第49回気象予報士試験 一般知識

丸囲み数字は一部の機種で文字化けになるので、ここでは[1][2]の表示をします。

目次

第49回気象予報士試験 一般知識
問1 問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10 問11 問12 問13 問14 問15

問1

第49回気象予報士試験 一般知識問1

基本的な問題で、あまり悩む要素はないと思います。
確実に得点したい問題です。

(a)は『誤』

気温減率はほぼ一定ですが、温位は高度とともに大きくなります。
温位の問題がでたら、まずマノグラムを考えると分かりやすいことが多いです。
下図のように、等温位線は乾燥断熱線として表されます。
乾燥断熱線は左に傾いているので、高度上昇とともに乾燥断熱線を大きい方にまたいでいくので、温位は大きくなります(クリックすると大きい図が開きます)

(b)は『誤』

対流圏界面とは、対流圏と成層圏の境界のことを言います。

対流圏界面は、地表面に対して水平ではなく、赤道付近では15km程度と高く、北極や南極地方では、10kmと低くなるのが一般的です。

下の図は、一般気象学〔第2版〕p251の図9.1に着色したものです。
対流圏界面は、気温減率が急に小さくなる部分で、下図にグリーンのラインで示した辺りになります。

赤道付近では210Kですが、極地法では230K~240Kとなり、赤道付近よりも気温が高くなっています。

ですから、『赤道付近よりも中高緯度の方が低い』は誤りです。

(c)は『誤』

この問題は、語呂合わせ呪文の『高層大気の絵描き歌』を見てください。

成層圏で最も気温が高いのは成層圏界面付近であり、オゾン層の高度ではありません。

正解は[5]です。

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問2

第49回気象予報士試験 一般知識問2

手計算が苦手な人には、見た瞬間に恐怖が湧く問題ですが、内容は簡単で知識はほとんど要りません。

ボイルの法則とシャルルの法則

ボイルの法則は、温度が一定の場合は、気体の体積は圧力に反比例する。
シャルルの法則は、圧力が一定の場合は、気体の体積は絶対温度に比例する。
これを合わせて、ボイル・シャルルの法則と言います。

難しい式はともかく、上から計算してみましょう。
比例と反比例ですから、小学校の算数ですね。

高度40km:
体積=4×(250/300)×(1000/3)=1111m3

高度30km:
体積=4×(225/300)×(1000/10)=300m3
ビンゴ! ズバリ300m3が出たので、これが求める高度になります。
これより低い高度では、体積はもっと小さいので破裂しません。

正解は[2]です。

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問3

第49回気象予報士試験 一般知識問3

K-indexなどと見慣れない言葉にビビりますね。
おそらく、ほとんどの受験生が知らない言葉だと思います。

式を構成している3項の意味と大気の安定性の基本原理を組み合わせれば、分かる問題ですが、時間制限のある試験会場で、ここまでの冷静な分析ができるか、と言うところですね。

式の意味を考える

この式は3つの項で成り立っています。
それぞれの項の意味を考えてみます。

初項の(T850-T500は、850hPaと500hPaの気温差、つまり気温減率です。
気温差が大きい(下層が高温で上層が低温)と、大気が不安定になります。

第2項のD850は、850hPa(下層)の露点温度です。
露点温度が高いほど湿っていて水蒸気量が多いのです。
乾燥していたら雲ができません。
下層の水蒸気量が多いと対流雲が発生しやすくなります。

第3項の(T700-D700)は、700hPaの湿数を示しています。
飽和状態では湿数がゼロで、乾燥しているほど湿数が大きくなります。
大気の不安定を示すなら、大きな湿数は乾燥状態なので、不安定とは逆の因子になります。

ここまで整理すると解答が見えてきますね。

(a)はマイナス

大きな湿数が逆の因子なのですから、『プラス』ではなく『マイナス』が妥当ですね。
問題文中の『850hPaと700hPaの水蒸気量が多いほど』が大きなヒントになっています。

(b)は気温減率

図の中にも書いてしまいましたが『気温減率』です。

(c)は雷雨

大気の不安定がもたらす降水は『雷雨』です。

正解は[1]です。

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問4

第49回気象予報士試験 一般知識問4

この問題は、戸惑った人が多かったのではないでしょうか。
体積と言われて、4/3・πr3、断面積はπr2、落下速度はVまで考えたけど、その後どうしたら良いのか分からないって。

比例の式では係数は消して良い

問題文に沿って式を図示すると次のようになります。
なお、与えられていない変数は次の通り自分で仮定します。
G:重力
R:抵抗力
V:雨粒の落下速度
r:雨粒の半径

(a)は、上図で説明した通り1/2です。

(b)は、r=1/2で計算をすればよいのです。
V=8.8×(1/2)1/2
=8.8×(1/√2)
=8.8×0.7=6.1

一番近い6.3が正解です。

正解は[1]です。

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問5

第49回気象予報士試験 一般知識問5

この問題は(a)は黒体が吸収体と理解すれば解けるし、(b)は暗記問題として当然知っていてほしい。
すると悩ましいのは(c)ですね。

(a)は『誤』

黒体とは、入射した電磁波を全て吸収してしまう物体です。
大気は、可視光を透過するので、近似的にも黒体とはみなすことは出来ません。

(b)は『正』

地球のアルベドは0.3と覚えておいてください。

(c)は『誤』

太陽は短波放射、地球は長波放射を覚えていれば、温度が高い方が波長が短くなることは容易に推測できます。

きちんと書けば、ウィーンの変位則より、波長は絶対温度に反比例することが分かります。
λm=2897/T

正解は[4]です。

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問6

第49回気象予報士試験 一般知識問6

問3のK-indexに続いて、またまた聞き慣れない用語が出てきました。
数式に当てはめるだけで(a)の答えが決まります。すると自動的に(c)も決まるので、悩むのは(b)だけになりますね。

(a)の式

ロスビー数のことを知らなくても、問題文を式に表すとこうなります。
(U2/L)/(f0U)=U/(f0L)
ここで気をつけるのは、コリオリパラメーターは大きさを持たないことです。
暗記項目としてf=2Ωsinφと覚えていますよね。
(Ω:地球自転の角速度、φ:緯度)
コリオリ力の大きさは、〔コリオリパラメータ×風速〕になります。

これで、選択肢は[4]か[5]となり(c)は『地衡風平衡』に決まります。

(c)は静水圧平衡

ここで、先に(c)を見てみましょう。
問題文意から、総観規模の大気現象の水平方向(垂直方向ではない)の動きに関する問題であることが明らかです。
『静水圧平衡』は垂直方向の計算なのでここでは関係なく、水平方向を論じている『地衡風平衡』が正解になり、選択肢は[4]か[5]で間違いありません。

(b)は小さい

この式 U/(f0L) の解が1より大きいということは、総観規模の水平スケール(通常は数千km)よりも風速Uの影響が大きい状態(台風とか)であり、『地衡風平衡』ではなくなります。
ここでは、1より十分『小さい』ことが求められます。

正解は[5]です。

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問7

第49回気象予報士試験 一般知識問7

奇妙な図を、3次元的に捉えられるかが勝負の分かれ目です。
空気の流れが図示できれば、答えは自動的に導かれます。

図示してみましょう

上昇流と下降流の様子を図示して、水平流を書き加えると下図ようになります。

図で説明した通り、収束するのは[4]です。

正解は[4]です。

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問8

第49回気象予報士試験 一般知識問8

(c)と(d)はイメージ的に分かりそうな気がします。
すると選択肢は[2]か[5]に限られるので、(a)(b)のどちらか一つが分かれば答えが決まります。

(a)は『正』

問題文通りで正しい。下図のハドレー循環の上空の風(ピンク色)参照。

画像出典:https://blog.goo.ne.jp/morinoizumi33/e/61aad68d964107efa8c914678cafa42d

(b)は『誤』

大気圏上層を流れるジェット気流は、温度風の関係を満たしているので、南北の気温傾度が大きいところに強い風が吹きます。
『気温傾度の大きさが小さい緯度付近』は誤りです。

温度風の基本知識は『温度風の解説』をご覧ください。

(c)は『誤』

(a)と(d)に示した図でイメージされるように、台湾付近を流れる『亜熱帯ジェット気流』は、年間を通じて比較的安定しており、大きく蛇行することは珍しいです。

これに対して『寒帯前線ジェット気流』は、季節変化もあり、大きく蛇行してブロッキング現象を発生するなど、時間的にも空間的にも位置の変化が大きいのです。

したがって、(c)の文章は誤りです。

(d)は『正』

問題文通りで正しい。ブロッキング高気圧や寒気となる。

画像出典:http://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/tokyo/kikou/kantokoshin/TenkouKaisetsuKentyo1Syosai_Kanto-Koshin.html

正解は[2]です。

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問9

第49回気象予報士試験 一般知識問9

どれもこれも怪しげで全部間違いに見えてきますが、竜巻が台風に関連する事例が多いことを知っていれば、(c)(d)は除外できそうですね。

(a)は『正』

文章通りで正しいです。

(b)は『誤』

竜巻とじん旋風は、発生メカニズムが異なるので、スケールの大きさで分けようとしているの問題文は誤りです。

竜巻は対流活動に伴う大気現象で、通常は積乱雲の活動に付随して発生します。
これに対してじん旋風は、晴れの日でも地表面が日射で加熱されて上昇気流が発生してじん旋風に発達することもあります。
発生原理がまったく違うので、問題文は誤りです。

(c)は『誤』

こんな問題をよくも気象予報士試験に出題したものだ、と思うくらいの激しい誤りです。

政府広報でも次のように呼びかけている通り、竜巻の発生原因として台風は無視できません。

日本では、竜巻は、台風や寒冷前線、低気圧などに伴って、季節を問わず発生していますが、特に、積乱雲が発達しやすい夏から秋にかけて発生確認数が多くなっています。
出典:政府広報 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200805/5.html#section2

(d)は『誤』

政府広報の資料をご覧ください。
竜巻が最も多く発生している月は9月ですから、6~7月とする問題文は誤りです。
台風の影響は、十分に考えられます。

画像出典:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200805/5.html#section2

正解は[1]です。

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問10

第49回気象予報士試験 一般知識問10


全問が記憶問題のようですが、(b)を知っていれば、(c)は誘導できるんです。
でも。試験会場で冷静に推敲するのは難しいでしょうね。
一度、理論的な解析の経験があれば容易に思い出せるでしょう。

(a)は『誤』

オゾン量が最も多くなるのは、冬ですから、問題文は誤りです。

(b)は『正』

下図は、1月の経度平均気温分布です。つまり南半球が夏半球です。

画像出典:一般気象学【第2版】P251に着色した

図から、高度20km~60kmでは、夏半球(南半球)の極域の気温が高いことが分かります。

(c)は『正』

成層圏でも温度風の関係が成立します。
南半球では、高温領域を左手に見て吹くので、南極を左側に見て吹く風は東風になることが、(b)の図から判断できます。
全球で一様に南側が高温なので、温度風の関係から北半球では温かい方を右手に見て吹くので西風になります。

つまり、赤道を挟んで南半球では東風が、北半球では西風が卓越することになります。

下図は、一般気象学【第2版】からの図ですが、1月の高層大気の風を示しています。ブルーが東風、レッドが西風の領域で、温度風の関係での風向推測がほぼ正しいことが示されています。

南半球が夏半球なので、『夏半球では東風が卓越する』とした、問題文は正しいのです。

画像出典:一般気象学【第2版】P254に着色した

正解は[3]です。

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問11

第49回気象予報士試験 一般知識問11


エルニーニョは出題比率が高い問題なので、しっかり理解しておきたいですね。

(a)は『正』

平年は貿易風によって太平洋の海面が西に流されることによって、ペルー近海で水温が低い海水が表面に引き上げられる湧昇が発生します。
そのため、温かい海水は太平洋西部からインドネシア近海まで押し込まれて、太平洋中央部の海水温はやや低くなります。

これに対して、エルニーニョの年は貿易風が弱いので、ペルー近海の湧昇が弱く、太平洋中央部の海水表面温度は、平年より高くなります。

(b)は『誤』

下の図は、エルニーニョが発生した年の海面気圧の偏差を示したものです。

ダーウィン付近の気圧が平年より高く、タヒチ付近の気圧が低いことを示していますから、問題文は誤りです。

画像出典:気象庁http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html に文字挿入

ダーウィンは太平洋西側の代表ポイント、タヒチは東側の代表ポイントとして扱われています。
この図を見るまでもなく、エルニーニョの年は、貿易風(東風)が弱いのですから、東西の気圧傾度は小さくなるはずです。
つまり東側の気圧が平年より低くなり、西側では高くなる傾向であることは、容易に想像できます。

このくらいは、頭の中で整理しておきましょう。

(c)は『誤』

(a)の図に示した通り、エルニーニョの年は、太平洋中央部の海面水温が上昇するため、活発な積乱雲の活動地域がインドネシア付近から東の方向に移動します。

この結果、インドネシアや太平洋西部では、対流活動が少なく降水量は減少傾向になりますので、『降水量が平年に比べて多くなる』という問題文は誤りです。

(d)は『正』

エルニーニョの年は、太平洋高気圧の日本への張り出しが弱いので、西日本では夏の気温が低くなる傾向があります。

画像出典:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/tenkou/nihon1.html

正解は[3]です。

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問12

第49回気象予報士試験 一般知識問12

法規問題のまとめを覚えておいてください。

気象業務法施行規則の第50条に、報告書提出を定めています。

(a)は『誤』

予報の対象区域は、気象庁長官の認可を要する項目であり、報告の対象ではありません。

(b)は『正』

事業所の所在地変更は、50条1項六号に該当するので、報告書を提出しなければなりません。
具体的には、予報業務許可申請書に添付すべき予報業務計画書の記載事項です。

(c)は『正』

現象の予想の方法は、50条1項六号に該当するので、報告書を提出しなければなりません。
(b)と同様に、予報業務許可申請書に添付すべき予報業務計画書の記載事項です。

(d)は『誤』

『利用者に予報事項を迅速に伝達するための施設』に関しては、第50条に定めはありませんから、報告事項には含まれません。

正解は[4]です。

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問13

第49回気象予報士試験 一般知識問13

気象予報士本人に関する問題は出題頻度が非常に高いので、確実に履修しておきましょう。

(a)は『誤』

気象予報士の登録抹消の期間は2年間ですから、3年間の問題文は誤りです。

(b)は『誤』

気象業務への従事については、気象予報士を採用した気象会社等(予報業務の許可を受けようとするもの)が気象庁長官に提出すべきものであり、気象予報士本人が届け出るものではありません

(c)は『正』

問題文通りで、正しいです。

正解は[5]です。

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問14

第49回気象予報士試験 一般知識問14

(a)は『正』

これは、常識的に考えてダメでしょう。
3年以下の懲役若しくは100万以下の罰金刑が定められおり、重い罰則です。

(b)は『誤』

死亡の届け出が義務付けられていますが、罰則はありません

(c)は『正』

50万円以下の罰金の罰則が定められています。

(d)は『正』

30万円以下の罰金の罰則があります。

正解は[2]です。

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問15

第49回気象予報士試験 一般知識問15


(a)は『正』

一般警報も特別警報も、通知先は同じです。
消防庁、海上保安庁、都道府県、東・西NTT、NHK

(b)は『誤』

警報は『通知するように務めなければならない』努力義務
特別警報は『通知しなければならない』義務

(c)は『誤』

地方予報区を対象に発表されるのは、次の4つであり特別警報は含まれていません

地方予報区の対象
  • 天気予報
  • 週間天気予報
  • 季節予報
  • 波浪予報
正解は[3]です。

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