第50回気象予報士試験 実技1 問1

第50回気象予報士試験 実技1 問1(1)

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

21770

これは基本的な天気図穴埋め問題ね。
特に海上警報は伝統的な定番問題だから、全問正解しなくちゃダメよ。
1問1点だけど、全問で12点も稼げるのよ。

こんなところで取りこぼしをするようでは、合格は無理だわ。
絶対に間違えちゃダメよ!!

[1]東北東」矢印の方角を読み取ります。
緯度が高いので、経線と緯線が傾いています。
紙面に対して水平・垂直ではないので、角度に気をつけてください。
天気図の矢印が短いので、上図のような補助線で矢印を伸ばすと見誤りが減ります。

[2]「25」ノット。数値を読み取るだけの作業です。

[3]海上強風」警報。[GW]はGale Warningで「海上強風警報」の記号です。
[4]「34」ノット。 [5]「48」ノット。
『風が強くてにやけた三枝が』の語呂合わせで覚えておきましょう。

[6]「海上濃霧」警報、FOG[W]は海上濃霧警報の記号で、常識です。
[7]「0.3」海里。海上濃霧警報の発表基準は500メートルと覚えているはずです。
500mの選択肢がないと慌てないでください。
求められている単位は、メートルではなく海里ですよ

海里に換算すると、500m/1852m=0.27海里になります。
与えられた選択肢から選ぶと「0.3」海里ですね。
『海上濃霧明日までには五里霧中』の語呂合わせで覚えておきましょう。


[8]「5」下層雲量の数値を読み取るだけです。

出典:気象庁 国際式の天気記号と記入方式


出典:Wikipedia 地上天気図

[9]「層」雲または「積」
下層雲だから、層雲、積雲、層積雲、積乱雲から選ぶことになります。
さすがに、積乱雲は分かるでしょうから、残り3つから適当に解答すれば、ほぼ正解になります。

出典:Wikipedia 地上天気図

[10]「乱層」
問題文で「高層雲」が挙げられているので、解答は「乱層雲」になります。

出典:Wikipedia 地上天気図

[11]「弱い」 [12]「ない」

 

第50回気象予報士試験 実技1 問1(2)

この問題は、強風軸の解析が80%、文章表現力が20%くらいの配分ですね。

まず、300hPaの強風軸の解析をします。
強風軸の解析については、風速の等速度線分布矢羽の配置等高度線を参考にします。


等速度線の分布はこんな状況です。
80KTのピークに注目しつつ、60KTの広がりの形を把握します。


50KT以上の矢羽を矢印で表示してみました。
なんとなく流れが見えてきますね。


地衡風なので、基本的には等高度線に沿った流れになります。
完全に一致はしないまでも、参考にすべきラインが示されます。

以上の要素を総合的に判断して、このような図を想定しました。
最大のポイントは、80KTの強風域分布を通すことです。

茶色のラインが想定した強風軸で、赤い星が地上低気圧中心の位置です。

強風軸と地上低気圧位置がほぼ一致している様子が伺えますね。
ここまでできれば、80%完成です。

この様子を25文字の文章にまとめます。
注意すべきは、問題文で指定された単語を使うことです。
つまり、『地上低気圧の中心』『強風軸』です。
これを『低気圧位置』とか『ジェット気流』などと表現するのは好ましくありません。

また、これまでの気象業務支援センターの解答例を見ると『ほぼ』を付けるのが常套手段のようなので、これも外せませんね。

以上を踏まえて、25文字にまとめればこんな風になりますね。
北上大の解答案
強風軸地上低気圧の中心は鉛直上にほぼ重なっている。』(26字)
模範解答
地上低気圧の中心強風軸ほぼ真下に位置している。』(25字)

地上低気圧と強風軸の上下の位置関係を表現しているので、模範解答の方が優れているとも言えますが、北上大の解答でもきちんと表現できていると思います。

必須用語が『地上低気圧の中心』『強風軸』『ほぼ』で13文字です。
25文字といえば残り12文字しかありませんから、表現内容は限られています。

第50回気象予報士試験 実技1 問1(3)

日本海における低気圧中心といえば、だいたいこの辺りです。


この部分を中心に風向温度移流を調べます。

図3で風向の情報は矢羽しかありませんから、この領域の矢羽をピックアップしてみましょう。

判断しやすいように、南側から北方向に吹く風を赤色で、北側から南方向に副枷を青色に着色しました。

地上低気圧の東~南東~南側で南寄りの風が吹いていることが分かります。
この方向を『低気圧の南東象限』とか『低気圧の進行方向』あるいは『低気圧の前面』などと言いますが、状況に応じて使い分けます。

逆に、地上低気圧の北~北西~西側で北寄りの風が吹いていることが分かります。
この方向を『低気圧の北西象限』あるいは『低気圧の後面』などと言いますが、状況に応じて使い分けます。

これで、風向の状況が分かりました。

次に温度移流の状況です。

温度移流を判断する場合にしばしば観察されるのが、等温線をまたいで交差する風が吹く現象です。
暖気側から寒気側に風が吹けば『暖気移流』
逆に、寒気側から暖気側に風が吹けば『寒気移流』
と判断できます。

地上低気圧付近の2本の等温線(15℃と18℃)を書き加えて、分かりやすいように、等温線から離れた矢羽を消しました。

上の図を見ると、南寄りの赤い矢印は暖気側から寒気側に交差しており『暖気移流』、北寄りの青い矢印は寒気側から暖気側に交差しているので『寒気移流』であることが観察されます。

これで、問題文「風向と温度移流の状況を40字程度で述べよ」に対する、資料が整いました。

整理すると
風向:『低気圧の南東象限』または『低気圧の進行方向』あるいは『低気圧の前面』では、南寄りの風が吹いており、逆側では北寄りの風が吹いている。
温度移流:南寄りの風領域では「暖気移流」、北寄りの風領域では「寒気移流」となっている。

発達中の温帯低気圧の決まりパターンですね。

これを、40字で表現すればよいのですが、悩むのは領域の表現です。

『低気圧の南東側、北西側』でも良いと思いますが、問1(1)で進行方向と移動速度を答えさせているので『低気圧の前面、後面』が、より適切だと思います。

北上大の解答案
『低気圧前面では南寄りの風が吹き暖気移流であり、後面では北寄りの風が吹き寒気移流である。』(43字)
模範解答
『低気圧の前面では南西風が吹いて暖気移流があり、後面では北風による寒気移流がある。』(40字)

この風向きを『南西風』『北風』と言い切ってしまうのは、ちょっと勇気がいるなぁ。
こんなときは、『南寄りの風』とか『北寄りの風』という具合にちょっと濁すものだけど。

解説動画のご案内

第50回実技1の問1~問5の全部の解説動画があります。
サンプルとして『第50回実技1問4(1)』を下に掲示します。

基本的にここの解説記事に準拠しているだけなので目新しいことはなく、動画が特に必要なわけではありません。

でも、画面を見ながら人の声が聞こえると理解しやすいという人もいるかも知れませんね。
サンプルの動画をご覧になって気に入り、他の解説動画も見たい方はご利用ください。

恐縮ですが、めざてんサイトの運営費に充てるために有料設定(300円)にしています。
お支払いはクレジットカードになります。
リンクはこちらです。

第50回実技1の問1~問5の動画を全部まとめて

模範解答

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする