第40回 気象予報士試験 実技2 問1(1)
丸囲み数字は機種によって文字化けするので、代わりに[1][2]の表示を使います。
この問題は、伝統的な定番問題だから、全問正解しなくちゃダメよ。
[1] 「15KT」と表記されているので、「15」ノット
[2] [GW]は[gale(強風) warning]の省略形で、「海上強風」警報。
この上に[SW]が[storm(嵐) warning」の省略形で「海上暴風警報」、更に[TW]が「海上強風警報」がある。
それぞれの基準風速の覚え方の呪文は、「三枝が無視した」にある。
[3] 三角形のような形はご存知の通り「寒冷前線」
[4] 下図のように、等温線が南に張り出しているのは「寒気移流」
[5] 半円と三角が背中合わせに並んでいるのは「停滞前線」
[6] 図の矢印の方向は「南東」
[7] 下図のブルーの領域の気温は「-6」℃。
[8] 国際天気図の決まりで、気圧変化量の時間は「3」時間
[9] +12は、「1.2」hPa上昇の意味である。
[10] FOG[W]は、「海上濃霧」警報。 視程の範囲は500メートル以下となる予想。
第40回 気象予報士試験 実技2 問1(2)
問題文で指定されている、黄海と日本海のだいたいの位置をマークで示した。
この間の雲の特徴を、感じるまま書き出してみると次の通り。
・赤外画像で明るいので、雲頂高度は高い。
・極側に凸になったアーチ型をしている。
・低気圧の発達時期に見られる、『バルジ』という特徴的な形状である。
これを25字にまとめるとこうなった。「雲頂高度が高く、極側に凸のアーチ型をしている。」(23字)
低気圧の今後の変化は当然「発達する」だ。
模範解答は「雲頂高度が高く,北縁が北側に凸になっている。」(22字) 低気圧は「発達」だった。
まぁ、許容範囲かな。
[2]
領域Aの可視画像と、赤外画像を並べたのが下の写真だ。
・可視画像で明るく、赤外画像で薄明るいので、雲頂高度が低い低層雲であろうと推測できる。
・可視画像の表面が滑らかなので、凹凸がある積雲系統ではなく、層雲の系統だろう。
・低層雲は、次の4種だ。積雲、層雲、層積雲、積乱雲。
このうち、積雲と積乱雲は明確に除外できる。
残るのは、層雲か、層積雲か。
層積雲などとややこしい雲は出題しないだろう。しかも非常になだらかな印象なので「層雲」にしよう。
根拠を35字にまとめる。
「可視画像で明るく雲頂に凹凸がなく平坦で、赤外画像で薄明るく滑らかである。」(36字)
模範解答は、「層雲」「可視画像では明るく雲頂表面が滑らかで,赤外画像では暗灰色である。」(32字)だった。
これも、正解で良いだろう。
[3]
「図2、3、4を参考にして」との指定なので、該当部分を並べてみたのが下の図だ。
・雲域Bは、850hPaでは湿潤域だが、700hPaで湿潤域がなくなっている。
・湿潤域がなければ雲は存在しないので、雲頂高度は、「850~700hPa」である。
その根拠は、「850hPaでは湿数が3℃以下の湿潤域が存在するが、700hPaでは乾燥域になっている。」(44字)
模範解答は、雲頂高度の範囲「850hPa より高く,700hPa より低い」
根拠は「850hPa では湿数が3℃以下で湿っており、700hPa では湿数が大きく乾燥している。」(43字)
これも、正解でよいだろう。
[4]
地上天気図に着目すると、高気圧からの吹き出しの風が目に着く。
風の場とは何だろうか?
状況を分析すれば、高気圧の南辺側で風速は10ノットでさほど強くはなく、風向は東寄り。
いつもながら、『場』という概念が理解できていない。
悩んだ解答は「高気圧から吹き出す東寄りの風の場」とした。
模範解答は、「高気圧の縁を回る風の場」だった。
着眼点は悪くないと思うが、表現が適切ではないような……。
第40回 気象予報士試験 実技2 問1 模範解答
問1
(1)〔10点〕
[1]15 [2]海上強風 [3]寒冷前線 [4]寒気移流 [5]停滞前線 [6]南東 [7]-6 [8]3 [9]1.2 [10]海上濃霧
(2)〔23点〕
[1]雲頂高度と形状の特徴:雲頂高度が高く,北縁が北側に凸になっている。(22字)
低気圧の変化:発達
[2]雲の種類:層雲
根拠:可視画像では明るく雲頂表面が滑らかで,赤外画像では暗灰色である。(32字)
[3]雲頂高度の範囲:850hPa より高く,700hPa より低い
根拠:850hPa では湿数が3℃以下で湿っており、700hPa では湿数が大きく乾燥している。(43字)
[4]高気圧の縁を回る風の場