mの置き換え理由は?
KSさん(2013/06/25)
降水過程での雨滴の落下速度の質問です。
Hxx年度第1回、問5です。
mg=ρV2πr2Cd/2 の式の変形で
V2=mg/(ρπr2Cd/2) として
落下速度Vの2乗は、雨滴の半径rの2乗に反比例する。
と考えるのはなぜ間違いなのですか。
一見良さそうですが、比例(反比例)というためには、 Vとr以外の文字はすべて、計算の途中で数値が変わらない「定数」でなければなりません。
しかし、水滴の質量m は定数ではなく、 半径r によって数値が変化する変数です。
水滴の半径が大きくなれば、水滴の質量も大きくなってしまいますからね。
だから、m を消して、 r との関係を式の中で表現しなければならないのです。
実際の問題はこうでした。
(丸数字はパソコンの機種によっては文字化けするので[1]と記載します)
直径1mm程度の雨滴の落下速度(終端速度)について述べた次の文章の空欄()を埋める数値として正しいものを、下記の[1]~[5]の中から選べ。 空気中を落下する雨滴の落下速度は、 雨滴に働く重力(mg)と 逆向きに働く抵抗力(ρV2πr2Cd/2) との釣り合いを表す次式から求められる。 mg=ρV2πr2Cd/2 ここで、mは雨滴の質量、 rは雨滴の半径、 Vは落下速度、 Cdは空気の抵抗係数 gは重力加速度、 ρは空気の密度である。 この式を使って大きさの異なる雨滴の落下速度を比較すると、雨滴の半径が2倍になったときの雨滴の落下速度は約( )倍になる。ただし、空気の密度、重力加速度、空気の抵抗係数は一定とする。 [1]0.5 [2]0.7 [3]1.4 [4]2 [5]4 |
与えれた式を変形して、KSさんと同じ形にします。
そこで、V2=mg/(ρπr2Cd/2)に m=ρ(4/3)πr3 を代入すると
V2=(4/3)πr3ρg/(ρπr2Cd/2)
=(8/3)(2/Cd)gr ここで、定数A=(8/3)(2/Cd)g とおくと
V2=Ar
Vとr以外はすべて定数になりますから、 Vの2乗はr に比例すると言えるようになります。
もっと分かりやすい表現なら、V はr のルートに比例するとなります。
したがって正解は、√2に相当する[3]1.4になります。