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2017年2月21日 15:21 #6444門前小僧ゲスト
連続のトピックで失礼します。
いま、カムチャッカの東方沖に、発達中の寒冷低気圧があります(210000UTCで956hPa)。
この低気圧の進路が北西、つまり西を向いていて、週間予報図では大陸に再上陸する予報になっています。
自分なりに高層天気図などで、その理由を探ってみたのですが、特段の東向きの気流も見つけることも出来ず、
「なぜ?」の疑問が消えません。
緯度的に「極偏東風」が影響しているとも思えませんし・・・。
どなたか、この低気圧の「西進のなぞ」を解説して頂けませんでしょうか。 -
2017年2月21日 15:46 #6445門前小僧ゲスト
【追記】
ASASを見直して、見逃していたことがありました。
この低気圧の北に、ほとんど停滞している高気圧がありました。
この高気圧の南縁に吹く東風に乗る・・・ということになるのでしょうか。はるか北方で、夏の太平洋上で見られる「太平洋高気圧と台風」のような関係が起きているのかと・・・。
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2017年2月21日 19:47 #6446Yoshikenゲスト
門前小僧さん
こんばんは。
これは、北海道東方にある別の低気圧によるものと考えます。
低気圧の周りは反時計回りに風が吹きます。北海道東方の
低気圧の北西方向にカムチャッカの低気圧があるため、
北海道東方の低気圧の回りを反時計回りに西へ進む形と
なります。2つの台風が接近しても同じことが起こり、藤原の効果
とも言われます。 -
2017年2月21日 21:07 #6447古久根 敦ゲスト
門前小僧さん,Yoshikenさん,こんばんは.
カムチャッカの東方沖の低気圧(低気圧Aとします)の動きに着目したこと,素晴らしいと思います.
この低気圧Aは寒冷低気圧ではなくポーラーロウと思われます.低気圧中心から鉛直上方に対流圏上層までびしっと伸びた背の高い低気圧です.門前小僧さんのおっしゃる通りで,その北側の高気圧にも関係しますが,上層の流れの表現にした方がいいと思います.
さて,低気圧Aはその上層の流れに沿って動く予想となっています.
上層の流れはどうなっているでしょうか?300hPaでも500hPaでも同じ流れです.
・北緯50度まで:東経160度付近に深い南北方向のトラフがあります.低気圧中心がこの東側に位置すれば北上します.
・北緯50~60度:広い目で見ると西から東に向かって風が蛇行しています.東西方向のトラフ場となっています.南側は西風,北側は東風であり,その間には切離低気圧があります.
・北緯60度~:ほぼ東西方向のリッジ場になっていて,高気圧性循環があります.低気圧Aは北緯50~60度のトラフ場の影響を受け,やや北上後,西進する予想になります.
では,この低気圧Aが予想図に反映されているのでしょうか?これは違います.低気圧Aは衰弱し22日3時には不明瞭となる予想です.衰弱の原因は,負渦度移流の影響と最下層での熱供給が弱まることと考えられます.
低気圧Aに代わり,日本のはるか東(北海道のはるか東)にある低気圧(低気圧Bとします)が発達しながら北東進し,22日3時には低気圧Aとほぼ同じ位置まで進む予想です.このタイミングで低気圧Aは不明瞭,発達中の低気圧は低気圧Bとなる予想です.
低気圧Bはその後北西進する予想となっています.低気圧Aに取って代わるタイミングで上層との結びつきもよくなり鉛直方向に構造がしっかりとした背の高い低気圧であることと.上層の状況があまり変わっていないこと,低気圧Bの場合は上層渦に近いため渦中心を回るような動きをし,最初は北西進しますが次第に動きが遅くなる予想です..
Yosihikenさんのおっしゃる藤原の効果は私はこのケースではかなり懐疑的です.下層から上層までの大気を理解した上でどうしても説明がつかない場合,藤原の効果が意図している2つの接近した渦の間の相互作用による多面的で複雑な影響が相対的に大きく寄与しているのかなと思うくらいです.しかし,このケースでは,説明がつきやすいです.また,低気圧Aと低気圧Bは21日9時時点では緯度で15度も離れています.藤原効果による相互作用が働くとは考えにくいです.低気圧Aは相互作用がありそうな距離まで低気圧Bが接近しても,その時には衰弱・不明瞭となる予想ですし.
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2017年2月21日 21:30 #6448Yoshikenゲスト
古久根さん
恐れ入りました。
説明されれば「あ~」となるのですが・・・。
と、いうものの難しいですね。実技で出されたら撃沈です。門前小僧さん、すみません。
こういう有資格者もいるということです。 -
2017年2月22日 13:07 #6449門前小僧ゲスト
Yoshikenさん、古久根さん、こんにちは。
ご回答ありがとうございます。Yoshikenさん、私も最初は「北海道沖」の低気圧の影響を考えましたが、上層の東風が見つけられず、それで掲示板に書き込んだ次第です。藤原効果までは正直、思い付きませんでした。でも、言われてみれば、そういう発想も出てきそうな気圧配置でしたね。
古久根さん、詳細な解説(解析)ありがとうございます。
「北海道沖」の低気圧が取って代わるというシナリオは正直、思いつきもしませんでした。と言いますか、
思い付くのではなく、それを様々な資料から「発見」しなければならないのですね。
その上で再度、教えて頂きたいことがあります。
「北緯50~60度:広い目で見ると西から東に向かって風が蛇行しています.東西方向のトラフ場となっています.南側は西風,北側は東風であり,その間には切離低気圧があります」
1)この部分について「AUPQ35」を見て確認をしてみましたが、参照資料として、これで良いものでしょうか。
2)「北側の東風」は、AUPQ35で見つけられましたが、この風は、そもそもの低気圧によるものという理解でいいでしょうか。寒帯前線ジェットや極偏東風などのような恒常的な上層流とは別物でしょうか。
北緯60度という高緯度の状態など、普段や試験対策でもあまり見慣れておらず、この低気圧の「西進」の理由、まだ完全に消化し切れておりません・・・理解力が足りず、恐縮です。蛇足ながら、私こと北海道在住なので、カムチャッカやらシベリアやらベーリング海峡やらの気象状況は、身近な天気にも影響してくることなので、割と気になっています。
長々と失礼しました。よろしくお願いします。
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2017年2月22日 18:56 #6450古久根 敦ゲスト
門前小僧さん,こんばんは.
1)AUPQ35でOKですよ.
ただし極側をもっと見たい場合には以下の天気図などがあります.
・AUPN30アジア太平洋300hPa
・AUXN50北半球500hPa
・FUPA502アジア太平洋500hPa24時間予想
※AXJP130/140高層断面図:北緯45度くらいまでの対流圏界面の高度を知るときに使うこれらの天気図は下記サイトから閲覧できます.
Sunny Spot 専門天気図アーカイブ
http://www.sunny-spot.net/chart/chart_archive.html2) そもそもの低気圧(カムチャッカ東方沖の低気圧)ではないと思います.むしろ,上層500/300hPaで,切離低気圧を挟む形で東方向に流れが蛇行したのはなぜかという話になると思います.しかし,この理由は私にはわかりません(^0^;)
東西,南北方向に偏西風が大きく蛇行 → 蛇行がさらに大きくなり切離低気圧が発生 → 切離低気圧を挟み,東側は南~南西風,南側は西風成分,北側は東風成分 → 地上低気圧は上層と無視物気が強く上層風雨に沿って移動 → 上層の東成分を受ける場所にいる地上低気圧は西進
偏西風蛇行の理由がわからないのですが,論理の流れはこんな感じです.
日頃,北緯45度以南ばかり見ているので,極側の勉強も頑張りたいと思います(^0^;)
門前小僧さん,Yoshikenさん,大きな気づきをいただけて感謝です.ありがとうございます.
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2017年2月22日 22:30 #6451門前小僧ゲスト
古久根さん
ありがとうございます。「Suny Spot」は便利なサイトですね。今後、活用して行きたいと思います。今回の疑問は、この時期に北海道やサハリンの東方に抜けていった低気圧は、たいていは「墓場」と言われる
ベーリング海方向へさらに東進していきますが、「カムチャッカ東方の低気圧」はなぜか西進して大陸へ、
という道筋予想を見たので、ふと沸いたものでした。
それを紐解こうとすると、こんなにも深い考察や解析に行き着くとは・・・改めて、気象の奥深さを感じます。
難しさでもありますね。最新のASASを見ますと、トピックとなった2つの低気圧は、すでにひとつになって北北西に進んでいるようです。切離低気圧の縁に沿っているようですね。
理屈はともかく、しばらく高層天気と一緒に、この低気圧の動きをウォッチして行こうと思います。こちらこそ、興味深い詳しいご返答、ありがとうございます。
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2017年2月24日 12:52 #6452KapokXゲスト
門前小僧さん、Yoshikenさん、古久根さん
このスレッドのおかげで、ポーラー・ロー について、私が勝手に誤解していたところに気付かせてもらいました。
テキストや問題集を読んでも、ここまでくわしく解説されたものはないです。
ありがとうございました。 -
2017年2月24日 19:20 #6453門前小僧ゲスト
KapokXさん、コメントありがとうございます。
私も「ポーラーロウ」「寒冷渦」「カットオフロー」の区別が曖昧なままであることに気づき、参考書を見直していました。・・・まだまだ勉強が足りないなと実感です。古久根さんに「A」と名付けられた低気圧、その後も気になり、遡ってASASやAUPQ35などで「生い立ち」を調べてみました。
161800Zでは、私の見た限り、普通の温帯低気圧として日本海北部からサハリンの南部を通過して行ったようですが、
170600Zの時点で、北緯50度線上の前線のない低気圧と、その南東に前線を伴う低気圧との2つに低気圧が現れています。当初の低気圧は前線付きの方で、前線のない方は、ポーラーロウ?が発生したと言うことかと思っております・・・。
180600Zでは、この2つの低気圧が最接近して、一見「合体」したかのようで・・・
181200Zになると、一気に、この2つの低気圧が離れたように見えます。(このプロセス、正直、私の理解度を超えております。180600Z時点の閉塞点付近に新たに低気圧が発生し、当初の2つの低気圧は融合したということでしょうか・・・)。
その後は、融合した方と思われる低気圧は、北緯50度の沿って、ゆっくり東進した後、
200600Zの時点で明確ですが、190000Zに関東のはるか東方沖で前線上に発生した低気圧が猛烈に接近してきて、
2018000Zの時点で、50度線上にあった当初の「融合」した低気圧が消滅して、接近してきた低気圧がカムチャッカ沖で西進しているとASASでは解析されています。←この状態を見て、私がこのスレッドを立てた次第です。(この時、前段でこんな展開があったとは想像もしていませんでしたが)その後、この低気圧は、Yoshikenさんが言及された北海道東方沖の低気圧とひとつになったり、その南に新たなポーラーロウと思しき低気圧が発生したり、緯度で40度分にも及ぶ長大な前線を形成したり、そして今は”定位置”のベーリング海峡付近にいて・・・なんか壮大なドラマでも見ている気分になりました。
つまり、ある一時の状態を見ただけで、大気の状態や、それに伴う気象の変化などは、とうてい判断できるモノではないことを改めて痛感した次第です。
みなさんのコメントを頂いて、素朴な疑問から、ちょっとした考察をするきっかけになりました。(考察と言うには、恐ろしく雑ですが・・・)。長々とし失礼しました。
本当に、ありがとうございます。 -
2017年2月25日 11:04 #6454古久根 敦ゲスト
門前小僧さん,こんにちは.
ポーラーロウ,寒冷渦,寒冷低気圧,カットオフロー(切離低気圧),この違いは参考書では深く解説されていませんよね(^0^;) ポーラーロウについては発生のメカニズムも含めてまだまだわかっていないことが多いのが現状なので,解説も薄くなってしまうのは致し方ないかなと思います.
あと,私,ポーラーロウと言いましたが,もう少し正確に解析する必要があります.反省(^0^;) 構造的にもポーラロウへの移行と考えたのですが,ポーラロウ自身が前線を伴うことは構造的にはない(台風が前線を伴わないことに近い)ので,この事例で対象の低気圧について常に気象庁予報官が前線解析されているとしたら(予報官の前線解析は見ていませんでした(^0^;)),しっかりした根拠をもたないといけないので(^0^;)
この事例は,結構学ぶべきことが多いので,時間を作って詳細に解説資料を作ってみようと思いました.
ただ今第47回実技試験2の復習の手引きを作成中でございますので,それが終わったらです(^0^;)
実技試験1については,北上大さんのご厚意により過去問研究のコーナーで参照可能になっています.
ちょっぴり宣伝をぶっ込んでみました(^0^;)
いずれにしても,私もわかっていないことだらけですから.いろんな気づきをいただいて,皆さんと一緒に,おぉ!となるような学びができることを感謝しています.ありがとうございます!
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2017年2月26日 13:35 #6455門前小僧ゲスト
古久根さん、ありがとうございます。
実技試験1の手引き、すでにプリントアウトしてこの数日、まさに復習を読み込ませて頂いてます。
「実技2」、そして「学科」の手引きもお待ちしております m(_ _)m。「カムチャッカ東方の低気圧」の件の解説も、ぜひ拝読したいです。
天気図だけで見た限り、この一連の低気圧とその周辺では、ポーラーロウと思しき低気圧が新たに発生したり、前線を引き連れて低気圧が分離したり、南方から来た別の低気圧と併合したりと、「いったいどんな現象が起きていたのか」という疑問が次々と沸いています。
こんな高緯度域での現象は、直接は予報士試験には出てこないでしょうけど、それぞれのメカニズムは、まさしく実技の勉強になるように思っています。
古久根さん、みなさま、よろしくお願いします。ありがとうございます。
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