第50回気象予報士試験 実技1 問2

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

第50回気象予報士試験 実技1 問2(1)

これは、位置の書き写しを間違えなければ簡単な問題ですね。
この問題を間違えると、この図を読み取って答える問2(2)は全滅になりますから、丁寧に描きましょう。

低気圧の位置は、トレーシングペーパーで描き写すか、コンパス(またはデバイダ)で移すことになりますが、どちらでも構いません。

低気圧中心位置は低気圧表示の L の字のほぼ中央部分を狙ってください。
この図の場合は、あまりシビアではないので、だいたい中央であれば問題ありませんから、あまり神経質にならずに決めて構いません。

第50回気象予報士試験 実技1 問2(2)

穴埋め問題ですが、配点が2点なので、これはビッグチャンスです。
(試験の配点は試験会場では分からないことですが)

[1]「北東」
問2(1)の解答図で00Hの位置から12Hの方向と24Hの方向がほぼ同じなので、これを読み取って「北東」で正解です。

[2]「西海上」
これは単純に『西』でも正解になるかもしれません。
気象庁のサイトにはこんな風に書かれていますから、『北海道の西海上』が正解なのでしょう。

だけど、上辺の(地図)のリンクをクリックすると、下の地図にジャンプします。


これを見ると『北海道の西』でも正解にすべきでしょうね。

[3]「遅く」
これは(1)の解答を見たとおり、00-12の長さと比べて、12-24や24-36の長さが短いですから説明の必要がありませんね。

[4]「東南東」
36時間から48時間の線の方向を読み取り、指定の16方位で答えれば必然的に『東南東』になるでしょう。

[5]「8」hPa、 [6]「高」
24時間後と48時間後の天気図から低気圧の中心気圧の読み取り問題です。

数値が描かれている等圧線から何本目かを数えて気圧を算出します。
地上天気図では、等圧線は4hPa刻みで描かれています。

24Hでは1000Paから1本目です。
48Hでは、はっきり見えるのが1016hPaですから、ここから3本目の計算をします。

24Hでは、1000hPaから低気圧側に1本内側ですから1000hPa-4hPa=996hPaです。
48Hでは、1016hPaから低気圧側に3本内側ですから1016hPa-12hPa=1004hPaです。

24Hと48Hの中心気圧の差は1004-996=8hPaで、48Hの方が高いことが分かります。

第50回気象予報士試験 実技1 問2(3)

[1] 図5と図6の位置関係を確認すると次のようになっています。

Aの位置:低気圧中心の「北東」
A’の位置:低気圧中心の「北西」

LやHの文字位置については、めざてん掲示板でウルトラゾ~ンさんが調べてくれました。

LやHの位置について
 数値予報天気図はコンピュータで自動作成されており、低気圧・高気圧の中心の位置はおおむねLやHの文字全体の中央(たて・よこそれぞれの中央)だそうです。(←よって重心ではない見た目の中心)
ただし、天気図の全体の見やすさやバランスも考慮してマークを配置しているため、厳密には文字全体の中央と高・低気圧の中心が一致しない場合もあるそうです。

[2]
まず、風の様子を観察しましょう。
25ノット以上の矢羽に青い矢印を描いてみました。

A’については、風の渦の中心付近あることが分かります。
A’の位置は、旋回の領域よりもやや西側に位置しています。

低気圧がすぐ近くにあるのだから風の旋回があるのは当然ですね。
反時計回りの旋回の中心は、グリーンの楕円で描いた辺りです。

低気圧の中心付近の気圧が横長の形状になっているので、旋回の形状が横長の楕円形になっていると判断できます。

B’とC’は一括りで表現することになっているので、共通している風の状況を探します。
西からの25ノット以上の強い風の帯上にあることが共通点です。

風の状況を整理すると、こんなところですね。
A’:反時計回りの25ノット以上の強い旋回流域の西側に位置している。
B’C’:25ノット以上の強風帯に位置している。

次は、相当温位の分布です。

全体を俯瞰するために、330K以下、330K~345K、345K以上の3つの領域に分けて着色しました。

実際の試験会場でこんなことをしている時間はありませんが、330K、345Kのラインにマーカーペンか色鉛筆で着色するくらいのことはやっても良いでしょう。


この程度のことなら短時間で出来るし、大局をつかむのに有益です。
15Kごとに太線で示されているので、285、300、315、330、345のラインに着色すると概要がつかめます。

さて、こうしてみると、A’とB’C’がおかれている状況がよく分かります。

A’は、周囲よりも相当温位が高い極大域の近くにあります。

B’C’は、周囲よりも相当温位が高い帯状領域にあります。

C’の周囲はほぼ円形に囲まれているので極大域で良いですが、B’は帯状の高相当温位領域にあるので、極大域の表現にちょっと違和感が。
また、B’C’とも、等相当温位線集中帯の南縁付近にあります。

以上のような状況を踏まえて、A’については25字、B’C’については20字でまとめます。
与えられた文字数が少ないので、相当簡潔にまとめる必要があります。

A’ 北上大の解答「反時計回りの旋回流域と相当温位極大域の西側にある。」(25字)
模範解答「相当温位の極大域に近い低気圧性循環の中心の西側。」(24字)

B’C’ 北上大の解答「強風領域で等相当温位線集中帯の南縁付近。」(20字)
模範解答「相当温位の極大域付近で風の強いところ。」(19字)

そうか、問題文が『相当温位と風に着目して』と指示しているので、相当温位を前に持って来るべきだったのか!

A’については、『反時計回りの旋回流域』『低気圧性循環の中心』の表現が違いますね。
『反時計回り』と『低気圧性循環』は同じことなので、どちらでも良いと思いますが、『中心』の必要性はどうでしょうか。

『旋回流域』とか『循環』は、外側境界が明確に線引できるものではありませんから位置を明確に示すためには『中心』の表現が必要なのかもしれません。

B’C’については、模範解答よりもわたしの表現のほうが良いような気がします。
『相当温位の極大域付近』ですが、B’はともかくC’については、帯状の高相当温位領域にあるので、極大域付近と言えるのか。

それよりも、『相当温位線集中帯の南縁付近』と言う用語は、前線位置の常套句なので「これでいただき」と思ったのでした。
降水量予想の極大域なので、前線解析にも通じるところがあり、北上大の解答のほうが良いと思います。
(勝手にそう思っているだけで、公的な裏付けはありません)

[3]
この問題は、トレーシングペーパーで写し取るか、デバイダー(コンパス)で測るかで得られた結果を図上で測定するしかありません。

コンパスを使った中心点の描き写し方を動画で解説します。

続いて測定法です。
写し取る手法はともかく、結果はこんな図になるはずです。

緯度10°は600海里と定義で決まっています。
この天気図では、北緯30°~40°間は44mm、北緯40°~50°間は41mmでした。
(北上大は受験していないので、自宅のプリンタで出力した問題用紙の測定値を使用しています)

12時間後から24時間後まで、12時間経過後の移動距離を求めて移動速度を5ノット単位で答える問題です。

5ノットで12時間移動すると、移動距離は5×12=60海里ですから、上の図で60海里(600海里の10分の1)の長さをを5KTして見ると計算が簡単です。
(簡便のために5KY,10KT,15KTの長さmmを付記しておきました)

わたしのプリンターによる印刷によると、A-A’は5KTが4.1mmで、B-B’、C-C’は4.4mmが5KTに相当します。

A:「北東」「10」ノット
A-A’の矢印の向きは右上方向なので「北東」で問題ないでしょう。
長さは7mmでした。近いのは10ノットと判断できます。

B:「東北東」「15」ノット
B-B’の矢印の向きは、東方向よりもやや上向きなので、「東北東」になるでしょう。
矢印の長さは13mmですから、13.2mmの15ノットにほぼ一致します。

C:「東」「15(10)」ノット
C-C’の矢印の向きは、やや右下を向いていますが緯度の線と同じ方向なので、18方位では「東」になります。
ここで悩むのは長さです。
11mmはきちんと計算すると12.5ノットになってしまいました。
仕方がないから、四捨五入で15ノットを選びました。
しかし誰でも悩むのでしょうね、10ノットでも正解扱いになっていました。

計算をしないで、作図で移動速度を求める方法を紹介します。

[4] 差:「+28」mm
Bの予想降水量は22mm、B’の予想降水量は50mmなので
B’-B=50-22=+28になります。

予想降水の時間的・空間的変化:
降水量が2倍以上に増えることが分かりました。

Bの地点で降水量がふえる理由を書きなさいということですね。
ここで降水量が増加する理由としては、

  • 日本海の低気圧と太平洋の高気圧に挟まれた領域に
  • 梅雨前線が近づいてきて
  • 高相当温位の暖湿空気塊が南西風によって流入し、
  • 前線を刺激する

こんなストリーだと思うのですが、この質問では何を言わせたいのか分かりません。
他には一般的にはこんな理由も

  • 風の収束による上昇流発生
  • 山岳など地形要素による上昇流発生

降水量が増えるのは「降水」あるいは「降水域」がどのように変化するときか?って。
この質問では、前線とか風とかって関係ないみたいな。

「降水」がどうなったときって「降水が強まるとき」じゃ、答えにならないだろうな。
「降水域」がどうなったかって、0mm以上の降水領域を比較してみるとこんな図になります。

12Hよりも24Hの降水領域が広くなるとも言えないし、なんと表現したら良いのか分かりません。

もう一つヒントの言葉がありましたね。
それは『時間的変化』『空間的変化』です。

時間的変化ってなんだろう。⇒分かりませんね。

模範解答は次のとおりでした。
これは、質問の主旨が理解できないので、わたしには無理です。

だって、上の方に「降水が強まるとき」じゃ、答えにならないだろうな。
なんて書いていますが、それって正解じゃないですか。
さらに、「降水域の拡大」て、どこが?って感じだなぇ。
なんか、お手上げなので、下の模範解答を見てください。

模範解答:下記の4項目の中から3つ
「降水強度の増大」
「降水域の発生」
「降水域の拡大」
「降水域の移動速度の低下」

最後の「移動速度の低下」だけは分かりますよ。
これが時間的な変化ということなのか。

解説動画のご案内

第50回実技1の問1~問5の全部の解説動画があります。
サンプルとして『第50回実技1問4(1)』を下に掲示します。

基本的にここの解説記事に準拠しているだけなので目新しいことはなく、動画が特に必要なわけではありません。

でも、画面を見ながら人の声が聞こえると理解しやすいという人もいるかも知れませんね。
サンプルの動画をご覧になって気に入り、他の解説動画も見たい方はご利用ください。

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第50回実技1の問1~問5の動画を全部まとめて

模範解答

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