過冷却雲中の水蒸気の挙動に関して、氷晶の成長が、過冷却水滴の成長よりも速いことを説明する呪文である。
語呂合わせとしては、「愛す⇒ice⇒氷」を採用している。
一般知識では非常に出題頻度が高いテーマである。
水は0℃以下になっても直ちに氷るわけではなく、液体の水と、固体の氷と二通りの状態をもつことが出来る。
このときに、水の表面に対する飽和水蒸気圧は高く(大きく広いイメージ)、氷面に対する飽和水蒸気圧は低い(小さく狭いイメージ)。
この結果として空気中の水蒸気は、水に対しては「飽和」だが、氷に対しては「過飽和」となる。
過飽和とは、いわば、狭いところに詰め込まれた状態である。
空気中の水蒸気は、過飽和では居心地が悪いので、楽になろうとして氷の中に飛び込み(氷晶に向かって拡散)、氷晶を成長させる。この結果として、過冷却雲中では、水滴の成長よりも氷晶の成長が速いことが重要な事実となる。(降水過程の問題としてしばしば取り上げられる)
狭苦しいところにたくさんの水蒸気が閉じ込められている状態が「過飽和」なので、水蒸気の気持ちになればきっと居心地が悪いに違いない。それなら、少しでも楽な氷の中に飛び込もうと、苦痛を解消する行動に出るだろうと、擬人化してみた。
氷と水との比較だが、うっかりするとどちらが過飽和なのか分からなくなることがある。
「水よりも、愛す(アイス=氷)る人に抱かれたい」
と水蒸気が嘆いて、傍にいるよりも愛する人の胸に飛び込んでいくと思えば、きっと思い出すきっかけになるだろう。
そんな様子を、次の図で示している。