熱帯高圧帯から赤道低圧帯へ貿易風(北半球では南西へ向かって北東風が、南半球では北西へ向かって南東風)が吹いています。この二つの風に運ばれた空気は赤道低圧帯に集まる事(収束)になりますが、収束したものはどこかに発散しないといけません(これは低気圧や台風についても同様)。
そして赤道低圧帯は強い日射で非常に暖かいため空気は膨張し上昇気流が起こります。そのため空気は水平方向ではなく上方に運ばれます。貿易風によって海を吹走してきた空気は水分を多量に含んでいますので、この上昇過程で飽和し雨を大量に降らせます。雨を降らせるという事は潜熱(凝結熱)を得て空気の温度は上がるため上昇流は加速し、対流圏界面まで上昇します。対流圏界面では、上昇が抑えられるため空気は南北へ発散し、再び亜熱帯高圧帯で降下して、再び地上付近で南北へ水平発散して同様のサイクルを繰り返します。
という訳で、赤道付近の赤道収束帯では風は水平方向には弱くなります。船舶業界では赤道無風帯とも呼ばれているようです。
また、台風の目は、これとは違う要因で風が弱くなっています。
台風の中心付近は主に、(地上では)気圧傾度力と遠心力と摩擦力のつり合いで風が吹いていると考える事ができます。(コリオリ力も働いてはいるが範囲が狭いので無視してもいいレベル)
この中で気圧傾度力は台風の内向きに働き[空気密度×気圧/距離]、遠心力は台風の外向きに働き[(風速の2乗)/半径]、摩擦力は風の吹く方向と逆方向に働き[摩擦係数×風速]ですが地上では風は等圧線に対し20度~45度の角度で吹くので、力のつり合いを考える場合は[摩擦係数×風速×sin(角度)]を考えます。
台風は中心ほど等圧線は密になっていくので気圧傾度力は中心ほど大きくなっていくのですが、遠心力は速度の2乗で増えていくため気圧傾度力の増加以上に大きくなっていき、結果として台風の中心からある距離より中へは風は吹きこめなくなるため、台風の目ができます。