を右手に見て吹く。(北半球)
この二つです。
1、温度風の関係
北半球では高温領域を右手に見て吹きますが、無意味に暗記しようとすると、どちらか分からなくなりますよ。
そんなときに、偏西風に乗っかってアメリカに飛ぶ飛行機をイメージしましょう。
アメリカに向かっている方向の右側が赤道ですね。
赤道は暖かいですね。
そう考えたら、間違うことはないでしょう。
北半球の温度風の関係では、地衡風は高温部(暖かい方)を右側に見て吹くのです。
この図が意味することそのままなので、絶対に忘れないでください。
「偏西風、右手に赤道暖かい」
2、地衡風の方向
地衡風の吹く方向は、等圧面の高い方を右手に見て吹くか、左手に見て吹くかの覚え方です。
まず、この応援呪文を思い出しましょう。
暖かいところは層厚が厚いのです。
ということは、暖かい赤道は、冷たい北極よりも、層厚が厚いことになりますね。
すると、例えば、500hPaの等圧面の高さは、赤道側のほうが高いことになります。
つまり、北側よりも南側の方が等圧面が高いのです。
北半球の地衡風は、等圧面の高い方(暖かい方)を右手に見て吹くのです。
(南側を手前にすると立体図を描きにくいので、左に90度回転しています)
偏西風は、地衡風です。
「偏西風、右手に赤道暖かい」
の呪文ですが、これに続けて「暖かいから等圧面高い」と覚えれば完璧ですが、赤道が暖かいだけで十分でしょう。
これで、温度風の関係の方向、地衡風の方向で間違うことはありませんね。
蛇足になりますが、地衡風が、気圧傾度力とコリオリ力のバランスで吹くことを知っていれば(当然知っているはずです)、良く見かける次のような図を自分で描けることになります。
なお、南半球では左右が逆になりますので、注意してください。
(南半球でも地衡風は西風ですから左手が赤道です)