第43回気象予報士試験 実技1 問1(動画解説付き)

第43回気象予報士試験 実技1 問1(1)

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

[1]「124」 [2]「東北東」 [3]「海上暴風」 [4]「北西」 [5]「60」 は、下の図を読むだけのこと。

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[4]はSE(南東)の反対側であるから、「北西」になる。
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[3]に関して、海上風警報は次の4種類がある。

風速が基準に達しているか24時間以内に達する見込みのときに発表される

  • 海上風警報 [W]は、風速28ノット以上
  • 海上強風警報 [GW]は、風速34ノット以上 (GはGale=強風
  • 海上暴風警報 [SW]は、風速48ノット以上 (SはStorm=嵐
  • 海上台風警報 [TW]は、風速64ノット以上 (TはTyhoon=台風

英語で覚えてしまった方が、あとで紛れがない。
300hPaの天気図に強風軸を描き込んでみるとこんな感じになる。
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日本付近のジェット気流の流れは、このように2本の流れがある。j43k1q1z
北緯30°付近を流れる「亜熱帯ジェット気流」と北緯60°付近を流れる「寒帯前線ジェット気流」である。
ただし、どちらも大きく蛇行することがあるので、緯度の数値は参考程度にとどめておきましょう。

問題文で、南側が「亜熱帯ジェット気流」と宣言しているので、北側は[6]寒帯前線ジェット気流」になる。

黄海の低気圧は、寒帯前線ジェット気流に対応しているので、[7]の答え方は、「北側の」と言いたいところだが、選択肢が「前者」と「後者」なので[7]「後者」である。

なお、現在のジェット気流(@500hPa)の様子は、下のサイトで見ることが出来るので、実際の様子をイメージしてみてはいかがですか。

現在の500hPの風はこう流れている。

500hPaの天気図に、問題の要素を描き込んだのが下の図だ。j43k1q1z05

華北から華中に伸びているといえば[8]トラフとなるのは明らか。

ここで、低気圧の位置を確認してみよう。

地上低気圧の東経は124°だった。
500hPa天気図で、北緯37°付近のトラフ位置は、116°付近であり、
300hPa天気図では、北緯114°付近であるから[9]「気圧の谷の軸」が、[10]「西」に傾いている、となる。

次の問題は、実質的には、那覇の地上天気記号の読み方である(←大間違いです)

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雨の強さの記号はこのように決まっているので、那覇の雨はコード番号60番に相当する。

j43k1q1z07

したがって、[11]は選択肢の中から「弱い」となる。

MAPさんから、間違いの指摘がありました。

地上天気図で、沖縄の天気ではなく、低気圧の北西側の2か所
(朝鮮半島の付け根あたりと中国の山東半島の付け根あたり)に
注目し、コード番号61で、「弱い」雨と解答を導くべきです。
なるほど、そうですね。問題文をよく読んでみると
『前1時間以内に止み間がない([11])雨が観測』
と書かれています。止み間がない雨だから、コード番号60では、明らかに間違いです。
コード番号は61であるべきで、その根拠となる天気記号はこれです。
j43k1q1z12
MAPさん、ありがとうございました。

雲記号は、このように決められている。

j43k1q1z08

故に、[12][13]は順不同で「積」「層積」となる。


第43回気象予報士試験 実技1 問1(2)


この問題は、破線で示された等速度線を認識できているかどうかを問うものであろう。

解答図の解析済みの線が切れ切れになっていることから、瞬時にこの情報に気が付かなければならない。

100ノット以上の領域が認識できれば、ほぼ中央にそれらしい線を引けば、多少ずれていても点数はもらえると思う。

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第43回気象予報士試験 実技1 問1(3)


発達中の温帯低気圧の特長は次のような点である。

  1. 気圧の谷の軸が上層ほど西に傾いている
  2. 低気圧前面で暖気移流、後面で寒気移流
  3. 低気圧前面で上昇流、後面で下降流
  4. 低気圧前面で暖気場、後面で寒気場(傾圧大気)

850hPaの温度場について考えれば、4.に相当することを15字で書けば良い。
温度移流については、2.に相当することを30字で書けば良い。

実際に850hPaの天気図を見てみると下のようになっている。

j43k1q1z11

で、北上大が書いた答えは
温度場の特長:「等温線と等高度線が交差している。」(16字)
温度移流の状況:「低気圧前面が暖気移流、後面が寒気移流となっている。」(25字)

模範解答はこうなっていた。
温度場の特長:「等温線の集中帯がある。」(11字)
温度移流の状況:「低気圧の前面で強い暖気移流、後面で強い寒気移流となっている。」(30字)

温度場の特長については、北上大の答えの方が正確なような気がするなぁ。(← 実は大間違いでした)

温度移流の状況は『強い』が入るか入らないかだが、必ずしも必須とは言えないような気もするが、文字数が余っているので、入れたほうが良かったのか。

偉そうなことを書いていたら、MAPさんから2つ目の忠告のコメントを頂きました。

「温度場の」特徴ですので、温度場以外の事柄に触れるのはNGです。
北上大さんの解答では、高度場にも触れていて、肝心の「集中している」
ことが書かれていないので、残念ながら、たぶん点数はもらえないでしょう。
「温度場の特徴」→等温線の分布や暖気、寒気の分布の特徴です。
ついでに
「高度場の特徴」→等高度線の分布、低圧部、高圧部の分布の特徴です。
本問の場合は、低気圧がある地域の等温線が込んでいることが
図から読み取れるので、それをそのまま表現しなければならないのです。
過去問を解いてみると、意外にも「図に描かれていることをそのまま書けば良い」
ということに気づかされます。

なるほど、ごもっともです。
勉強になりました。皆さん、問われていない余計なことは書かないように注意しましょう。MAPさん、二度渡り、ありがとうございました。

動画解説もご覧ください。


模範解答

j43k1q1ans問1(2)の解答図です。

j43k1ansz

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