法規はポイントの宝庫

気象予報士試験の一般知識は15問出題されて、11問正解で合格できる(10問合格の場合もあるが)
15問のうち、4問は法規問題だ。これを見逃す手はない。

一般知識では、問4~問6辺りで、とんでもなく難解な問題が出ることがある。
このような問題は、悩んでもしかたがないので、鉛筆を転がして決めても良いくらいの割り切りで対応します。

逆に、問12~問15の法規問題は、難問奇問は少ないので、確実に4点をゲットしよう。
ここで確実に4ポイントをとれば、残り11問のうち7問を取ればよいのだ。
つまり、4問を失っても良いと考えれば、気が楽になるのではないだろうか。
そのためには、法規問題の取りこぼしは許されない。

法規問題を、私は4つに分けている。
4つに分けることによって、焦点を絞り込むことが出来るので、効率よく知識が整理される。
1)気象予報士関連
2)警戒情報関連
3)気象観測関連
4)予報業務の許可

期限を決めている問題は次の4つを覚えておこう。

これら以外は、「速やかに」とか「直ちに」となっている。
気象予報士が不足した場合は、2週間以内に是正すること。
・予報業務の休止・廃止をしたときにはその日から0日以内に届け出すること。
予報業務の記録(内容および時刻・気象予報士の氏名・警報の伝達状況)は2年間保存すること。
・気象予報士の欠格事由は、2年間

認可(許可)・届け出・報告の違いを覚えておくこと。

予報業務を行う場合は、許可を受けなければならない
予報業務の目的・範囲を変更する場合は認可
予報業務の休止・廃止は、届け出
観測を行う場合は、設置・廃止の届け出
気象測器は検定合格品を使用する
無線電信船舶は観測成果を報告する
気象予報士になるには登録を受ける


1)気象予報士関連

これは、毎回ほぼ確実に出題されるが、受験者自身のことなので、理解しやすいはずだ。
論点は、登録、資格に関する問題。担当業務の問題。人数、任務範囲の問題、欠員補充期間などだ。
具体的に例示しよう。

資格・登録に関して

・気象予報士試験に合格したものは、気象予報士として業務が出来る(誤)
→気象庁長官の登録を受けなければならない
・気象予報士試験合格から2年以内に限り、気象庁長官の登録を受ける資格を有する(誤)
→生涯有効の資格である
・気象予報士は、5年ごとに登録更新の手続きをしなければならない(誤)
→そんな制度はない。
・予報実務に5年間従事していなかった気象予報士が復帰する場合は、気象庁の書類審査を受けなければならない(誤)
・気象予報士は、職場のよく見える場所に登録通知書を掲示しなければならない(誤)
・気象予報士が、万引きで罰金刑に処せられたときは、2年間に限り気象予報業に従事することは出来ない(誤)
→気象業務法に関する処罰を受けた場合であり、万引きは関係ない(殺人罪でも資格は失わない)
・気象予報士が住所を移転した場合は、60日以内に気象庁長官に届け出なければならない。(誤)
→遅滞なく気象庁長官に届け出なければならない
・気象予報士の登録の抹消条件は4つ、これ以外に抹消される事由はない。
(1)死亡 (2)気象業務法に関して罰金以上の刑 (3)不正な登録 (4)本人からの要請
資格、登録に関しては、こんなところか。

担当業務に関して

担当業務は明快で、次の条文にあるとおり、現象の予想に限られることを理解しておこう。
現象の予想とは、一般的に言われる、気象の予報である。
気象業務法=予報業務の許可を受けた者は、当該予報業務のうち現象の予想については、気象予報士に行わせなければならない。

・桜の開花予想、
・猛暑に伴う冷菓の売上げ予想、
・悪天候による明日の駅伝大会の中止判断
・風速測定、雨量計測などの観測
・天気予報を読み上げるキャスター
・気象データの解析
・予報業務の許可を申請する代表者

これらは、現象の予想ではないので、気象予報士の資格にとらわれない。
・紛らわしいのはこんな表現=
『現象の予想とその発表については、気象予報士に行わせなければならない』(誤)
こんなヒッカケ文章に引っかからないように、「現象の予想」だけを厳しく判断すること。

人数、任務範囲の問題、欠員補充期間

気象予報士の配置人数は、労働時間で定められている。
(予想業務範囲の広さとか、会社の資本金とか、二つ以上の県にまたがるとか、担当する市の数とか関係ない)
・予報業務時間が8時間以下=2人以上
・8時間を超え16時間以下=3人以上
・16時間を超える=4人以上、(16時間を含まない)
・一人減らしてもよいという例外規定がある(業務量がさほど多くない場合は、一人少なくてもよい)
(一週間当たりの現象の予想を行う日数その他の事情を考慮して、当該事業所において現象の予想が行われる間、一人以上の専任の気象予報士が当該予想に従事できるものと気象庁長官が認める場合にあつては、一人減じた人数)
・気象予報士が辞めるなどして足りなくなったら、2週間以内に補充すればよい。
(ただし、同時に2人以上が辞めてゼロ人になったら業務を停止しなければならない)
・配置は専任でなければならない。
(同じ会社で、横浜事業所と東京本社を兼務することは出来ない。また、横浜で一人足りなくなったからと東京から応援に行くことも許されない)
・気象予報士を配置して現象の予報業務を担当させ始めたら、遅滞なくその氏名を気象庁長官に報告しなければならない。(報告でよい。申請して許可を得るような話ではない)
・これに関して紛らわしい表現をみつけた。
気象予報士が、予報業務の許可を受けた事業者の下で予報業務に従事しようとするときには、その旨を気象庁長官に届け出なければならない(誤)
→報告するのは、事業者であって気象予報士自身ではない。紛らわしいい表現なので注意。

このくらい知っていれば、気象予報士関連の問題はクリアできるだろう。
これで、15問中1問は確実にゲットだ。

2)警戒情報関連

系統だって話をするのは専門書に譲るとして、特別な役割を果たす人物を覚えよう。
・消防機関や消防署長が出てくることはない。『消防』の選択枝は最初にカットできる。
海上保安官と警察官はセット(陸は警察官、海は海上保安官)。そして、立ち退き指示は市町村長
異常な現象を発見した者(一般市民)は、遅滞なくその旨を、市町村長または警察官、もしくは海上保安官に通報しなければならない。 海上保安官という用語が出てくるのは、ほぼここに絞られる。
一般市民が、竜巻とか、川が溢れそうだとか、大波が来るとか異常な気象を発見したら、誰に通報するのか?
→異常現象を通報する本当の正解は市町村長なのだが、普通は交番に駆け 込むだろう、それでよい。海の上だったら海上保安官に通報する。通報を受けた警察官または海上保安官は、改めて、市町村長に速やかに通報しなければならな い。 市町村長はその旨を気象庁とその他の機関に通報する。整理すると通報ルートは次のようになる。
市民が異常現象発見 → 警察官・海上保安官(飛び越えてもよい) → 市町村長 → 気象庁
もう一つ、海上保安官が出てくるのが、立ち退き指示だ。
避難のための立ち退き勧告、立ち退き指示が出来るのは、市町村長だ。都道府県知事ではないし、ましてや気象庁長官や国土交通大臣ではない。市民生活に直結していることは市町村長だと覚えよう。ただし立ち退き指示をした旨を都道府県知事に報告しなければならない。
なんらかの事情で市町村長が立ち退き指示ができない場合は、警察官または海上保安官が立ち退き指示をしてもよい。市町村長がその事務を執行できない場合は、都道府県知事が代わって実施しなければならず、それを公示する。
立ち退き指示の前に、異常事態を市民に周知伝達するのも市町村長の仕事だ。都道府県知事ではない
立ち退き指示の前提条件、 市町村長が、災害予報・警察官の通知・自ら警報をした・警報通知を受けたとき。

洪水予報(気象庁による洪水警報とはちがうよ)
3つある(気象庁長官単独、国土交通大臣と共同、都道府県知事と共同)
(国土交通大臣単独はない、都道府県知事単独もない)
洪水のおそれを知った気象庁長官 →(通知)→ 国土交通大臣・都道府県知事
→(報道機関の協力)→ 一般に周知
(大きい川の場合) 国土交通大臣・気象庁長官共同 →(通知)→ 都道府県知事
→(報道機関の協力)→ 一般に周知
(小さい川の場合) 都道府県知事・気象庁長官共同 →(通知)→水防管理者  (一般への周知は必要に応じて)

水防警報

待機・準備・出動・警戒・解除(洪水予報とは違うよ)(河川管理者=国土交通大臣または都道府県知事)
(大きい川の場合) 国土交通大臣が行う (一般に周知の規定なし)
(小さい川の場合) 都道府県知事が行う (一般への周知の規定なし)

火災の警報(火災警報は市町村長が行う)=気象庁や都道府県知事、国交大臣ではない
気象庁長官(各気象台長を含む) →(通報)→ 都道府県知事 →(通報)→ 市町村長
ここまでは、火災の予防上危険であるとの状況通報に過ぎない

津波警報

(下記の場合は、例外的に市町村長が津波警報をする)
津波に関する気象庁の警報事項を適時に受けることができない辺すうの地の市町村の長が津波警報をする。
災害により津波に関する気象庁の警報事項を適時に受けることができなくなつた地の市町村の長が津波警報をする。

気象庁以外のもは、警報をすることはできない(例外は津波警報だけ。気象以外の警報は水防警報・火災警報がある)

中央防災会議は国(内閣府) → 防災基本計画を作成する
地方防災会議(都道府県防災会議・市町村防災会議) → 地域防災計画を作成する


3)気象観測関連

気象観測について
気象庁以外の者が、成果を発表するためまたは災害防止に利用するために気象観測を行う場合
技術上の基準に従う
設置・廃止の届け出をする(申請、認可ではない) 研究・教育のためなら届け出の義務はない
気象測器は、検定に合格したもの(製造メーカーは問わない)
→7種類(温度・気圧・湿度・風速・日射・雨量・雪量)


4)予報業務の許可

予報業務の許可条件は4つ

(1)観測・資料収集と解析の施設と要員
(2)気象庁の警報を迅速に受ける
(3)事業所ごとに気象予報士
(4)気象業務法の処罰を2年以内に受けていない

目的・範囲の変更は、認可が必要
気象庁の警報は迅速に伝達するように務める
基準を満たさないときは、業務改善命令
違反した場合は、期間を定めて許可の取り消し
休止・廃止は30日以内に届け出
記録は、2年間保存
気象庁は、報告をさせたり立ち入り検査が出来る


上のことをしっかり覚えて、分からないところは常識的に回答すれば、4ポイント正解になるだろう。

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