第45回気象予報士試験 実技1 問1(動画解説付き)

第45回気象予報士試験 実技1 問1(1)

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
末尾に動画解説を添付しましたので、時間があればご覧ください。

コレは簡単な問題ですから、全問正解を狙いましょう。

j45k1q1z01

[1]進行方向はNORTH「北」と書いてあるので簡単ですね。
[2]低気圧では外側の気圧が高いので、一番外側の閉じた線を探すと「1000」hPaになります。
[3]赤い矢印で示した西側と青い矢印で示した東側を比べれば、東側の方が「短」いことが一目瞭然です。
[4]東側の等圧線間隔が「狭」いこともすぐに分かります。
[5]暴風域は東側で180海里、西側で90海里ですね。
ここで言葉選びの問題です。西側より東側で「広」いとなります。
[6]最大瞬間風速とはGUSTのことなので「100」ノットです。
[7]中心付近の最大風速が70ノットですから、100/70=1.42なので「1.4」倍になります。

第45回気象予報士試験 実技1 問1(2)

閉じた等圧線の範囲を記入して、可視画像と赤外画像を並べてみました。

j45k1q1z02

[1]可視画像(上)
雲域全体の形状=眼を中心としてほぼ円形である
粗密の特徴=南東部が密で北西部がやや粗い
これを25字にすると
「ほぼ円形であり、南東部が密で北西部がやや粗い。」(23字)

模範解答は
「円形だが、中心の北西側で密度が粗く隙間が見られる。」(25字)

これは、まったく同じ文章を書くことは出来ませんが、表現している内容は大体同じなので、一定の点数はもらえると思います。

[2]赤外画像(下)
輝度温度は、白いほど低温であることを示します。

中心から見た対称性って、なんだろう。
点対称とか線対称とかいう用語は、中学で習ったような気がします。

どこに対称性があるのだろうか?

画像を眺めていたら、白い雲が勾玉の形に見えてきました。
無理やり当てはめれば、黒い領域が点対称の勾玉になるかも?
こんなイメージです。
j45k1q1z03
25字で書いてみました。
「中心の南東部の輝度温度が低く、その点対称部が高い。」(25字)
模範解答は
「中心の北西側の輝度温度が高く、非対称になっている。」(25字)

ええ~っ! って感じですね。
普通は、対流活動の活発さを示す意味で、輝度温度が低いところ(白いところ)に着目して答えるものですが、ここでは黒いところに着目して解答しています。

もう一つの「ええ~っ!」は、非対称だって。
「中心から見た対称性に着目して」と振られたら、必死になって対称性を探すでしょう。
そうして、悩んだ末に「点対称の勾玉」を見つけ出した(笑)と思ったら、
「非対称」だって。
ほぼ、だまし討ちに近い\(*`∧´)/ ムッキー!!083844

勝手に怒っているのは、未熟者の証拠なんです。
実は、この出題意図は、台風の円形が崩れ始めていることに気づかせることです。
だから、「非対称」は重要なキーワードなのですよ。

[3]
対流雲の分布の特徴=円形で南東部が密で北西部が粗
対流雲の背の高さ=輝度温度が低いことは、雲頂高度が高いことを意味しています。
だから、南東部の雲頂高度が高い

30字にまとめてみると
「対流雲はほぼ円形に分布し、南西部の雲長高度が高く北西部が低い。」(31字)
模範解答は
「背の高い対流雲は、中心付近とその南東部に限られている。」(27字)

前問の流れを受けて、「活発な対流雲は北西部にはない」と言い切る点がポイントでしょう。
北上大の解答は、出題者の意図を汲んでいないのでダメデスね。

第45回気象予報士試験 実技1 問1(3)

この問題では、トレーシングペーパーの活用テクニックが必須です。

図-3にトレーシングペーパーを重ねて、下の図のように雲域Aと、付近の緯線と経線を写しとります。

20160328a

これを、順次、図-1、図-2、図-4に重ねて判断します。
このサイトでは、コンピュータで合成した図を使用します。

[1]下の図を見て、簡潔に言えと問われたら「停滞前線」と答えるしかないでしょう。
模範解答は「停滞前線付近」でした。

これは、まぁ、正解でしょうね。

j45k1q1z04

[2]下の図で、ハッチング領域が「正渦度領域」です。
雲域Aは「正渦度領域の南縁付近」と答えたくなりました。
この停滞前線は季節的にみて、梅雨前線なので、上層の強風軸と関連付けされることが多いのです。

強風軸といえば、渦度ゼロラインですよね。
そういう意味で、「正渦度領域の南縁付近」だったんです。

ところが、模範解答は「リッジ場の(中の)正渦度域」でした。
見ると、必ずしも正渦度域ではないので、納得しがたいのですが・・・。

j45k1q1z05

[3]この問題は、「簡潔ではなく」25字で答えなさいと言う課題です。
だから、上述の2問のように簡潔には答えられない状況を説明するのでしょうね。
j45k1q1z06

台風と相当温位の問題というと、高暖湿の空気が侵入することを問う問題が多いです。

この図にの345Kと342Kの領域に着色してみました。(下の図)
j45k1q1z06
この図を見て、北上大の解答は、
「台風に伴って北上した高相当温位域の侵入の先端付近。」(25字)
模範解答は
「相当温位集中帯の南縁付近で、高相当温位域の東端。」(22字)

0-14

狙いは正しかったのだけど、表現がマズいようですね。
これで点数がもらえるかどうか、微妙ですね。

第45回気象予報士試験 実技1 問1(4)

図4の850hPa相当温位分布の予想を赤色に着色して、図1の地上天気図に重ねたのが下の図です。
(クリックすると拡大します)

j45k1q1z07

相当温位線集中帯が、2つの前線をつないでいることに気付きます。
これを表現すればよいのです。

前線に対応する相当温位線の値を示しと指定されているので、その温度を決めなければなりません。

相当温位線集中帯ですから、たくさんの線がありますが、どの温度を選んだら良いでしょうか。

前線解析においては「等相当温位線集中帯の南縁付近」と覚えているはずですが、この問題ではその逆で前線位置から等相当温位線を決める問題になっています。

つまり、等相当温位線の南縁の線を選べば良いのです。
等温位線集中帯の南縁で前線と関連しているのは、下のグリーンの線です。

j45k1q1z08

この線が何Kか分かれば、この問題は出来たようなものです。

相当温位線の値を読み取るのが苦手な人がいますが、コツを覚えましょうね。

  1. 最初に、近くにある太い線を探します。
    太い線は、300K⇒315K⇒330K⇒345Kの順に15Kごとに並んでいます。
  2. その太い線の値を読み取ります。
    ここでは、周囲の数値から、右側が330Kで左側が345Kであることが分かります。
  3. 太い線から何番目かを読み取り、3の倍数を足します(あるいは引きます)
    この図では、330Kから高い方に2番目なので、6Kを足します。
    その結果、330K+6K=336Kであることが分かります。念の為に、345Kからも見てみましょう。
    345Kから低い方に3本目ですね。
    ですから、345K-9K=336Kと同じ数値になります。

基準の等相当温位が336Kであることが分かったので、解答を35字程度で書きました。
北上大の答え
「336Kを南縁とする等相当温位線集中帯が本州から南の前線まで続いている。」(36字)

模範解答は、
「336Kにほぼ沿う等相当温位線の集中帯が、ひと続きになっている。」(33字)

言いたいことは分かっているのですが、35字程度でどこまで表現できるかって話ですよね。

前線位置の作図は、336Kの等相当温位線を見れば自明なので、省略します。

下の模範解答を参照してください。

模範解答

j45k1q1ans

動画解説(19分07秒)


>>第45回実技1問2

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