第43回気象予報士試験 実技2 問2(動画解説付き)

第43回気象予報士試験 実技2 問2(1)

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

[1] 500hPaトラフの状況

発達途上の低気圧の構造といえば、『気圧の谷の軸が西に傾いている』ことなので、これを確認して20字で表現すれば良いのでしょう。

決まりパターンにハマった問題でしょう。
これは、ゲット間違いなしっと。

ん!

だけど、ちょっと待って、なんか様子が変だぞ。

地上低気圧の前線解析を見ると閉塞していますよね。
閉塞しているということは、最盛期か衰退期のどちらかです。

こいつは、発達期の低気圧じゃないぞ。
ちょっと警戒してかかりましょう。

指定されている図は図1と図4です。
図1の地上天気図を赤で、
図4の500hPa 天気図を青で描いて重ねたのが下の図です。

j43k2q2z04

500hPa地上低気圧の中心よりもかなり西側に500hPaのトラフがあります。
しかし、この低気圧に関連付けるには遠すぎますね。
トラフが地上低気圧の西側に位置すると言えるのは、東経間隔で5°くらいで、もっと離れていてもせいぜい東経10°程度までですから、このトラフは、遠すぎて関係ないでしょう。

とすると、対応するトラフがみつけられません。

これを20字で表現するのですが、困りました。
「500hPaトラフは遠く離れ過ぎている。」(20字)

何を言いたいのか伝わらないと思いますが、他に書き様がないのです。

気になる模範解答は
「対応する明瞭なトラフがみられない。」(17字)
なぁんだ、こんなふうに書けばいいのか、ッて感じ。
こんな風に的を外した問題は、初めてみたような気がするなぁ。

[2] は低気圧内の700hPaの鉛直流の分布

これも、決まりパターンがあります。
発達途上にある低気圧の構造においては、低気圧前面は上昇流の場になっている、と。

しかし、閉塞している低気圧の場合は、上昇流域が低気圧の背面にまで回りこんでいる可能性があります。

その辺を見てみましょう。

これも、図1の地上天気図(赤)と700hPaの鉛直流を重ねてみました。
j43k2q2z06

予想通り、低気圧中心が、下降流域のど真ん中にありますね。
また、上昇流の分布を見ると極大域が東に離れています。

この低気圧域内の様子を45字で述べればよいのです。

『低気圧域内』とはどこかを判断しなければなりませんが、概ね前線が解析されている辺りまでの広がりだと考えてよいでしょう。
「低気圧中心が下降流域に取り囲まれており、上昇流分布の極大域から離れている。」(37字)

求められているのが45字の情報なので、これでは少し足りない。
どんな情報が不足しているのでしょうか?

閉塞点を入れてみるか
「低気圧中心が下降流域に取り囲まれており、上昇流分布の極大域が閉塞点から東に離れている。」(43字)
それほど意味のある追加とも思えませんが、ともかく字数をあわせてみました。

さぁ、模範解答はどう書いているでしょうか?
「低気圧中心は下降流域となり、上昇流極大域は低気圧中心から東方に離れたところにある。」(41字)

あまり気の利いた文章とも思えませんが、これが模範解答です。

このような状況の問題は過去にあまり例がないので、決まりパターンがありませんから、多種多様な解答文があると思います。

「低気圧前面が上昇流域で今後発展する見込み」などと、ピンぼけな解答をしなければ、一定の点数はもらえると思いますが、どんなもんでしょうかねぇ。

低気圧の段階

当然『エ』の衰退期ですね。

第43回気象予報士試験 実技2 問2(2)

[1]~[5] は、図1の表を読み取るだけの簡単な問題。

j43k2q2z07

[6] は、下の図から読み取って『北東』だとすぐ分かります。
が、問題は[7]ですね。

下の図のように補助線を引けば、簡単に『西』だと分かりますが、焦っている試験会場でこの図を読み解くのは、なかなか難しいと思います。

j43k2q2z08

実は、問題文の表にヒントがあるのです。

j43k2q2z09

赤い文字で書いたように、移動方向の『緯度』が北緯39°のままで変化していないので、横移動、つまり東か西かに限られることになります。

東経が135°から134°と若くなっているので、西に移動したことが分かります。

第43回気象予報士試験 実技2 問2(3)

[1] 「西」[2] 「発達」[3] 「衰弱」
この辺は、ほぼ決まり文句と思って解答出来るでしょう。

[4] [5] は下の図を参照してください。

j43k2q2z10

わざとらしいような図ですが、色分けするとこうなります。

必然的に[4]「南東」[5]「北西」と書けるでしょうね。
この程度の図の読み取りは、わざわざ色分けすることなく、頭のなかで読み取ってください。

[6] は、上図の等温線が混んでいることから『温度傾度』となります。

[7] は下の図を見てください。

j43k2q2z11

低気圧の中心付近に、0℃の『暖気核』ができています。

動画解説もご覧ください

模範解答

j43k2q2ans

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