丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
第44回気象予報士試験 実技1 問3(1)
穴埋め問題ですね。
最初に基準になるのが、13時の天気図です。
6枚の天気図が並んでいますが、[1]で問われているのは、13時の図なので、他の図に目移りしないように!
[1]風方向を4方位で言えば、『東』と言うしかないでしょう。
[2][3]赤い線で示した『茨城県』と『千葉県』(順不同)の境界。
[4]風速は『6m/s』に達している。
一般の天気図では〔長矢羽:10ノット〕ですが、この図10では〔長矢羽:2m/s〕と定義されているので、30ノットと勘違いしないように。
[5]こんな現象を引き起こすのは『積乱雲』しか考えられない。
[6]青い字で示したように、27-18=『9℃』。
[7]等温線が込んでいるのは、温度勾配が『大きく』なっているから。
[8][9][10]東から吹く風の温度が低いので、問題文は『海面水温』が『低』く、沿岸部の気温上昇が『抑制され』ている、となる。
『抑制され』ているは、『抑えられ』ている、でも良いでしょう。
第44回気象予報士試験 実技1 問3(2)
この設問で問われているのは、次の4項目です。
- 地上風の収束・発散
- 気温分布の特徴
- 雲の種類
- 発達段階
収束と発散は、風の流れを見れば一目瞭然です。
赤い矢印で示した風の流れが、Aでは外側に分散しているので「発散」、
Bでは領域に矢印が集中しているので「収束」です。
温度分布の特徴も上の図に示しました。
Aでは、18℃の等温線が閉じてはいませんが、周辺よりも気温が低い領域となっています。
Bは25℃の等温線が閉じた高温領域が形成されています。
雲の種類については、急な降水を発生させる雲の種類は、A、Bは、共に積乱雲しか考えられないでしょう。
積乱雲の発達段階は、この図で覚えています。(一般気象学[第2版]図8.4)
Aは、降水が強く、低温領域から発散しているので、「成熟期」と判断できます。
Bは、風が収束しており上昇流域と判断できるので、「成長期」と判断します。
これらのことを、それぞれ30字にまとめればよいのです。
主文は、「地上風の分布と気温分布の特徴を述べよ」だから
Aは、『地上風は発散しており周囲よりも低温域である。』
これに、『成熟期の積乱雲』を含めれば全文が完成します。
まとめて、次のように表現しました。
『成熟期の積乱雲で、地上風は発散しており周囲よりも低温域である。』(31字)
同様にBについてはこうなりました。
『成長期の積乱雲で、頂上風は収束しており周囲よりも高温域である。』(31字)
模範解答では、「発達初期」と表現していますが、教科書の「積乱雲の発達段階」は3段階なので、「成長期」で良いと思います。
なお、冷気外流出を伴う降水域は、当然『A』ですね。
第44回気象予報士試験 実技1 問3(3)
A、Bの気温分布について、1時間における変化を20字で書く。
見た通り、Bの高温域が消滅して、Aの低温領域がBまで進出しています。
これを、20字で表現します。
『Bの高温域が消滅してAB共に低温領域になった。』(24字)
ちょっと文字数が多いので、数文字削減して、21字にした。
『Bの高温域が消えてAB共に低温域になった。』(21字)
模範解答とは表現が違うけれども、間違いではないだろうと思います。
第44回気象予報士試験 実技1 問3(4)
神奈川の降水域の気温と風の分布を20字で書けと。
降水域の気温分布は23℃で高温領域にあたります。
風の分布は、東北東の風と南寄りの風が収束しています。
これを20字で表現してみました。
『高温領域で、風が収束しているところ。』(18字)
模範解答では
『高温域で、東風と南風が収束している場所。』(20字)
として、風向を盛り込んでいました。
20字の制限なので、簡略な表現で良いと判断したのですが、やや減点されるかもしれません。
第44回気象予報士試験 実技1 問3(5)
[1] 与えられた条件を図示すると下のようになります。
地上気温が20℃なので、気温差は、20℃-(-21℃)=『41℃』になります。
気温減率は、〔温度差÷高度差〕で計算できます。
C点の500hPaの高度は5460mですが、C点の標高が与えられていませんので、高度差が分からないのです。
熊谷の標高は80mなので、本当は5640-80=5560mとして計算しなければなりません。
しかし、図10の温度表示をよく見ると、標高0mに補正した気温であると書かれています。
ですから、高度はそのままで、41℃÷5.64km=『7.3℃/km』になります。
成層状態は、次の3つに分けられます。
- 絶対安定
- 条件付き不安定
- 絶対不安定
この条件では、気温減率が7.3℃/kmですから
乾燥断熱減率(乾燥断熱線)9.8℃/kmより小さく、湿潤断熱減率(湿潤断熱線)5.0℃/kmより大きいので『条件付不安定』になります。
[2]
これは、わたしは全く間違えてしまいました。
15時から16時と、20時から21時に降水があり、風向が乱れていたので、このどちらかだろうと思い込んでしまったのです。
西風から南西の風に変わった15時を答えにしましたが、トラフが通過して南西の風に変わるはずがないんですよね。
トラフの通過といえば、寒冷前線の通過をイメージすれば良いでしょう。
すると、こんなふうに、南西の風から北西の風に変わるんですね。
そこに着目すると、この変化が見えてくるのです。
いやぁ~、この僅かな差は気づかなかった。
正解は、下の模範解答をご覧ください。