第42回気象予報士試験 実技1 問3(1)
[1] 成層状態を簡潔にと問われれば、「絶対安定」、「条件付き不安定」、「絶対安定」、さらには「対流不安定」から選ぶことになる。
各々の概念は、このような図で説明されている。(図をクリックすると解説のページにジャンプします)こちらの図の方が分かりやすい人もいるでしょう。(図をクリックすると解説のページにジャンプします)問題の図を見てみると
状態曲線の傾きが乾燥断熱線と湿潤断熱線の間にあるので、解答は『条件付き不安定』となる。
[2] 下の図で作図手順を説明する。
<1>900hPaの基準線を引く(緑色)
<2>状態曲線の900hPa点から乾燥断熱線に沿って持ち上げる(青色)
<3>900hPaの露点温度から、等飽和混合比線に沿って持ち上げて、飽和点を決める(水色)
<4>飽和点から湿潤断熱線に沿って持ち上げて、状態曲線との交点を求める(ピンク色)
<5>状態曲線との交点が雲頂高度なので、高度『330hPa』を読み取る。(黄緑色)
第42回気象予報士試験 実技1 問3(2)
[1] 「地上気圧場のどのようなところ?」
どのようなと問われたら、いろいろな表現があると思うよ。
状況としては1001hPaの低気圧が張り出しているところなので、 『気圧の谷間』とでも言うかな。
模範解答は、『低圧部の東端』だって。
なかなか、ズバリの表現はむずかしいと思うなぁ。
[2] ABCの変化を一枚の画像に重ねたのが下図である。
『形状の変化』と『移動の状況』をどう表現するかの、国語の試験である。
Aは『徐々に広がり馬蹄形に変化して東に移動する。』(21字)
Bは『領域が拡大して細長く広がり南東に移動する。』(21字)
Cは『形状変化は少なく面積も変わらずほぼ停滞している。』(24字)
模範解答は
A『コンマ状に変わりながら東北東進した。』(18字)
B『西南西~東北東にのびながら南東進した。』(19字)
C『西南西~東北東にのびてほぼ同じ場所に停滞した。』(23字)
う~む、北上大の答えは、大雑把すぎますね。
きちんと方角を示して、丁寧に書きなさいと言う教訓ですな。
[3] 14日2時から4時までの2時間で、強雨域Bが移動した距離を求める。
移動した緯度は、34.0-33.4=0.6度である。
緯度1度間の距離は60海里×1.852km=111kmなので
0.6度の距離は、0.6×111=66.6km
この距離を2時間で移動したのだから、移動速度は『33.3km/h』である。
牛深までの緯度は33.4-32.2=1.2度で、
強雨域Bは1時間で0.3度移動するのだから、1.2/0.3=4.0時間後に牛深に達する。
14日4時の4.0時間後は、『8時0分』である。
第42回気象予報士試験 実技1 問3(3)
[1]
・どのような暖湿空気が→暖湿というからには、湿度情報が含まれるべきだが、図12には湿度の表示はない。
それなら、と探してみると、相当温位があるではないか。
相当温位が高ければ水蒸気量が多く湿度が高いといえる。
下の図を見ると、北緯32度で、等相当温位線が垂直に立ち上がっていることに気がつく。
見やすいように、相当温位のイメージで着色してみた。流入しているというキーワードに着目すると、700hPaで342K以下の気塊が入り込んでいる様子が伺える。
342K以下ということは、周囲よりも乾燥していることを示す。
・どの方向から→西~西南西の風
・どの高さに→700hPの流れが大きい
・相当温位は→342K以下
・気圧(高度)は→700hPa
以上の状況を40字にまとめれば解答になるはずだ。
『相当温位が342K以下の気塊が西~西南西の方向から700hPaの高度に流入している。』(42字)
模範解答は
『相当温位360Kの暖湿空気が南西方向から950hPa付近の下層に流入している。』(39字)
あれれれ、全然違うじゃないか。
わざわざ問題文で『暖湿空気』って書いているんだから、相当温位が高いところに着目すべきでしょう。
それが、なんですって。
乾燥空気が流入して、強雨域になるはずがないってことくらい、すぐに気がつくでしょう。
乾燥空気が強雨の原因になるはずがないんだから。
[2] 北緯34度以南って結構幅があるけど、北緯32度付近に着目してみよう。
950hPa→40KT
925hPa→35KT
850hPa→30KT
700hPa→30KT
500hPa→25KT
『950hPaで風速30~40ノットだが、500hPaで25ノットと弱い。』(36字)
模範解答は『風速は下層で最も大きく、950hPaで最大40ノットに達している。』(33字)
う~む、なんだか、フィーリングが噛み合わないなぁ。
言いたいことは同じようなものだけど、実技試験が国語力のテストと言われる所以(ゆえん)だなぁ。
[3] これは簡単だと思う。
温度風に伴う風向の変化を書けば良い。
北上大の解答は
『風向が高度上昇に連れて時計回りに変化しているので、暖気移流と判断できる。』(36字)
45字の要求に対して9字少ないが、必要なことは書いたつもりだ。
模範解答は『高度が高くなるにつれて風向が時計回りに変化していることから、暖気移流となっている。』(41字)
これは、満点だろう。
簡潔に表現しているから、文字数はすくないが、要件は全て満たしている。
[4] 図11の強い雨雲の領域と図12の断面図の縮尺を合わせて、強い雨雲の領域を赤い丸で示した。
この図から「下層の暖湿空気のどのようなところか」を考えよう。
相当温位の傾度分布に着目すると、『傾度が大きいところ』である。
北緯34.5度で暖湿空気が流入してくる方向は、950hPaと925hPa共に南西である。
これを25字でまとめる国語の問題だ。
『南西方向から暖湿空気が流入して相当温位の傾度が大きいところ。』(30字)と書いたが25字に対して5字も多いので、どこを節減するか。
こうして決めた解答は『南西から暖湿空気が流入し、相当温位傾度が大きいところ。』(27字)とした。
模範解答は『南西から流入している相当温位が高い暖湿空気の先端。』(25字)だった。
なるほどねぇ、うまいこと書きますねぇ。
[5] この問題はグラフの読み違いさえなければ、簡単だろう。
まず、輝度温度の最低値を読み取ると、『-66℃』と読める。
次に、図10の状態曲線から、-66℃の高さを読み取ると、『147hPa』付近になるが、10hPa刻みで都の指示に従うと解答は『150hPa』となる。
第42回気象予報士試験 実技1 問3(4)
[1] どうしてこんなことが問題として選ばれるのかワカラン。
当たり前すぎるだろう。
警報レベルをレッドカードになぞらえて赤い線で、注意報レベルをイエローカードになぞらえて黄色の線で描いた。
長崎市は、イエローカードにも達していないので『無』
佐賀市は、レッドカードのレベルを超えているので『警』、降水量は『70mm』、この降水は4時から5時の間に降るので、時刻は『5時』となる。4時の段階では25mmなので警報は発表しない。
熊本市は、イエローカードレベルを超えているので『注』、時刻は『8時』、降水量は『55mm』
この問題は、なんら悩むところもなく、とんでもないサービス問題だ。
[2] 竜巻発生確度ナウキャストの意味は次の通り。
発生確度1でも、発生確度2でも竜巻発生の可能性はある。
だから、下図で黄色のマークがかかっている県は全て選択する事になる。
雷ナウキャストでっは、『落雷の可能性が大きい』のは、『活動度2(落雷可能性大)』に該当するので、オレンジのマークがかかっている県だけを選ぶことになる。
黄色のマークは活動度1(雷可能性あり)で、落雷には触れていないので、ここでは除外する。
第42回気象予報士試験 実技1 問3(5)
強い降水が始まった時刻は、『5時40分』と見るのが妥当だろう。
[1] 風記号から『南西』の風、[2] 風速『50』ノット、[3] 風速『40』ノット、
[4]は『エ』70時30分から、[5]は『西』、[6]は北から南下した空気塊の先端だから方位としては『南』になる。[7][8]は、どちらかが『上昇流』になることが明らかなので、上層流を前提に文章を考えてみると、文脈から[8]が『上昇流』だろう。 残る[7]には、『鉛直シェア』か『収束』なのだが、文脈から考えて『収束』が妥当だろうな。