第46回気象予報士試験 実技1 問2(1)
領域Aの雲は、何か?って。
高気圧中心から少し離れた領域であり、強い対流活動はなさそうです。
可視画像で薄いながらも僅かに凹凸が見えます。
赤外画像では薄いグレーなので、上層雲ではないでしょう。
このような観点から、雲域Aの雲は、下層雲であると判断します。
下層雲なら、積雲、層雲、層積雲のどれかですね。
積雲であれば、黄色の円で囲んだ領域のようにゴツゴツした感じになりますが、この雲域は比較的滑らかなので積雲ではなく、層雲か層積雲だと思います。
雲域Aの南半分をよく観察すると、小さな凹凸が観察できます。
層雲では、この現象はありませんから、私は『層積雲』と判断しました。
以上の根拠を、20字で書けばよいのです。
北上大の解答
「赤外画像でやや暗く滑らかであり、可視画像で薄くやや凹凸がある。」(31字)
長すぎるので、短縮します。
「赤外で灰色で平滑、可視で薄明るく凹凸がある。」(22字)
これ以上圧縮できないな。
模範解答は、「可視画像で白く、赤外画像で暗灰色のため。」(20字)だって。
下層雲であることは分かるけど、積雲、層積雲、層雲の区別がつかないじゃないか。
模範解答を『層積雲(層雲)』としているけど根拠不十分です。
そもそも、層積雲を答えさせるのに、20字では足りないのです。
『赤外画像で、可視画像で。』
これだけで12字を使ってしまうのですから、設問に無理があると思いますね。
第46回気象予報士試験 実技1 問2(2)
『台風の眼の構造の特徴』と『雲頂高度の分布』に着目
眼の構造の特徴:
赤外、可視ともに、この台風の画像では明瞭な眼は確認できません。
下の図は第38回実技2の画像ですが、台風の眼がきれいに観測できます。
眼の構造がしっかり形成されていれば、このようにくっきりと台風の眼が見えているものです。
可視画像では、眼の中心付近が暗いので下層雲が少ないようですね。
赤外画像では、目の中心が非常に明るいので雲頂高度が高い積乱雲と判断できます。
雲頂高度の分布:
雲頂高度の判断は主に赤外画像で観ます。
台風の眼付近の雲頂高度が高く、きれいな円形ではなく北東側に偏っているように見えます。
これを35字で表現して、こんなふうに書いてみたが・・・。
「眼の構造が不十分で、雲頂高度は中心付近から北東部が高く周囲は低い。」(33字)
模範解答は、こうでした。
「眼は不明瞭で、北東側を中心に雲頂高度が高く厚い雲域が広がっている。」(33字)
さて、これはどんな風に採点されるでしょうかねぇ。
模範解答のほうが、良い文章のような気がします。
第46回気象予報士試験 実技1 問2(3)
衛星画像と図1の停滞前線を重ねると、次のようになります。
雲域Cと前線の位置関係を簡潔に表現すれば
「雲域Cの北縁に前線が接している」というか
「前線の南に雲域Cがある」というか
表現に困りますね。
模範解答は「前線の南側にある」でした。
主語を明確にしなくて良いのかという思いはありますが、あまり悩まなくても良かったようです。
雲の種類は、「積乱雲」で決まりですね。
可視・赤外共に明るく、団塊状であるから。
次に、この雲の分布の特徴を25字で書くのですが、どのように表現したら良いものか。
この問題は、何を書かせたいのか。
どんな現象に気づかせたいのか。
可視画像では、前線の南側に縦に3列に並んでいるように見えますね。
縦というのは南北方向のことです。
赤外画像でも、なんとなくモヤモヤが縦ブロックに並んでいるような。
この現象が、台風に吹き込む風と関連していることに気がつくでしょうか。
大きな流れとしては、前線に沿って台風に向かって風が流れています。
前線の北側では、高気圧から吹き出す北寄りの風が前線いに向かって流れ込み、
南側の雲域Cの領域に着目すると、南からの暖湿空気が前線に向かって吹いています。
この流れが、雲の動きとして具現化されていることに気づくことを求めているようです。
そこで、分布の特徴を前線と関連付けて25字で次のようにしました。
「積乱雲の南北の雲列が、前線の南側に広がっている。」(24字)
模範解答は、
「積乱雲が列状に、前線にほぼ直交して並んでいる。」(23字)
うーん、これもどんなもんでしょうか?
模範解答通りの文章を書くことは難しいですね。
模範解答