層厚の厚みに関する出題では、必ず平均気温の比較が問題にされている。
同じ重さ(気圧)の空気が厚くなる(体積が大きい)のは、密度が小さいからなので、要するに軽いのである。
軽い空気は、平均気温が高いのだ。
この理屈を押さえておけば、層厚に関する問題は、ほとんど解ける。
分かり易いように図解をしよう。
なお、大気の空気中でカップから空気を注ぐような実験は実際には出来ないので、以下の図は大げさに描いたイメージであるので、想像力を膨らませて理解していただきたい。
「ふわふわの軽い空気」と「ずっしりと重い空気」を、カップからメスシリンダーに注いでいる。
両方とも同じ重さ(ここでは200グラム)になるまで、注ぐ。
200グラムになったところで、嵩高(容量)を比較すると、「ふわふわと軽い空気」の方が「ずっしりと重い空気」よりも量が多く、同じ断面積のメスシリンダーなら、高さが高くなる。
「鉄1キロ」よりも「綿1キロ」の方が量が多く嵩張るのと同じ原理だ・
これが、層厚の原理であり、『層厚あついは空気が軽い』の理由である。
次に、「ふわふわの軽い空気」と「ずっしりと重い空気」を、カップに入れて、温度を測ってみると、ふわふわ軽い空気は温度が高く、ずっしり重い空気は温度が低い。
気体の状態方程式 PV=nRT で圧力Pが一定であれば、V=(nR/P)Tと変形して (nR/P)は定数だから、気体の体積は絶対温度に比例する。
つまり温度が高ければ空気の体積は大きくなり、比重は小さくなるのである。
これが、『空気が軽いは温かい』の理由である。
層厚と平均気温に関する問題は、過去3年間だけでも次の4題があり、出題比率は高い。
しかし単純に層厚と平均気温だけではなく、さらに地衡風を絡めたり、気圧差による密度を絡めたりと、問題は複雑になっている。
第39回一般知識、問07 等高度線による二つの面を整理すると、「層厚と平均気温」の関係に帰結できる。
第38回一般知識、問06 第2の平面(P2)を創造するのに層厚の知識が必要であり、更に地衡風の関係を求めている。る。
第37回一般知識、問08 層厚と平均気温の関係で選択肢が二つ消え、その後、気圧傾度力で判断する。
第35回一般知識、問07 層厚と平均気温の関係を整理した後で、気圧が低い方が体積が大きいことに気付く必要がある。
試験で同じ図が出題されるなんてありえないと思うでしょう。
ところがそんなことがあったんですね。
下の枠は、第30回一般知識の問4です。
点ABCDEの層厚を算出して、そこから平均気温の高低を判断する問題です。
・点A=2940-1440=1500m
・点B=2940-1500=1440m
・点C=3000-1500=1500m ⇒ 上の点Aと同じ
・点D=3000-1560=1440m ⇒ 上の点Bと同じ
・点E=3060-1560=1500m⇒ 上の点A・点Cと同じ
『層厚あついは空気が軽い、空気が軽いは暖かい』ってね。
点A・C・Eが点B・Dより暖かいってこと、つまり平均気温が高いってことさ。
だから、正解は選択肢(1)って訳だよ。
簡単だよね。
3060mの線がありませんが、他の5本の線は上の問題とまったく同じです。
これは、問題図の使いまわしと言ってよいでしょう。
第30回一般知識の問4と同じ計算をすると、図の左側の平均気温が高くて、右側が低いのが明らかなので、答えは選択肢(1)になります。
層厚と平均気温から判断して、気圧面の傾きを求めて「地衡風」の方向を答えさせるという、凝った問題が、第38回一般知識問6です。
もう一度、見直しておいてください。