第50回気象予報士試験 実技1 問3(1)
前線解析といえば、地上の低気圧の位置、等圧線の形状、風向、気温の分布(等温線)、降水域の分布、降水の強さ、等相当温位線、上昇(下降)流など、多くの因子を総合的に勘案して決めるものです。
しかし、850hPaの等相当温位線が与えられていれば、これが最強です。
その理由は、
- 850hPaは地形の影響が少ないので平滑なデータが得られる
- 相当温位には水蒸気のエネルギーが表現されているので、寒気(寒冷乾燥)と暖気(温暖湿潤)の特性の違いを明瞭に示す
からです。
この問題では、図8で等相当温位線が与えられています。
図8の上に、解答用紙の閉塞前線を描き写して、等相当温位線集中帯の南縁付近に寒冷前線を青色で温暖前線を赤色で記入しました。
問題文にも『地上前線は850hPa前線とほぼ同じ位置とする』なんて、すごいヒントが書いてありますから間違えることはないでしょう。
寒冷前線も温暖前線もどこまで描くのか悩ましいところです。
図1の前線描写に倣って、寒冷戦線は枠いっぱいまで、温暖前線は相当温位がなだらかになる辺りまで描写しました。
だいたい、こんな感じで解答用紙に記入すればほぼ正解でしょう。
前線記号(黒半円と黒いとんがり)を忘れないように注意してください。
寒冷前線は途中から停滞前線になっていますが、どこから停滞前線なのか判断が難しいです。
図1を参考にしつつ、寒気側の傾斜がゆるくなっている山陰沖辺りから停滞前線のマークにするかと言う判断ですが、試験現場では難しいでしょうね。
第50回気象予報士試験 実技1 問3(2)
温帯低気圧の発達メカニズムから、発達した低気圧が閉塞する過程では、上層の強風軸は低気圧中心の南側に回り込み、閉塞点の真上を通ることが多いです。
この問題は、解答用紙に描かれた閉塞点の位置を正確に写し取って、図9に描写すれば80%は完成です。
描き写したのが上の図です。
閉塞点は、9540mの等高度線上にありますね。
『300hPaの等高度線の値を示して』の部分は、9540mで良いでしょう。
念のために、9540mの等高度線が強風軸と一致していることを確認しておきます。
たくさんの矢羽の中で風速90ノット以上の矢羽を薄いブルーで、100ノット以上の矢羽を濃いブルーで着色してみました。
東経135°より西側では少しずれていますが、東経140°~150°の範囲では、強風軸が9540mに沿っていると表現して良いでしょう。
以上の状況を前提にして、『地上前線の閉塞点と300hPaの強風軸との位置関係』を30字で表現します。
ちなみに、白抜きした文字列が19文字なので、30字で表現するには、あと11文字しか使えません。あるいは、用語の表現を簡略かするか。
そうして書いた北上大の答え
『地上前線の閉塞点は9540mの等高度線を通る300hPaの強風軸のほぼ真下に位置する。』(43字)
長すぎるので圧縮します。
9540mと描写すれば300hPa付近であることは自明なので省略。
閉塞点といえば地上であることが明白なので省略。
『閉塞点は9540mの等高度線を通る強風軸のほぼ真下に位置する。』(31字)
模範解答は
『9450mの等高度線に沿った強風軸のほぼ真下に閉塞点がある。』(30字)
『等高度線を通る』と『等高度線に沿った』この違いで減点されるか?
それはワカラン!
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第50回実技1の問1~問5の全部の解説動画があります。
サンプルとして『第50回実技1問4(1)』を下に掲示します。
基本的にここの解説記事に準拠しているだけなので目新しいことはなく、動画が特に必要なわけではありません。
でも、画面を見ながら人の声が聞こえると理解しやすいという人もいるかも知れませんね。
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