丸囲み数字は一部の機種で文字化けになるので、ここでは[1][2]の表示をします。
目次
第49回気象予報士試験 専門知識問1
この問題は、気象庁の『気象観測の手引き』を参照すると答えが導かれます。
(a)は『正』
『気象観測の手引き』による日射の定義では次のように表現されています。
問題文と完全に同一ではありませんが、両者に齟齬は認められませんから『正』と判断します。
(b)は『正』
『気象観測の手引き』には次のように記載されていますので、問題文は『正』です。
(c)は『正』
同じく『気象観測の手引き』によれば、次のように表記されているので、問題文は『正』です。
(d)は『誤』
直達日射は、太陽から直接地上に届く日射なので、日の出前と日の入り後には観察されません。したがって問題文は『誤』です。
直達日射量が観測されるのは日の出から日の入りまでで,全天日射量は日の出前と日の入り後の薄明にもわずかながら観測される。
正解は[1]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問2
レーダーに近づく、レーダーから遠ざかる風の成分を矢印で示して、そこから旋回性を読み取ります。
低気圧性の反時計回りの旋回性があるのは[1]だけです。
正解は[1]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問3
(a)は『正』
文章通りで『正』です。降水域を通過すると電波が弱まるので、強い降水域を超えてくると降水が弱く観測されます。
(b)は『正』
通常の竜巻の直径は数十メートルから数百メートルと小さいので、ドップラーの解像度では検出できません。
巨大な積乱雲であるスーパーセルに伴う巨大渦巻き(メソサイクロン)は直径が数キロメートル以上に及ぶので、検出可能になります。
(c)は『誤』
ドップラーレーダーで得られた風データは、メソモデル(MSM)および局地モデル(LFM)の初期値解析に用いられています。
なお、ラジオゾンデ・データとウインドプロファイラによって得られた風データも同時に利用しています。
正解は[2]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問4
(a)は『誤』
アンサンブル予報においては、系統的な誤差を解消する仕組みは組み込まれていません。
多数のメンバーを平均化することにより、予報のばらつきを見て信頼性を高める手法です。
(b)は『正』
客観解析とは、数値予報モデルの格子点に入る気象状態の数字を与える作業です。
距離や高さなどの近くの空間的な計算で求めるの3次元に、更に時間の要素を加えて精度を改善したのが4次元変分法です。
(c)は『誤』
現状の数値予報モデルでは、通常の積雲を直接表現できるだけの分解能がありません。
模擬的に積雲対流パラメタリゼーションを導入していますが、数値予報モデルに組み込む精度はありません。
正解は[3]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問5
(a)は『誤』
これはまったく逆なので、すぐに分かったでしょう。
広がり(規模)が大きい方が、現象の寿命が長いことを、気象予報モデルの概念図で確認してください。
(b)は『誤』
この問題も(a)と同じで、予報時間が長いほどスケールの大きな動きであり、全球モデルの影響が大きくなります。
(c)は『正』
スプレッドが大きいとは、ばらつき幅が広いことを表していますので、予測が難しいことを意味しています。
上の図では、色付きのラインが各メンバーの予測ラインを示してます。
赤いラインの5700hPaはスプレッドが集中しているので、予測ラインがほぼ固まります。
これに対して、5100hPaの予測を示した水色のラインは、メンバーの予測ラインがバラバラ(スプレッドが大きい)ので、予測ラインの精度が悪くなります。
正解は[4]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問6
気象庁の『衛星による雲形判別』というpdfの中に、『雲形判別ダイヤグラム』があります。
上の図は、原図にイメージの着色を加えたものです。
色の濃さはイメージであり、実際の画像と比較することはできません。
(a)は『正』
中層雲は、可視、赤外の両画像で薄いグレーに見えます。
(b)は『正』
地表面に近い雲や霧は温度が高いため、赤外画像ではほとんど検出されません。
(c)は『誤』
赤外で明るいことから、積雲よりも上層の雲です。
線状に並んでいることから、トランスバースラインかと思います。
(d)は『正』
この形状から、通称『にんじん状の雲』と呼ばれる積乱雲であることが分かります。
可視と赤外の両方でこれだけ白いのは、それだけでも、ほぼ積乱雲と判断できます。
正解は[3]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問7
ガイダンスとは、数値予報で出力される数値から有効な情報を取り出す技術です。
NRN(ニューラルネットワーク)とKLM(カルマンフィルター)が利用されています。
具体的な目的は2つ
1) 系統的誤差の軽減(例:地形)
2) 数値では表せない項目の表現(例:天気)
(a)は『誤』
数値予報で十分に表現できないまでも、不十分ながらも傾向を示すなら、ガイダンスで誤差を軽減できますが、数値予報でまったく予想できない現象については、対応できません。
(b)は『正』
表現が不十分であっても数値予報に組み込まれている地形による降水量の誤差は、ガイダンスによって軽減できます。
(c)は『誤』
ガイダンスでは、数値予報の系統的誤差は軽減できますが、ランダムな誤差は軽減できません。
数値予報の予想と異なる(ランダム)現象には、対応出来ません。
正解は[5]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問8
(a)(b)(c)の問題文で示された条件を「ア」「イ」「ウ」の図の上に書いてみました。
(a)は『ア』
決めては、台風崩れの低気圧の上空に残る暖気核です。
東海地方の500hPaのwマークがあり、温暖前線と寒冷前線の表現にも矛盾がありません。
(b)は『ウ』
(a)が台風崩れ、(c)が停滞前線に対して(c)は温帯低気圧を示していると予測しました。
発達中の温帯低圧の特徴として、ドライスロットの侵入があります。
温暖前線と寒冷前線の位置関係にも齟齬がありません。
(c)は『イ』
伊豆諸島南部に低気圧中心を記入して、東シナ海から低気圧中心を通って、日本の東にのびている直線を描けば、合致するのは『イ』しかありません。
正解は[2]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問9
(a)は『誤』
西日本以西では水蒸気量の『東西傾度が大きく』は誤りで『南北傾度が大きく』とすべきです。
具体的には、南シナ海から流入する湿った南西風と、乾燥して温かい大陸性気団の間に形成されます。気温傾度は大きくありませんが、水蒸気量が違うので、しばしば等相当温位線の問題が出題されます。
(b)は『誤』
梅雨前線にかかわる低気圧は下層の低気圧なので、高度とともに不明瞭になります。
(c)は『正』
梅雨前線に関連する集中豪雨は、南側から流入する湿った暖気流に由来するので、前線上またはその南側で発生します。
北側で豪雨が発生することはまれです。
正解は[4]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問10
(a)は『正』
気象庁の『竜巻等突風のデータベース』を見ると、被害長さが30kmを超える例も示されています。
(b)は『正』
気象庁の竜巻分布図を見ると、沿岸部で多く発生している様子が分かります。
(c)は『正』
問題文通りです。
評定に用いることができる被害指標が、藤田スケールでは、住家、非住家、ビニールハウス、煙突、アンテナ、自動車、列車、数トンの物体、樹木の9種類に限られていましたが、日本版改良藤田スケールでは住家や自動車等が種別ごとに細分されたとともに、日本でよく見られる自動販売機や墓石等を加えたことにより30種類に増加しました。
出典:気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/tornado1-2-2.html
(d)は『正』
問題文通りです。
なお、竜巻発生確度ナウキャストや竜巻注意情報では、「激しい突風」をイメージしやすい言葉として「竜巻」を使っていますが、ダウンバーストやガストフロントに対する注意も含まれています。
出典:気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/tornado1-1.html
正解は[5]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問11
(a)は『正』
台風が予報円の東端を進んだときに、宮崎県の南東斜面で雨が強まる理由は2つ。
(1)海側からの風が斜面に対して直行するように当たるので、地形的効果により雨が強まる。
(2)台風中心からの距離が近いので、台風の直接的な影響を受けやすい。
(b)は『正』
台風による潮位の変化は、低気圧による『吸い上げ効果』と風による『吹き寄せ効果』があります。
予報円の中心は八代市の西側を通るので、台風通過後に西寄りの風に変わり吹き寄せ効果が最大になります。
非常に強い台風だから風速が強いので、吸い上げ効果よりも吹き寄せ効果が大きいので、台風通過後の潮位が最大になります。
(c)は『誤』
台風の左に立てば左巻を思い出してください。
この問題の場合、福岡市は台風の右側だから、右巻き(時計回り)になります。
正解は[2]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問12
(a)は『誤』
これは典型的な引っ掛け問題です。
誤差がゼロならOKと思いがちですが、プラスとマイナスで打ち消し合うんですよね。
プラス3℃の誤差の日と、マイナス3℃の誤差の日があれば、平均誤差では相殺されて誤差がゼロになってしまいます。
(b)は『誤』
この設問は、問題文が何を狙っているのか分かりませんね。
平均誤差を計算してみると
(2℃×2日+1℃×10日)-(2℃×4日+1℃×6日)=0℃
となり、プラス・マイナスの偏りはありません。
(c)は『正』
地点AのRMSEを計算してみましょう。
√((2×22+10×12+18×02+6x(-1)2+4x(-2)2)/40)
=√((8+10+0+6+16)/40)
=√1=1.0℃
地点BのRMSEが1.4と与えられているので、これよりも数値が小さい地点Aの気温予想のほうが精度が高かったと判断できます。
正解は[4]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問13
(a)は『誤』
記録的短時間大雨情報は、大雨を観測したり解析したときに発表されます。
予想では発表しません。
(b)は『誤』
発表の基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に、概ね府県予報区ごとに決めています。
全国で同じ値ではありません。
(c)は『誤』
1時間雨量の記録を基準に決めています。
3時間雨量は使用していません。
正解は[5]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問14
(a)は『正』
問題文通りです。
これは、なんにも解説のしようがありませんね。
気象庁のサイトから画面の一部を貼り付けておきます。
(b)は『正』
これも、問題文通りです。
竜巻注意情報は、竜巻発生確度ナウキャストで発生確度2が現れた地域に発表しているほか、目撃情報が得られて竜巻等が発生するおそれが高まったと判断した場合にも発表しており、有効期間は発表から約1時間です。
出典:気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/tatsumaki.html
(c)は『正』
問題文通りで正しい。
竜巻等に関連する気象情報は、次のように、時間を追って段階的に発表します。
- 半日~1日程度前には 気象情報 で「竜巻などの激しい突風のおそれ」と明記して注意を呼びかけます。
- 数時間前には 雷注意報 でも「竜巻」と明記して特段の注意を呼びかけます。
- さらに、今まさに、竜巻等が発生しやすい気象状況となった段階で 竜巻注意情報 を発表します。
出典:気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/tatsumaki.html
正解は[1]です。
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第49回気象予報士試験 専門知識問15
(a)は『正』
7月のある日で、太平洋高気圧が日本付近まで張り出しているので、梅雨明けの状況のようです。
問題文にあるように沖縄奄美付近が負偏差になっているので、この地域は気圧の谷に当たります。また、東の太平洋高気圧の縁に位置するので、これに沿って南の湿った空気が流入しやすくなります。
(b)は『誤』
オホーツク海高気圧が発生するためには、高度場が高くリッジになっているのが普通です。
等高度線を見ると、カムチャッカ半島の付け根付近に小さなリッジが見られるものの全体としてリッジ場ではなく負偏差となっているので、オホーツク海高気圧が発生しやすいとは言えません。
(c)は『正』
PJパターンというテレコネクションのパターンがあります。
極めて簡略にいうと次の通り
- フィリピン付近の対流活動が活発な夏 → 日本は晴天で気温が高い
- フィリピン付近の対流活動が不活発 → 日本は冷夏になりやすい
問題の図(B)を見ると、問題文にもある通り、フィリピン付近の対流活動は活発です。
すなわち、日本の夏は晴天で気温が高くなりやすいのです。
つまり、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが強いことを意味しますから『正』です。
フィリピン付近の西太平洋熱帯域と日本付近との間で対流圏下層の正負の高度偏差域が並ぶようなテレコネクションパターン。
盛夏期の日本の天候に大きな影響を及ぼす。
PJ は Pacific-Japan の略。
1980 年代後半に Nitta(1987)は、日本の夏の天候と北半球夏季における西太平洋熱帯域(フィリピン付近)での積雲対流活動との関係が深く、その対活動は西太平洋熱帯域の海面水温の高低とも深い関係にあることを指摘している。
西太平洋熱帯域の海面水温が平常よりも高い時に、フィリピン付近での対流活動が活発になり、大気を伝播する高低気圧の波列が生じて日本付近が高気圧に覆われる夏の様子を示したものである。
この状況が現れると、日本域では晴天が続き、気温が高くなる。
逆にフィリピン付近の対流活動が平年より不活発な場合には、日本付近は低気圧性偏差となり、気温が低くなる傾向がある。
出典:気象庁季節予報用語集 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kisetutext/25/chapter6.pdf
正解は[2]です。
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