第43回気象予報士試験 実技2 問1(動画解説付き)

第43回気象予報士試験 実技2 問1(1)

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

[1]「東北東」[2]「風力」[3]「北」

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[1]は、上の図の矢印を読みとって「東北東」だと簡単に分かります。
[2]は、文脈から「風力」しか考えられません。

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でも、北側の風は、風速25ノットなので、上の表では『風力6』に相当します。
問題文の風力8とか風力9がどれなのか分かりません。

よく見ると[GW]と表示して『海上強風警報』がでていますね。
これが、風力8~9の正体でした。

[3]は上の図で判断して、4方位から選ぶなら「北」と解答するでしょうね。

[4]「気圧傾度」[5]「なんだろう?」

考えてもわからないので、気圧の実物モデルを作ってみました。
近畿地方は、赤丸のところなのだが、何ていうのでしょうか。

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模範解答によると「鞍部」というそうです。

これは、分からなかった。

上の段々畑のような模型に、パテを塗って滑らかにした写真がこれです。

山登りをする人は、よく『馬の背』と言うのですが、鞍の雰囲気が多少は伝わるでしょうか。

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[6]「張り出し」[7]「尾根」[8]「143」[9]「141」

[6][7]は、決まり文句なので、こういうものです。
[7]「峰」でも正解だと思います。

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[8][9]は、上の解析図を見れば、一目瞭然だと思う。

第43回気象予報士試験 実技2 問1(2)

1014hPaの等圧線を描く問題ですが、非常にトリッキーな仕掛けです。

と言うのは、通常の等圧線解析で与えられるべき地上測候所などの気圧ポイント情報がないのです。

どんな線を引いたら良いのか面食らった人も多かったことでしょう。

こんな時は、与えられている1012hPaと1016hPa等圧線の中間に、比例配分するような形で、目分量の線を引くしかありません。

すると、次のようにA案とB案の2つのパターンができてしまいました。

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この際、細かな位置関係はあまり問題ではなく、A案を選ぶかB案を選ぶかの決断にかかっているのです。

ここで、重要なヒントが、大阪の海面は1013hPaであるとの情報です。
すると、下に示すように1014hPaの等圧線が切断されて、B案が否定されてしまいました。
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結果的にA案を解答にすれば良いのです。

第43回気象予報士試験 実技2 問1(3)

[1]雲頂温度 「-36℃」  雲頂高度「450hPa」 相当温位差「3K」=300-297

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[2] 雲頂温度 「-21℃」  雲頂高度「400hPa」
 北緯「31度」 最大風速「110ノット」 相当温位差「12K」
=330-318

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[3] 雲域Nに関する問題です。
500hPaの高度ばといえば、まずは「トラフ」に着目します。

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雲域Nは、地上低気圧の真上で、トラフの前方にあることが分かリます。
これは、温帯低気圧発達要因として極めて重要な因子ですね。

渦度場と言えば、ハッチングがかかっている「正渦度」域を見るのが常套です。
雲域Nの北東にかかって僅かに負渦度の円があリますが、概ね正渦度領域に囲まれています。

問題文の指示に従って、次に700hPaの鉛直流を見ましょう。

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ここでは、低気圧発達の要因の一つとして、低気圧の前面が上昇流であることを思い出しましょう。

上の図の縦線のハッチング領域が上昇流です。
地上低気圧中心を取り囲んで雲域Nにかけて上昇流域が発達しています。

500hPaの高度場と渦度場
700hPaの鉛直流場
の情報は、上記のとおりですが、ここから文章をまとめなければなりません。

「低気圧に対応する雲域として次第にまとまりつつある」
ということは、低気圧が発達段階にあることを意味していることに気付くべきでしょう。

すると
要因「500hPaトラフの前面の正渦度域と700hPa上昇流が発達している。」(35字)
として、5文字多いけれど、これ以上削れませんでした。
模範解答は「トラフ前面の正渦度移流に伴う上層流域が進んできたため。」(27字)
こんな文章は、私には書けません。

また落第ですな。

種類:「対流雲」
これは、発達途上の低気圧中心付近の雲といえば、何も考えずに「対流雲」と答えても良いくらいの問題です。
念の為に、[1]を見なおしてみると、雲長高度450hPaの気温が-36℃と低いことと、雲頂付近の相当温位の差が小さいので、大気が不安定で対流が起きやすい状況です。

[4] は雲域Sに関する問題です。

位置関係は、[2]で示した図の左を見れば一目瞭然で、緯度がやや南だから、簡潔に述べれば「南に位置する」としましたが、模範解答は「低緯度側」だって。

前線面との位置関係は、2つの要素を調べます。
「前線面の上か下か」と「暖気側か寒気側か」です。

[2]で示した図の右側を見れば簡単に分かります。
前線帯は、相当温位線が混んでいるところなので、雲域Sは上側で暖気側にあります。

だから選択肢は「ア」になります。

雲の種類は、前線面の上方で暖気側であれば、対流活動が起きにくいので「層状雲」であろうことは容易に想像できます。

図で確認すると、上層の相当温位が高いので安定していますから、「層状雲」で間違いないでしょう。

第43回気象予報士試験 実技2 問1(4)

各緯度帯の気温傾斜を図示しました。

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中央部分の傾きが大きいのは、「b:北緯30°~北緯35°」であることが分かります。

その根拠は、上の理由をそのまま書けば良いでしょう。
つまり、「気温傾度が最も大きいから。」(13字)模範解答は「等温線の傾斜が最も大きい」(13字)でした。

動画解説もご覧ください

模範解答

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コメント

  1. kaz より:

    先ほどの質問撤回します。

    問題文に「P点における雲域Sの雲頂高度」としっかり記載されておりました。

    本番でも焦らず、しっかり問題文を読むよう気を付けます。

  2. kaz より:

    実技2 問1(3)について質問です。雲域S雲頂温度は、再頂部の-27℃ではなく-21℃なのは、おおよその平均値ということでしょうか。

    ただ、そうすると雲域Pの雲頂温度も、最頂部の-36℃ではなく、おおよその平均値にならなければおかしいのではと思ってしまいます。

    基本的な質問かもしれませんが、教えていただければ幸いです。

  3. HIRO より:

    43回試験の実技試験2問1(4)について質問です。
    「傾圧性が大きい」という事を等温線が集中しているとは考えずに、風速が大きい、と考えてしまいました。それでいくと、風速の速い緯度帯は北緯25°〜30°のaになってしまいます。傾圧性が大きいことが風速が強いことではない理由は何でしょうか?

    • 北上大 より:

      HIROさん、こんにちは。

      「傾圧性」と「気圧傾度」とを混同しているようですね。
      気圧傾度は「傾圧度」と呼ばれることがありますが「大気の傾圧性」とは意味が違います。

      気圧傾度が大きければ、風速が強くなると考えるのは正しいです。
      しかし、「傾圧性」は気圧の傾斜が主な要素ではなく、気圧と温度のバランスが崩れている状態を意味する用語です。
      「傾圧性」は擾乱を引き起こす要因にはなりますが、直接的に風の強さとは関係しません。(ここでは風の強さを判断要素として用いるべきではありません)
      傾圧性が大きいことによって擾乱を発生してその結果、圧力勾配(傾圧度)が大きくなることによって風が強まります。

      低層大気は、地上付近の気温が高く上空ほど気温が低くなります。
      同様に気圧は、地上付近が気圧が高く上空ほど気圧が低くなります。
      これが一致して、最も安定な状態は、問題の図3上であれば、等温線が水平に並ぶ状態です。
      このような状態を、「傾圧性が小さい」と言い、擾乱は発生しにくいです。
      逆に、水平な等圧線と等温線が交差していれば「傾圧性が大きい」と判断します。
      「傾圧性が大きい」場合には、擾乱が発生しやすく、温帯低気圧のエネルギー源になります。

      参考資料:一般気象学【第2版】187ページ、中断下
      『等圧面上で温度の水平軽度が大きいとき、大気の傾圧性が大きいといういい方を気象学ではよく用いる』

      • HIRO より:

        早速のお返事、ありがとうございます。概念的にしか捉えていなかったので、さらに細かく理解できていない部分でした。ありがとうございます。