丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
第44回気象予報士試験 実技2 問4(1)
地形図に降水領域を重ねてみると、山岳地帯の南西面であることが分かります。
また、図10でその時刻の風と相当温位の様子を見ると、高湿で45ノットの強い南西風が吹き付けていることが確認できます。
これらの条件が揃えば、キーワードは、「強制滑昇」ではないかとピンときました。
また、問題文にある「降水短時間予報の手法」とは、「当面の状況が維持される外挿法」を指していると判断しました。
これから見えてくるキーワードは、雨が長時間「維持」される、あるいは長時間「持続」することでしょう。
この思いを25字で表現します。
25字は非常に短いので、かなり簡略化しなければなりません。
狙ったキーワードは「強制滑昇」「持続」です。
「湿った暖気が山岳で強制滑昇され、それが持続する地域。」(26字)
これは、かなり良い出来だと思って模範解答を開いてみると
「強い暖湿気流が山にぶつかり上昇し、雨が強まる地域。」(25字)
あれれ、重要なキーワードだと思った「強制滑昇」も「持続」も使われていない。
問題文で「積算雨量が多い」ことを求めているのだから、「雨が強まる」のは自明のことで、文字数を限られた解答文にわざわざ書く必要はないような気がしますね。
「積算雨量が多い」理由を求めているのだから、「雨が強まる」よりも「持続する」ことが重要だと思いますよ。
わたしの解答の「湿った暖気」よりも「暖湿気流」の方が、きれいですね。
それと、わたしの解答には「雨」に触れていないので、これらを修正して、
「強い暖湿気流が山で強制滑昇し、強雨が持続する地域。」(25字)
わたしのなかでは、これが考え得るベストの文章だと思います。
「持続」を入れている点で、模範解答よりも良いです。
第44回気象予報士試験 実技2 問4(2)
[1] 「大雨災害」としたが、「土砂災害」でした。
土壌雨量指数だから、土砂災害や崖崩れを思い浮かべるべきでした。
[2] 前1時間に限定しているのだから「長期間」のはずがない。
だから「短時間に大雨が降った」でしょうね。
[3] 地中にしみ込んだ水も考慮するので「長期間大雨が続いた」でしょう。
[4] 「小さい」← 当たり前過ぎて解説のしようがない
[5] 「低い」← 同上
[6] 「小さい」としたが「左」でした。
単純に「左」と書いたら、グラフの意味を理解していないなどと言われそう。
これで不正解にされたら、困りますね。
第44回気象予報士試験 実技2 問4(3)
これは分からなかったね。
冷静に考えてみましょう。
下の囲みは問題文ですが、問題文に不自然なところがあります。
(3) 土壌雨量指数は,土壌水分量をモデル化したもので,その時刻までに降った 雨量の積算量から,河川への流出に相当する雨量を差し引いた量である。
この 土壌雨量指数と雨量の積算量との関係に着目して,表 1 の前 1 時間雨量および 土壌雨量指数の時系列をもとに,表 1 の空欄 ([1]),([2]) に適切な,それぞれ異なる数値を次の枠内から選び答えよ。
普通の計算問題であれば、わざわざ「それぞれ異なる数値を」などと、但し書きを書く必要はありません。
この問題文の裏を考えると、同じ数字を選んでしまう可能性があるという意味が含まれているのです。
以下の説明で分かりますが、この但し書きがないと[2]の答えが2つになり、解答が定まらなくなるのです。
この問題のいやらしいところは、計算では答えが出ないところなのよ。
正解は、「130」と「146」なんだけど、足したり引いたりしても、130と146という数字は出てこないの。
いわば、推理ゲームのように可能性を絞り込んでいくのね。
その推理の結果、これしかないって、決めるのよ。
あなたに分かるかしら?
解説動画を作ったのでご覧下さい。
では、その手順を説明します。
もう少し理屈っぽく書いてみると、こんな風になります。
〔土壌雨量指数〕=〔降った雨量の積算量〕ー〔河川への流出量〕
数式にするために
- I:土壌雨量指数(Index)
- R:降った雨量の積算量(Rain)
- L:河川への流出量(Loss)
とします。
9時の土壌雨量指数をI9、10時の土壌雨量指数をI10のように表現します。
定義により
- 9時 I9=R9-L9 ・・・式1
- 10時 I10=R10-L10 ・・・式2
9時から10時までの1時間に降る雨量予測は、60mmなので、
R10=R9+60 ・・・式3
9時から10時までの1時間に河川に流出する量をxとすると
L10=L9+x ・・・式4
河川から流入する可能性はないので、xが負数になることはない。
式2に、式3と式4代入すると
I10=R10-L10
=(R9+60)-(L9+x)
=(R9-L9)+(60-x)
式1を代入して
=I9+60-x
表から I9=77なので
I10=77+60-x
=137-x
xは、負数になることはない。
xがマイナスとは、河川から上流の土壌に逆流すること意味しますので、ありえません。
以上の考察から、I10は、137より小さいことになります。
選択肢の中で、137より小さいのは[1]「130」ですね。
[2]は簡単です。
11時30分の土壌雨量指数が152で、この後30分間は降水がない予想ですね。
降水がなければ、土壌雨量指数が大きくなることはありません。
152より小さい選択肢が、2つ(130と146)ありますが、
130は[1]で使用したので、残っているのは[2]「146」です。
問題文の指示で、[1][2]はそれぞれ異なる数値を選ぶように指示されていますからね。
念の為に、[1]について、6時、7時、8時の数字を使って検証してみました。
6時 I6=57 6時から9時までの雨量=11+2+10+60=83
I10=57+83-x=140-x ⇒ 140より小さい
7時 I7=67 7時から9時までの雨量=2+10+60=72
I10=67+72-x=139-x ⇒ 139より小さい
8時 I8=68 8時から9時までの雨量=10+60=70
I10=68+70-x=138-x ⇒ 138より小さい
どの時刻から計算しても、「130」が選ばれます。
第44回気象予報士試験 実技2 問4(4)
これは、前の問4(3)の「土壌雨量指数」が出来ていれば簡単でしょう。
逆に、前問が分からなかったら、スネークラインのプロットも出来ないし、次の警報の日時も分からないわね。
上の「土壌雨量指数」を推理する問題は、配点は6点だけど、
実は(4)と(5)も支配しているので、16点の重みがある大きな問題だったのよ。
前問ができてれば、数字を読んでプロットするだけの作業です。
問題文では、黒色で記入するように指示されていますが、ここでは赤色で示しました。
第44回気象予報士試験 実技2 問4(5)
前問でスネークラインが正しく描けてれば、悩む要素はありませんね。
大雨警報:「10時00分」太破線のラインを超えたから。
土砂災害警戒警報:「10時00分」太実線のラインを超えたから。
たまたま同じ答えになって戸惑った人もいるでしょうが、不自然ではありません。
模範解答