第44回気象予報士試験 実技1 問2

第44回気象予報士試験 実技1 問2(1)

丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。

[1]

初期時刻と24時間後の500hPa 予想図に、トラフ位置を青色で記入して並べたのが下の図です。

このトラフに対応する地上低気圧の位置と気圧を赤で記入しました。

j44k1q2z01

星印(東経130度、北緯40度)を基準点として、左右を比較すると、トラフ、低気圧中心が「東」に移動していることが分かります。

中心気圧は、初期時刻では1010hPaが明らかですが、24時間後は数値の記入がありません。
図4下では、数値ははっきりしないものの、1016hPaの低圧側にあって1012hPa よりは高いことがあきらかです。

初期時刻と比べると、中心気圧の変化は、「高くなる」かと思ったら、こう言う場合は「浅くなる」と言うようですね。

[2]

強風軸といえば、正渦度域の南端である渦度セロラインに沿っていると考えられます。

図4上で本州付近の渦度ゼロラインを探すと下の図のようになります。

j44k1q2z03

東経135は明石標準時のラインですから、この交点が北緯何度であるかを目分量で読み取ります。

わたしは、「37°」と読みましたが、「36°」でも正解になったようです。

[3]

簡単に言えば、下の図で、
 赤色で示した低気圧Aが東進したのか、
 青色で示した低気圧Bが北上したのかと
いう問題です。

j44k1q2z04

21770この図をみて、近くにある低気圧Aが東進したと思うようなら、
この試験には絶対合格しないので、基本からやり直した方がいいわね。

2177017えぇ~、
だって、近くにあるAだと思うのが普通だろう。

21770坊や、いったい何を教わってきたの!
見た瞬間に低気圧Bが北上したと
ピンと来なくてはいけないのよ。

2177017どうしてそんなことが言えるの?

21770当たり前でしょう。
発達する低気圧の条件として、
前面の強い暖気移流が必要なのは分かるわよね。

2177017そりゃ、そうだけど。

21770その南風に押し上げられて、
発達する温帯低気圧は、北上するものなのよ。

衰退期になった低気圧なら東進もありますが、これだけ急速に発達する低気圧は北上するものです。

根拠を一つ示しましょう。

下の図は、36時間後と48時間後の850hPa の等温線と700hPa鉛直流の予想図です。

j44k1q2z05

左側が発達する前の低気圧Aと低気圧Bに対応する上昇流域です。
低気圧Aは9℃の等温線に位置しています。
低気圧Bは12℃の等温線に位置しています。

それから12時間が過ぎた右の図では、低気圧が発達する条件である、前面の暖気移流と後面の寒気移流によって、12℃の等温線は右肩上がりの形に変わりました。

この時の12℃等温線の動きを見てみましょう。
わたしが書いたアニメですが、こんなふうに動いたと推測できます。

j44k1q2z

このとき、暖気移流の北側に位置する低気圧は、赤色の低気圧Aでしょうか、それとも青色の低気圧Bでしょうか。

議論を待つまでもなく青色の低気圧Bですね。

低気圧Bの位置を読み取ると、「北緯33°」「東経145°」辺りなるでしょうね。

この地上低気圧に対応するトラフで予想される渦度の極大値は、下の図で判断できます。

j44k1q2z07

解答は、36時間後が「188×10-6/s」、48時間後が「238×10-6/s」になります。
単位を付してと指示があるので、忘れないように。

 [4]

低気圧後面の温度移流について『等温線』と『風向』の関係を含めて。

j44k1q2z09

温度移流と言いますが、この場合は低気圧の後面ですから完全に寒気移流ですね。

『等温線』と『風向』の関係を表現すれば、等温線と風向が交わっているといえます。

35字でということなので、北上大は
「北~北西の風が等温線に北側から交わっているので寒気移流である。」(31字)
としましたが、模範解答は下の通りです。

第44回気象予報士試験 実技1 問2(2)

[1]

地上天気図の予想図を並べてみると下の図のようになります。

j44k1q2z10

奄美大島付近の最大降水量予測をみると、36時間後、すなわち『ウ:17日9時までの12時間』『139mm』で最大であることが明白です。

[2]

これは単純な計算問題です。
わたしは、このような問題で計算ミスをして、しばしば痛い目にあっています。
計算ミスには注意しましょう。

-77hpa/h ⇒ 77×10m÷3600秒 ⇒ 0.21m/s

上向きを正として小数点一桁を求めているので、解答は、『+0.2m/s』になります。

[3]

図9で東寄りの風と西寄りの風が接近している場所があります。

東寄りの風を赤色で、西寄りの風を青色で着色しました。
この境界がシアラインになるはずです。

j44k1q2z11

模範解答の図と微妙に違いますが、こんなものでしょう。
停滞前線の記号を塗りつぶせとの指示なので、それを忘れないように。

[4]

等相当温位線と前線の関係といえば、『等相当温位線集中帯の南縁付近』というのが定番ですが、この場合は、ちょっと様子が違いますね。

解析した前線と重なっている339Kの等相当温位線の南側には、線が少なく平坦な温度場になっています。
所々に、342Kの小高い丘が見える感じ。

北側は緩やかに相当温位が低下して、その先には急な崖がある。

この様子をどう表現するか。
国語力というか、詩的な感性がないと表現できませんね。

模範解答では『高相当温位線の北限で、339Kの等相当温位線にほぼ沿っている。』(31字)と表現しています。

なるほどね。

模範解答

j44k1q2ans

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コメント

  1. 前田亜足 より:

    こんばんは。分かりやすい解説にいつも本当に助かっています。
    最後の問題(問2(2)④)の、図9の相当温位分布における前線の位置ですが、私は339Kの北、312Kあたりから339Kを等相当温位線の集中帯とみて、その南縁の339Kの線が前線位置と対応していると考えたのですが、北上さんが「この場合は、ちょっと様子が違う」と解説されているのが分かりませんでした。勉強不足なので、検討違いのことを言っていたら申し訳ないですが、この部分の解説をもう少し詳しく伺いたいです。

    • 北上大 より:

      前田さん、こんにちは。

      「この場合は、ちょっと様子が違う」と思ったのは、339Kが集中帯の南縁とは言えないと感じたからです。

      南西諸島付近の相当温位のレイアウトを判断すると、等相当温位線集中帯は、312Kから327K辺りまでじゃないでしょうか。
      感覚的な問題ですが、339Kまでを集中帯とみなすのはちょっとムリかなと思います。
      南西諸島付近の当相当温位線の傾斜を図示してみました。
      327Kか339Kか、どちらとも言えないような状況ですね。
      等相当温位集中帯