露点温度は湿度情報

露点温度は湿度情報

マグラム上でまっすぐ左に引っ張るとは、同じ気圧内で、温度を下げる(冷却する)ことだ。
水蒸気を含んだ空気であれば、飽和水蒸気圧が低下することによって、どこかの温度で水滴が出来る。
これを凝結すると言う。
凝結する温度を「露点温度」という。

20150103h1
上の図は、900hPa、12.4℃の点Aから、冷却して温度を下げていったときに、2.1℃で凝結が発生した様子を示している。
この空気の露点温度は、2.1℃である。
気温と露点温度の差を「湿数」という。
この場合は、12.4℃-2.1℃=10.3℃が湿数である。
湿数が小さいほど、湿潤であることを示す。
極端な場合、最初から結露していれば、気温と露点温度が同じなので、湿数はゼロである。
この状態を「飽和」していると言う。

湿数は、慣例的に単位を付けないこともあるが、高層天気図では[℃]を付けている。
700hPaや850hPaの高層天気図では、湿数が3℃以下の領域をWET AREA(湿潤領域)として、網掛けをして表現することがある。
下図は、2013年3月7日9時の850hPa、700hPaの高層天気図で、WET AREAが網掛けされている。
20150103h2沖縄の一部を除いて、日本列島上空には、湿潤領域はなく、全体に良い天気であった。


相対湿度が分かる

気温と露点温度が分かれば、相対湿度が分かる。
相対湿度とは、その空気中に存在し得る水蒸気量に対して、実際どのくらいの水蒸気が存在しているかの割合である。
飽和水蒸気量に達していれば相対湿度が100%だし、水蒸気がゼロなら相対湿度もゼロ%である。
20150103h3
上の図で、赤丸で示した点Aの空気の露点温度が水色の丸の点Bだとする。
点Aの飽和混合比は15(g/kg)であることが分かる。
つまり、点Aの空気には、15gの水蒸気が溶け込むことができる。
実際に何グラムの水蒸気が溶け込んでいたかを示すのが、点Bの露点温度である。露点温度の飽和混合比を見ると5(g/kg)であった。
すると、相対湿度は、5/15=0.33つまり33%だと知ることが出来た。
仮に、露点温度がオレンジ色の点Cだとすると、湿数は6℃で、相対湿度は、10/15=66%となる。



この項では、ここまでで良いでしょう。
以下は、ちょっと理屈っぽいので、理解が進んでから、後で読み返してください。
相対湿度の定義は通常、
[水蒸気圧]/[飽和水蒸気圧]としているが、
[混合比]/[飽和混合比]でも同じことである。
その理由は、混合比は、[水蒸気質量]/[空気質量]であり、水蒸気の分子量(18)と空気の分子量(29)を考慮すると
混合比=0.62×[水蒸気圧]/[空気圧」の関係が成り立つからである。
点Aの飽和水蒸気圧=e1とし、点Bの飽和水蒸気圧=e2とすると
e1= 15(g/kg)×900hPa/0.622
e2=  5(g/kg)×900hPa /0.622
その比は、e2/e1=5/15となり、混合比の計算と同じ結果になる。


湿球温度が分かる

湿度計として乾湿計が使われている。
乾球で気温を測定して、ガーゼで包んだ湿球で湿球温度を測定する。
こんな写真のもので、小学校の理科室にあるのではないだろうか。
20150103h4
気温と露点温度が分かれば、エマグラム上で湿球の温度を知ることが出来る。
(厳密いいうと、あまり正確ではないらしいが)
その手順は、次の通り。
20150103h5
点Aから乾燥断熱線に沿って上に持ち上げる。(赤いライン)
この空気塊が凝結しなければ、乾燥断熱線に沿って上昇するのだが、飽和に達したときに凝結する。
飽和に達するのは、点B(露点温度)から等飽和混合比線に沿って上昇したラインと交差するグリーンのポイントである。
このポイントを湿潤断熱線に沿ってもとの気圧(900hPa)まで下げると、その温度が湿球温度である。
乾湿計による相対湿度測定は、この流れの逆を行くことになる。
20150103h6上の図の例で説明すると、
1) 乾球温度が点Aとして15℃が計測されると、この点の飽和混合比 12(g/kg)が決定される。
2) 湿球温度がピンクの点で9℃が計測される。
 3) 気圧は、900hPaである。
 4) 点Aから乾燥断熱線に沿って斜め上方に青いラインを引く。
 5) ピンクの点から湿潤断熱線に沿って斜め上方にオレンジのラインを引く。
 6) 二つのラインが交差するブルーの点を探して、飽和混合比が5(g/kg)であることを読み取る。
 7) 点Aの飽和混合比が12で、実際の混合比が5なので、相対湿度は5/12=42%であると決定できる。


温位と相当温位

気温と湿球温度、露点温度、湿数、温位、相当温位と、たくさんの用語が出てきたが、これらがどのような関係なっているのか、エマグラム図上で整理しておこう。
まず、関連図を示す。
20150103h7
基本ルールとして、△△温位(温位、湿球温位、相当温位)は、すべて、1000hPaにおける絶対温度で示すことを理解しておこう。
絶対温度(K):摂氏(℃)+273.15
温位:ある気温を乾燥断熱線に沿って、1000hPaに移動したときの絶対温度。
乾燥断熱線上では、温位は変わらない。(「保存される」と言う)
湿球温度:乾湿型湿度計で測定する湿球温度(厳密な湿球温度とは誤差があるようだが)
湿球温位:湿球温度から湿潤断熱線に沿って、1000hPaに移動させたときの絶対温度。
露点温度:圧力一定で温度を下げたときに結露を始める温度。飽和しているときは、露点温度は気温と同じ。
湿数:気温と露点温度の差。
相当温位:水蒸気を含む空気塊を断熱的に上昇させ、すべての水蒸気が凝結し水蒸気圧がゼロになった時の空気塊が示す温位。
近似的に次の式で関係が示される。
温位〔θ〕と相当温位〔θe〕の間には、θe=θ+2.8wの近似式が成り立つ。
wは混合比である。
それぞれの値の大きさは、次の順番になる
湿球温位 ≦ 温位 ≦ 相当温位
【湿球温位 = 温位】は、飽和しているときに同じ値になる
【温位 = 相当温位】は、水蒸気を含まない乾燥空気で同じ値になる
湿球温位から「湿潤断熱線」に沿って持ち上げると、水蒸気がなくなったところで「乾燥断熱線」に漸近する。ここから「乾燥断熱線」に沿って1000hPaまで下ろしたところが、相当温位である。


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