第52回気象予報士試験 専門知識

目次

第52回気象予報士試験 専門知識
問1 問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10 問11 問12 問13 問14 問15

問1

第52回気象予報士試験 専門知識 問1

正解はです。

毎回のように書いていますが、専門知識を受験する人は、気象庁の『気象観測ガイドブック』は必ず熟読しておいてください。

このガイドブックの35ページに答えが書いてあります。

(a)は『上向き』

赤いアンダーライン部分に『下から上に向けて』と明示しています。

この文言は覚えていなくても、図を見た記憶があれば風の矢印が下から上の方向だったと思い出すことでしょう。

(b)は『外気との温度差』

(a)で『上向き』を選択すると、(b)は『外気との温度差』しか選べません。
これじゃ、(b)の設問の意味がないような気がするのですがねぇ。

(c)は『地表面で反射した日射』

『通風筒下部に取り付けられた遮へい板』の役割を考えるのですが、選択肢は次の2つ。
・『地表面で反射した日射』
・『通風筒内の風の乱れ』

わざわざ通風筒下部と言っているのだから、下からの反射による日射の影響を防ぐと考えるべきでしょう。

巻末に解説動画案内があります。

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問2

第52回気象予報士試験 専門知識 問2

正解はです。

(a)は『誤』です

降水強度を観測するのは、ドップラー効果ではなく、戻ってくる電波の強さです。

レーダーから電波を発射して、戻ってきた電波(レーダーエコー)の強さから雨や雪の強さを観測します。

ドップラー効果は、戻ってきた電波の周波数のずれを利用して、雨や雪が近づいてくる速さや遠ざかる速さ、すなわち降水域の風を観測します。

空港の近くに空港気象ドップラーレーダー(DRAW:Doppler Radar for Airport Weather)による「風向や風速の急変」の監視を行い、航空事故の防止に役立てています。

(b)は『正』です

文章通りで、地表面の曲率によって、遠方の低高度は観測できないのです。

(c)は『正』です

当たり前のことですが、山の裏側には電波が届かないのでレーダーの観測はできません。

(d)は『正』です

レーダーが観測する雨雲などのエコーは、ある高さの上空の現象を捉えているので、その下層で起きる現象(蒸発や風で流される)については、観測できません。

巻末に解説動画案内があります。

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問3

第52回気象予報士試験 専門知識 問3

正解はです。

(a)は『誤』です

800hPaの逆転層に合わせて、湿度を見てみましょう。

逆転層の800hPaから上は、急激に湿度が下がっています。

800hPaより下層は、湿潤な空気で、800hPaより上昇は乾燥空気が乗っかっています。
乾燥した寒気が下がってきた『沈降性の逆転層』なのです。

暖かい空気が滑昇する前線性の逆転層であれば、上層に暖気が来るので、これほど極端に乾燥することはありません。

(b)は『誤』です

圏界面の判定に、風の要素は含みません。

【圏界面】
500hPa面以上の高さで、ある面とそれより上2km以内の面間の平均気温減率がすべて2.0℃/kmを超えない面を「第1圏界面」とする。「第1圏界面」の上のある面とその面より上1km以内の面との間の平均気温減率がすべて3.0℃/kmを超える層がある場合この層またはそれより高い層で「第1圏界面」と同様の基準により求められた面を「第2圏界面」とする。このような面が「第2圏界面」より高いところにいくつかある場合は、高度の低い方から「第3圏界面」、「第4圏界面」、・・・とする。

引用元:気象庁サイト

(c)は『誤』です

湿度センサーの故障ではありません。
気温が-40℃以下になった場合、大気中の水蒸気量が少なくなるので、正確な湿度測定が困難になり、湿度測定を行いません。

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問4

第52回気象予報士試験 専門知識 問4

正解はです。

この問題に関する情報は、気象庁の『数値予報研修テキスト 第4章』です。
(※2022年追記 数値予報に関する最新情報は『数値予報解説資料集』と検索して最新版をご覧ください)

このテキストの中で、基礎方程式(水平方向)として、下図の式が掲示されています。

この式は、全球モデル、メソモデル、局地モデルに共通の式であり、項目が省略されることはありません。
したがって、計算式の一部を省略するという(a)(b)『誤』なのです。

(a)は『誤』です

上に述べたように、全球モデルで項目の計算を省略することはありません。

中上層では『コリオリ力と気圧傾度力がつりあう地衡風平衡近似がよい』のですが、地表面付近では摩擦力の影響などがあり、個別に計算する必要があります。

全球モデルでは鉛直100層に分割するので、全層で地衡風近似が成り立つとは言えません。
(※2022年追記 2021年3月から鉛直128層に変更しています)

(b)は『誤』です

上に述べたように、局地モデルで項目の計算を省略することはありません。

局地モデルにおいても、コリオリ力の影響は大きく、台風や低気圧の発生や発達に関与するので省略などありえません。

(c)は『正』です

文章通り正しいです。

物理過程としてよく知られているのは『積雲対流』の計算です。

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問5

第52回気象予報士試験 専門知識 問5

正解はです。

(a)は『誤』です

積雲対流など物理過程の計算の違いによって、積乱雲の発生や降水予測に大きな違いを生じることがあります。

(b)は『正』です

メソモデルでは、予報領域の側面境界を通して領域外の情報を全球モデルから取得しているので、全球モデルに誤差が生じると、メソモデルに影響を与えます。

(c)は『正』です

連続の式(質量保存の式)とは、 空気の質量は、水の相転移を除いて保存されていることを表す方程式です。

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問6

第52回気象予報士試験 専門知識 問6

正解はです。

(a)は『正』です

系統的誤差は補正できるが、ランダム誤差は補正できない』は、基本中の基本なのでしっかり覚えておいてください。

系統的誤差とは、予報モデルで表現できない高い山があるような、変化しない誤差要因です。ランダム誤差とは、低気圧の速度が急に速まったとか前線位置がずれたとか、予測できない誤差要因です。

さすがのスーパーコンピューでも、予測できない突発的な誤差は修正できません。

(b)は『誤』です

予測した降水量を(Y = AX)で表されるとすると、
Y は評価関数 ( 降水量の予測値 )
A は係数
X は説明変数です。

カルマンフィルターでは、問題文の通り、実況の観測データを用いて予測式の係数(A)を逐次更新して、日々の修正をしています。

しかし、数値予報モデルが予測していない、稀な大きな降水量が観測されると,その予測誤差を過大学習して、係数Aを大きく更新してしまいます。その結果としてそれ以降のある期間にわたって実況の降水量に比べやや大きな降水量を予測する傾向があります。

したがって局地的な大雨など発生頻度の低い現象では、適切に予測することができません。

(c)は『正』です

動物の神経細胞による情報伝達をモデルにして、各々の情報の結語の強さをネットワーク化して予測誤差を小さくする手法です。

非線形の複雑な対応関係を見つける学習機能があり、逐次改善します。

その反面、内部で起こっていることが良く分からないので、予測結果に対する考察が出来ません。

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問7

第52回気象予報士試験 専門知識 問7

正解はです。

試験会場では、(a)と(c)の文章で『走向』を『走行』とした誤字があったので、採点では④も正解としています。
しかし、上の問題文ではすでに訂正されているので、自己採点では④は誤としてください。

(a)は『正』です

Lモードとは、Longitudinal bandsで、風向に平行な雲バンドです。


領域Aの筋状雲の走向は、大気下層の季節風とほぼ同じ方向なので、Longitudinal(長手方向)のLモードと判断できます。

(b)は『正』です

JPCZ(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)は『日本海寒帯気団収束帯』の省略形で、大雪をもたらす現象として知られています。

大陸から吹き寄せる風が、朝鮮半島北部の白頭山(2,744m)のある長白山脈の影響によって2つに分流されて、日本海で再び合流して収束するときの現象として知られています。

(c)は『正』です

Tモードとは、Transverse bandsで、風向と直行する雲バンドです。

領域Cの筋状の雲は、季節風の走向とほぼ直行しており、Transverse(横断)のTモードです。

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問8

第52回気象予報士試験 専門知識 問8

正解はです。

温暖前線面と寒冷前線面の断面のイメージは下図のようになっています。

寒冷前線面では、暖気を押し退けてその下に潜り込むように寒気が侵入します。
その断面は曲線的で距離は短く、温度変化が大きいため、積乱雲が発生しやすく突風や強雨など荒れた天候になります。

温暖前線面は、寒気の上を暖気が直線的に滑上するので距離は長くなります。
温暖前線面では層雲系の雲が発生しやすく、降水域は広くなります。

(a)は『誤』です

『温暖前線⾯の傾きは寒冷前線⾯より緩やかで気塊がゆっくり上昇する』と書かれた問題文は正しいのですが、大気の状態が不安定になれば、当然に積乱雲が発生します。

積乱雲が発生しないと言い切るのは『誤』です。

 (b)は『誤』です

上図に示したように、寒冷前線面の長さは、温暖前線よりも短いので、『温暖前線の降⽔域に⽐べて幅が広い』という記載は『誤』です。

 (c)は『誤』です

西日本以西の梅雨前線においては、温暖で乾燥した大陸からの気団と高温多湿な南太平洋からの風との接点なので、気温差はあまり大きくありませんが、水蒸気量の傾度は大きいのです。

その差は、相当温位の差として現れます。

したがって、『下層の南北⽅向の温度傾度が⼤きく』とする表現は『誤』です。

(d)は『正』です

西南西の強い風が吹くことが多いです。

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問9

第52回気象予報士試験 専門知識 問9

正解はです。

気象庁のサイトでは、こんな図でダウンバーストを説明しています。

(a)は『正』です

一か所から強い風が吹き出すので、円形に広がります。

(b)は『誤』です

上図に示すように10kmに及ぶこともあり、4km以下をマイクロバーストと呼ぶこともあります。

したがって『最大で約1km』は『誤』です。

(c)は『誤』です

大気が乾燥しているほうが、昇華や蒸発が多いので熱が奪われて大気が冷却して、下降流が強くなります。

『雲底の下の⼤気が湿っているほど,下降気流が強くなり』は逆の表現であり『誤』です。

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問10

第52回気象予報士試験 専門知識 問10

正解はです。

500hPaの天気図で、日本上空の高度を読み取ることによって夏場か冬場かの大雑把な目安をつけることができます。
冬場の寒い時期は、空気が冷たく重いので日本上空での500hPaの等高度線が低くなるのです。

ちなみに『ア』『イ』『ウ』の関東地方の高度を読み取ってみると
ア:5,820m ⇒ 気温が高い ⇒ 暖候期
イ:5,520m ⇒ 気温がやや低い ⇒ どっちかな
ウ:5,280m ⇒ 気温が低い ⇒ 寒候期

高度をよみとるのは案外手間なので、もっと簡単に判断する目安があります。
5,700m等高度線の北緯を大雑把に見るのです。

ア:日本海北部から函館あたりでかなり北にあります⇒暖候期
イ:北緯30°付近で横に伸びています⇒寒候期
ウ:日本のはるか南で、北緯30°より南です⇒寒候期

5,700mの位置が南にあるほど日本上空の気温が低い傾向があります。
だから、アは夏場、ウは冬場、イはどっちかなと言う目安がつくのです。

ここで、文章を見てみましょう。
(a)は、日本海側で雪が降っているのだから冬ですね
(b)は、梅雨前線の時期ですから7月頃でしょう
(c)は、雨や雪が降っているのだから寒い季節です

ここまで情報で、『ア』の暖候期に合致するのは(b)しかありませんから(b)=『ア』はほぼ決まりです。

(a)は『ウ』です

寒候期の天気図は『イ』と『ウ』ですが、日本海側で雪なので、日本海のトラフ深い『ウ』に着目して検証します。

『ウ』では、朝鮮半島北部に低気圧がありますね。
これは、トラフが深まったために取り残された切離低気圧です。
切離低気圧は、偏西風の流れに取り残された状況なので、動きが遅いのが特徴です。

この切離低気圧のやや東方向に地上低気圧があるので『日本海中部に低気圧が停滞しており』の文章と合致します。

(b)は『ア』です

前述したように『ア』が、5,700mラインが北緯40°をまたいでいるほど北にあるので、暖かい季節であることから、梅雨前線の季節である(b)です。

『ア』の検証をしてみましょう。

問8(d)の問題文
『梅⾬前線に伴う⼤⾬の際には,前線の南側にしばしば下層ジェットと呼ばれる強⾵帯がみられる』が参考になります。
渦度ゼロラインが日本海を横断しており、下層に前線帯と強風軸の存在が示唆されていますので、問8(d)の問題文と矛盾しません。

(c)は『イ』です

残ったのが『イ』ですが、(c)の文章との整合性を確認します。

九州の西に浅い気圧の谷があり、+185の正渦度の極大値があることから下層での上昇流が強く『九州の南に発達中の低気圧があり』と矛盾しません。


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問11

第52回気象予報士試験 専門知識 問11

正解はです。

(a)は『正』です

暴風域の説明として、正しい文章です。

(b)は『誤』です

ある時間に、台風の暴風域に入る確率は、台風が近づくに連れて高くなり、暴風域に入る瞬間に確率100%に達して、その後台風の移動に伴って暴風域から出る確率が高く(入る確率が低く)なります。

暴風域に入る確率は、ある地域またはその一部が対象時間中に台風の暴風域内にある可能性を示す確率値で、暴風域の大きさや予報円の広がりを考慮して計算しています。
24時間先、48時間先まで、および3時間刻みの48時間先までの時系列の情報として、暴風域に入る確率を発表し、図に示すようなグラフを気象庁ホームページにも掲載しています。


値が急に大きくなる時間帯に暴風域に入る可能性が高く、値が急に小さくなり始める時間帯に暴風域から出る可能性が高いことを表しています。

出典:気象庁サイト

このように、台風の暴風域に入る確率は時間とともに変化するので、この問題文は『誤』です。

(c)は『正』です

台風上陸についての正しい説明です。
沖縄が、上陸に含まれないことに注意しておきましょう。

巻末に解説動画案内があります。

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問12

第52回気象予報士試験 専門知識 問12

正解はです。

高温注意情報

 ・全国の都道府県で、毎年4月第四水曜日から10月第四水曜日を対象とした期間に、翌日又は当日の最高気温が概ね35℃以上になることが予想される場合に「高温注意情報」を発表し、熱中症への注意を呼びかけます。

前日17時過ぎに地方単位の情報を、当日5時過ぎから17時頃まで府県単位の情報を発表します。主な地点の気温予測グラフもあわせて掲載します。

(気象庁サイトより

 (a)は『誤』です

高温注意情報の発表は、基本的には『都道府県予報区』ごとであり、市町村単位ではありません。

(b)は『正』です

文章通りで正しいです。

(c)は『誤』です

高温注意情報が発表されるのは、4月~10月であり、11月~3月は発表されません。

巻末に解説動画案内があります。

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問13

第52回気象予報士試験 専門知識 問13

正解はです。

(a)は『洪水注意報』です

洪水注意報発表基準に達する予想なので『洪水注意報』が発表されます。
洪水警報の基準には達しないので、警報ではありません。

(b)は『洪水警報』です

M川流域雨量指数が洪水警報の基準に達する予想なので『洪水警報』が発表されます。
警報と注意報の両方の基準に達する予想の場合は、注意報よりも重要な警報が発表され、注意報は発表されません。

(c)は『洪水警報』です

『P川氾濫警戒情報』は『洪水警報』に該当する情報です。

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問14

第52回気象予報士試験 専門知識 問14

正解はです。

(a)は『正』です

『熱帯低気圧(TD)に対して海上強風警報が発表された場合、そのTDは今後台風になる可能性がある』

『海上強風警報』は、今後24時間以内に最大風速34ノット以上になる予想を示しています。
最大風速34ノット以上は、台風(TS)ですから、このTDは24時間以内に台風(TS)になる可能性があります。

(b)は『誤』です

『海上濃霧警報は、指定がおおむね1km500m以下の状態になっているか、または24時間以内にその状態になると予想される状況のときに発表される』

語呂合わせ呪文『海上濃霧、あしたまでには、五里夢中』で覚えておきましょう。

(c)は『誤』です

台風が温帯低気圧に変わった後でも台風による風が風速64ノット以上が予想される場合は海上台風警報が発表される』

『海上台風警報』は『台風による風が』と限定しているので、64ノット以上の風でも『温帯低気圧の風』には、[TW]発表されず、[SW]になります。

(d)は『誤』です

『階級が「TS」の台風に対して、海上台風警報が発表されることはない発表される可能性がある

24時間以内に、最大風速64ノット以上になると予想すれば『海上台風警報』が発表されます。

巻末に解説動画案内があります。

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問15

第52回気象予報士試験 専門知識 問15

正解はです。

この問題では、日本の冬の天候がどんな仕組みで日本海に雪が降り、関東にからっ風が吹くのかなど、平年の状況を理解することが、基本的な素養として要求されます。

俗に『西高東低』なんて言われますが、もう少し詳しく解析しておきましょう。

冬型気圧配置になると、大陸からシベリアの寒気が流れ込み、日本全体の空気が冷やされます。

東北をはじめとして東日本や西日本の日本海側では、北西の風に乗って運ばれてくる日本海の水分が雨や雪をもたらします。降水に至らなくても曇りの日が多く、晴れの日は少ないのです。

シベリアの冷たい高気圧が、九州の西や東シナ海に張り出すので、沖縄・奄美地方の冬の季節風は、本州での北西風よりも北風に近くなります。北からの風が海上を吹走して来るので湿った空気となり、沖縄や奄美地方が曇り空になるのです。

以上が平年の日本の冬の気候の仕組みです。

さて、以上のような基礎知識を前提として問題の図を見てみましょう。

図Aでは、シベリアからアラスカにかけて正偏差であり、北海道の近くサハリンまで正偏差がかかっています。
それに対して、日本列島全体から北太平洋全般にかけて負偏差となっています。
このことから、日本の上空には平年以上に北からの寒波が強く押し寄せてくることが予想できます。

図Bの地上の気圧配置でも、シベリア高気圧が政変差で寒気の勢力が強く、カムチャッカ半島の南東に低気圧があり負偏差なので、西高東低の気圧配置が、平年以上に強まるようです。

図Aと図Bから読み取れることは、平年以上に西高東低の仕組みが強まると予想されます。

と言うことは、日本の冬の気象現象が、平年よりも強く現れると考えるべきです。

(a)は『誤』です

冬の気象現象が強く現れるなら、東日本の太平洋側は、乾燥してからっ風が吹き、降水が少ないはずです。

『東日本太平洋側では,平年に比べ降水量が多くなりやすい。』とする問題文は『誤』です。

(b)は『正』です

大陸の寒気が強まるので、西日本の気温が平年よりも低くなる予想は『正』です。

(c)は『誤』です

平年の沖縄・奄美では、晴れの日が少ないのです。
その傾向が強まるのですから『晴れの日が多くなりやすい』との予想は『誤』です。

巻末

解説動画のご案内

問10に解説動画を付けていますが、他にも15問全部の解説動画があります。
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