第50回気象予報士試験 実技2 問1

第50回気象予報士試験 実技2 問1(1)

「1008」hPa、天気図の数値を読み取る。
「東北東」矢印の方向を読み取る。

「しゅう雨」前1時間以内は過去天気ではなく現在天気を読みます。


「15」図1に図8下の等温線を重ねると、15℃の等温線が一致します。
前線解析の基本は、相当温位(なければ温位)の急激な変化領域の南縁付近です。
ここで、低気圧に近い等温線集中帯の南縁付近のラインを探すと15℃になります。


「1014」hPa、天気図の数値を読み取る。
「6」図1に図8下の等温線を重ねると、6℃の等温線が一致します。
④と同様に低気圧付近の等温線集中帯南縁のラインを探すと6℃になります。
「濃霧」警報
FOG[W]は、海上濃霧警報の記号です。

第50回気象予報士試験 実技2 問1(2)

問題文(ア):『この低気圧はすでに閉塞過程にあり』
『雲頂高度、寒冷前線に言及して』

温帯低気圧の発達モデルの過程を図示するとこんな風になります。

閉塞過程を衰退期と見ると、中心付近の雲域は薄くなり『雲頂高度』は最盛期よりも低くなり、『寒冷前線』は低気圧中心よりも南側に離れてきます。

これは、第47回専門知識の衛星画像ですが、同じ状況が分かると思います。

下の気象画像を見るとこの特徴にピッタリはまりますね。
団塊状の雲列から、寒冷前線の位置を推定しました。

  • 中心付近の雲域は薄くなり『雲頂高度』は最盛期よりも低い。
  • 団塊状の雲列から、寒冷前線の位置を推定した。
  • 『寒冷前線』は低気圧中心よりも南側に離れている。

この雲の様子をそのまま45字に書けば良いのです。

北上大の解答
『低気圧中心は暗いので雲頂高度が低く、寒冷前線に沿う雲列が低気圧中心から南に離れている。』(43字)

模範解答
『低気圧の中心付近の雲頂高度が低く、寒冷前線の雲バンドが低気圧中心の南側に離れている。』(43字)

まるでカンニングをしたかのようにそっくりですね。
でも、雲頂高度と寒冷前線に言及してと指定されると、こんな風になると思いますよ。

それにしても、『雲バンド』という用語は思い付かなかったなぁ。

わたしは、『雲列』と書きましたが、調べてみると『雲バンド』と『雲列』は微妙に違うようです。

雲バンド Cloud band
 帯状の雲域のことを雲バンドと呼ぶ。
前線に伴 う中 ・下層、上・中 ・下層な どの多層構造の帯状の雲域、及び対流性の雲域のことを指す。
バンドの幅は緯度1度以上で、幅と長さの比は1:4以上であることが一応の基準となる。
雲列 Cloud line
 列状に連なる雲のことを指し、対流性の雲から成る。
幅は緯度1度未満で、1度以上のものは雲バンドである。

上の衛生画像の寒冷前線の雲の幅は、緯度で1°以上ありそうだから、『雲列』では減点されるかもしれません。

第50回気象予報士試験 実技2 問1(3)

『東海地方から関東地方にかけては降水エコーが現れている』における降水域に関して、
①降水域の位置を答える
図1に問題の降水エコー図を重ねるとこんな感じになります。

見たままを言えば、

高気圧に対して

  • 外周部付近
  • 西(西南西)側
  • 進行方向後面

低気圧に対して

  • 外周部付近
  • 北(北北東)側
  • 進行方向の左側

これらの情報の中から、出題者が求めている条件をピックアップして30字にまとめることになります。
このとき注意しなければならないのは、問題は位置を問われているだけなので、高気圧や低気圧の風の影響に触れる必要はありません。

『日本の東の高気圧外周西側と南の低気圧外周北側に挟まれた領域。』(30字)

模範解答は
『高気圧の進行方向の後面で、低気圧の北側の気圧の谷の付近。』(28字)

うーむ。
これは、わたしには書けない答えです。

気圧の谷と気圧の尾根に着目すると、こんな風に谷と尾根が交錯しています。

『東海地方から関東地方にかけては降水エコーが現れている』における降水域との表現ですが、東海地方から関東地方は気圧の尾根にかかっていますから、『低気圧の北側の気圧の谷の付近』とする模範解答はわたしには書けません。

残念ながら、この問題の配点(5点かな?)は失うことになりそうです。

②渦度移流と鉛直p速度

渦度移流
『正の渦度移流』とか『負の渦度移流』は、聞き慣れない用語ですね。
そもそも移流を正しく理解していることが必要です。
物理量が一定の方向に流れることですが、その地点に着目すると該当する物理量に変化があります。
例えば、時間経過と共に気温が上昇すれば『暖気移流』だし、気温が低下すれば『寒気移流』です。

この判定なら、その地点の渦度が時間経過と共にプラスの方向に変化すれば『正の渦度移流』になります。逆にマイナスの方向に変化するなら『負の渦度移流』と判断できます。

さて、問題の場面を図で見るとこうなっています。

降水域は正渦度領域に重なっています。
等高度線に沿って地衡風が吹いていると想定できるので、西から東に吹いています。
さて、降水域の渦度が正の方向に動いているのか負の方向に動いているのか、わたしには判断できません。

模範解答は、『ア:正の渦度移流』となっているので、そうですか。と言う感じです。
はっきりしたことが言えなくて、申し訳ありません。

鉛直p速度
これは明確で簡単です。

降水域と鉛直p速度負領域(ハッチング部分)が完全に重なっており、-45hPa/hの極値も存在していますので、明確に『イ:負の鉛直p速度』と言えます。

③温度風の方向と風速
850hPa面と700hPa面のホドグラフを描いて、温度風ベクトルの方向と長さをよみとればよいのです。
基本的な考え方を下の図に示します。

別の用紙に描き写すと角度がずれてしまうので、問題用紙に直接書くのが良いでしょう。
風速を1ノット単位で求められているので、実際の作図例を示します。

上の図は、1ノットを5mmとして描いた図です。
850hPaの角度はものさしを2本組み合わせて、平行移動させました。
この結果、風向は『北北西』で温度風の長さは103mmだから20.6ノットになりました。
1ノット単位の結果を求められているので、四捨五入して『21ノット』を解答にします。

しかし、これほどアバウトな角度で、しかも与えられている道具はものさしだけであり、分度器も定規も認められない状態で、1ノットの精度を求めるはどうでしょうか。
5ノット単位の要求なら、自信を持って20ノットと答えたところですが。

温度移流
温度移流は、850hPaから高度と共に風向が時計回りに変化しているので『暖気移流』です。

第50回気象予報士試験 実技2 問1(4)

等圧補助線を引く問題ですが、1018hPaの基準になるデータは何も与えられていません。
すると、必然的に1016hPaと1020hPaの2本の等圧線の間になります。

福岡が1017hPaと指定されているのでその周辺は避けます。
さらに、1018hPaの高気圧も極値として独立していそうなので避けます。
すると、下図のグリーンの領域が残ります。

このグリーンの領域の中心付近に周辺と調和するような滑らかなラインを引くと、自然に模範解答図に近い形になりますね。

模範解答

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする