海陸風

  • このトピックには9件の返信、1人の参加者があり、最後に古久根 敦により5年、 11ヶ月前に更新されました。
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    • #8792
      とうり
      ゲスト

      皆様、『一般気象学』第2版補訂版の「海陸風と山谷風」には、以下のことについて、理論的な解析による説明がないのです。平成25年第2回問11(海陸風)専門知識。(a)その層の厚さは海風の厚さの半分程度である。先の教科書を知っているので、誤。(b)一般に(出ました!引用者注)海風の方が陸風よりも風速が大きい。計算されるのでしょうか。正。(c)海陸風は(略)コリオリの力が働くことがないので、誤。(d)一般風が海から陸に向けて吹いているときには、海風が内陸に侵入する距離が長くなる傾向がある。なんとなく、正。とくに、(d)については、どのように説明すればいいのでしょうか。ご教示いただければ幸いです。よろしくお願いします。

    • #8799
      門前小僧
      ゲスト

      とうり様

      (d)の解釈ですが、単純に「追い風」と考えていいのではないでしょうか。「一般風が海から陸に向けて吹いている」のであれば、「海風」にとっては「追い風」であり、その分、内陸の奥にまで侵入しやすくなる・・・という理屈です。逆に、一般風が陸から海に向けて吹いていれば、海風にとって「向かい風」ですから、内陸への新入距離は短くなる、と思います。
       海風・陸風は、一般風と比べれば、小規模な現象ですから、一般風の風向きや風速の影響を大きく受けることになります。 ・・・全然、論理的でなくて、すいません。

    • #8801
      ウルトラゾーン
      ゲスト

      門前小僧さんの回答と同じになってしまいますが、単純に一般風が海から陸に向けて吹いているときには、海風の風ベクトルに一般風のベクトルが加わり、逆の場合(一般風が陸から海へ風が吹いているとき)は海風のベクトルから一般風を引くと考えていいと思います。
      海風の場合、陸上が温められて地上では低気圧、海が高気圧となり気圧傾度力が生じますが、通常の海陸風自体は風速も小さくスケールも小さいためコリオリ力の影響が小さくて、単純に海→陸の方向へ風が吹くと考えても差し支えないのではないかと思います。厳密には進行方向右側へ力を受けて更に陸上に差し掛かったところで地上面摩擦の影響が大きくなって収束も起こるはずですが

    • #8807
      古久根 敦
      ゲスト

      投げかけをしたいと思います(^.^)

      1.一般風が海から陸に向けて吹いているときとはどういう気圧配置でしょうか?
      2.晴れている日,日中に陸地の上の空気が暖められると,1の気圧配置にどのような影響を与えるでしょうか?
      3.海風ベクトルと一般風ベクトルを足し合わせることが十分な説明になっているでしょうか?(結果的にはそうなるかもしれないけれど,では,なぜ足し合わせてもいいと言い切れるのかという意味)
      4.1~3で全体として海から陸に向かう風が強まったとした場合,なぜ内陸まで侵入する距離が長くなるのでしょう?(風は大気の流れですから,地表面付近では摩擦力を受けるはずです.摩擦の影響は風の強さとどういう関係でしょうか?というところにも踏み込むとしっかりした理解につながるのでは,という意味)

    • #8809
      とうり
      ゲスト

      古久根様、前1時間半、いろいろ文献を読んでいました。その結果、投げかけられたことについては、1と3、あるいは4を丁度考えていたところです。すいません、後出しで。文献などでは、関東地方で、南寄りの風と東からの風が、つまり気圧配置の関係で吹くので、一般風。すなわち、地形の影響をうけない局地的な風。そこに、日中、海風が最大5m/sで高さ2~300mのところで吹いて、摩擦の影響を受ける、あるいは受けないので、陸深く、20(最小か)~50km〈最大か)となるのでしょうか。この場合、一般風は、海風に足し算されていないように、思われるが、何らかの「駆動力」になるのでしょうか。簡単には、足し算されたように思われません。難しいところです。陸風は日没から1~2時間で、しかも2~3m/sだから、海に向こうまで進まない。関東地方の場合、谷風もあるので、風系全体としては、足し算とはならず、別々に、ひとつの風系(南寄りの風、海風、谷風)としてあるのか、と考えました。

    • #8811
      あきら
      ゲスト

      皆様、こんばんは。あきらです。
      なかなか面白い議論をされておられますね。日中海風が吹くのは陸側の地表が比熱差で海より加熱されて上昇流を生み、気圧で言えば地表高度付近で海側が「高」、陸側が「低」という配置になって「高」->「低」へ空気が移動するからだと記憶しています。そこで一般風が海->陸の時には、この「高」「低」のシステムが一般風に押されて陸側に移動し、それに伴い海風が内陸深くまで到達するのではないかと思いますがいかがでしょうか。

    • #8812
      とうり
      ゲスト

      あきら様、議論に参加ありがとうございます。古久根様の投げかけ、今も考えています。海風の場合、その範囲は高さ0~2kmで(1kmもあります)、そこに陸での上昇気流、陸から流れる反流もあるので、その反流と一般風との関係はどうなるのか、が・・・、この問題をどう考える上で、今も悩んでいます。あきら様、反流は、いかが考えられますか。なんとなく、一般風へのプラスか、マイナスか。

    • #8815
      あきら
      ゲスト

      とうり様、おはようございます。
      先に私が書いた「システムが移動するのではないか」というのは全くの私論(笑)なのですが、もしそれが「真」とするならば、対地的には、順流と反流に一般風のベクトルが合成されると思います。しかしシステム上ではあくまで順流と反流はそのシステムの気圧差で生まれていると思います。つまりそのシステムに乗ることができたら、その人は何も変わらない順流と反流を観測できるのではないかと。。。

      それと、反流の方が風速が小さい件ですが、陸側で上昇した気塊は気温が下がり、同高度の海側の気塊との間で気圧差が生まれて空気が反対に流れるようになり、この気圧差が、地上付近の海風を作る気圧差より小さいためだと思います。

    • #8826
      古久根 敦
      ゲスト

      皆様,こんばんは.

      もう少し待った方がいいかなと思いましたが,議論が凄すぎて,思わず書いてしまいます(^0^;)

      投げかけのメッセージの意図は,「なんか知らんけど,とりあえず考えてみる!」でした(^0^;) 私の投げかけの1~4でも説明できたフリをすることはできるけれども,本当にそうなんかいな?ということなのです.

      これが大切で,いわゆる「自分で仮説を作る」ということです.人間は大気のことをまだまだわかりきっていないのだから.仮説を作っては検証するということを続けていかざるを得ません.気象予報士試験でもそうで,未知の問題にぶち当たった時,これまでの仮説を作って考えた経験が活きてきて,こうやれば解けるだろうという仮説検証そのものが活きてきたりします.

      さて,海陸風については,人口の多くが世界的に見て沿岸部に集中しがちなこと,さらに日本では特にですが,沿岸部では工場などが多く汚染物質の輸送が問題になることから.非常に活発な研究がなされてきました.

      でも,結構難しいんです,海陸風は!(^0^;) なぜなら,沿岸部といっても,日本全国見渡せば,地形の特徴は様々です.ある場所では,山谷風も考えないといけないし,傾斜の大きな山岳の影響も考えないといけないし,一般風とどうやって切り離せば海陸風だけを取り上げられるかも考えないといけない,季節風をはじめ総観スケールでの状況も加味しなければならない,さらに海面水温や陸地の気温と言っているが,それだけで十分なのか(海面ではない海水温,陸地の上にある大気ではない陸地そのものの温度をどう考えるか)などなど,考えることがいっぱいで,超難しいテーマなのです.

      ここからは私の仮説です(^0^;)

      1については.一般風が海から陸に向かっているのだから,相対的に海側は高圧,陸側は低圧です.

      2については,晴れている日の日中なのですから,海面水温の方が気温よりも平均的に低い季節においては,日中の陸地の日最高気温を参考にすれば,海面水温と陸地の気温との差が非常に大きくなり,陸側の低圧の度合いが大きくなります.参考までに,海陸風が現れる時期や場所には季節や場所が関係しますが,これは,陸地の日最高気温や日最低気温と,海面水温との間において,その差が大きくなるのはどんなときだろうかを考える必要があるからです.例えば,春は海面水温がまだまだ低い状況において,陸地では日射によって日最高気温が高まり,海側と陸側で気温差が大きくなりやすいので海陸風が現れやすいです.海面水温は熱容量が大きいため,季節変動は大気よりも小さいです.

      蛇足ですが,3年前,ある予報士さんと論争になりました(^0^;) ある予報士さんは夏場の関東の猛暑は海風も影響していて海風が気温上昇に一役買ったと言いましたが,私は断固反論しました.結局理解してもらえませんでした(T_T) 関東から見れば海風は南寄りの風です.南寄り≒暖気というイメージが強かったのでしょう.しかし,夏場の関東の海風は涼しい風です.海面水温は陸地よりもかなり低いのですから.

      さて,1と照らしあわると,一般風が海から陸に向かっている,つまり海側が高圧,陸側が低圧にある状況において,日中に陸地が暖められると,陸側の低圧は度合いを増すはずです.なぜならば日中に暖められた空気は暖かいが故に密度が小さいため,その場所の地表面付近の気柱の重さは軽くなるからです.これが一般風をもたらしている陸側の低圧(気柱として海側よりも軽い気柱)を地表面付近からさらに低圧にします.

      3について,海風ベクトルと一般風ベクトルを足し算することは,厳密性という点では,やや不思議に思うことがあります.動くのは「空気」だからです.さらに一般風と言っているけれど,一般風って何?という疑問がわいてきます.一般風が850hPa面の風を言っているのならば,(流体力学で基本になっているのだけれども)クエット流れというのがあって,地表面付近では速度が遅く,850hPa面では速度が速いという状況が生まれ,必ずしも地表面の海風・陸風の強さを議論できないなぁ,どうしたものか,ということになってしまいかねません.これを回避するため,2で私は気柱の重さに着眼して仮説を組み立てています.

      4について,海風が強まれば,内陸部に侵入しやすくなります.このことが汚染物質の輸送にものすごく関係してきます.場合によっては,関東で発生した海風による汚染物質輸送が山を越えて日本海側へもたらすこともあります.

      海風が強まれば内陸に侵入しやすくなるということをもう少し考えてみましょう.

      皆さんの中に,風が強まれば摩擦も大きくなると思っている方はいませんか?

      これは間違いかもしれません.いや,今現在は正しいとされているはずです.摩擦という現象は実はわかっていないことの一つです.なので,私も断言はできません(^0^;)

      しかし,今知られていることとしては.摩擦の大きさは動く物体の速度には無関係ということです.なので,海風が強まれば,摩擦なんていうことは関係なく,海から来た大気はスイスイと内陸に侵入できます.ただし,海風といえども,動くのはドデカい空気です.ノロノロと侵入しているようなイメージです.ノロノロなので,日中にこういうことが起きていても,日が落ちて,陸地が冷え始める時間にさしかかったら,陸風に変わって,内陸への侵入は妨げられます.日最高気温が出る時間付近に間に合うだけの海側からの空気の侵入がポイントです.そのためには海風が強くなければなりません.

      ちなみに,海風の方が鉛直方向にスケールが大きいこと,あと,海風が陸風よりも強いこと,これらは日最高気温や日最低気温と,海面水温との差がどの程度大きくなるか,小さくなるかに基づいて説明できます.考えてみましょう!(^0^;)

      また,海陸風は場所にもよりますが,局地風とはいえ,それなりにスケールが大きいです.コリオリ力が働かないというのは誤りになります.実際,過去の研究で,海陸風をどう定義して実験材料にするかというところで,気圧分布に対して,角度が何度までは海陸風という定義をしていますが,コリオリ力が働く場合があるので,単純に海岸線との角度が直角とは言い切れないのです.

      というように,海陸風は,人類が沿岸に住み始めた時から興味津々の現象で,生活の知恵も多いものであるし,さらに現代,汚染物質の輸送にも関わる現象ですから,関心を寄せざるを得ないということ.さらに海陸風とは言え,その正体を正確に突き止めるには難儀なことが多いということ,そいういうことを感じてもらいつつ,気象予報士試験では,問題で出されていることに対して.自分なりに納得いく仮説があれば十分,ということをお伝えしたくて,問いかけをさせていただきました.(_ _)

      • #8827
        古久根 敦
        ゲスト

        一つ書き忘れました(^0^;)

        気象予報士試験でよく出てくる「・・・という傾向がある」という表現.

        要は,メカニズム的・理論的にははっきりとは断言はできないけれども,経験的にはそんな感じなんだよなぁ,っていう意味が含まれていると思ってみてもいいかもしれません.

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