丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
第44回気象予報士試験 実技2 問3(1)
[1] 500hPaの気温は、図9のT=36ですね。
下図の通り、丁度-6℃の等温線に乗っているので間違いないです。
念の為に、T=12、T=24、T=48も確認しておきましょう。
気温は1℃刻みの指定なので、T=12とT=24は、目分量で-4℃と-5℃を読み取っています。
T=48も、-9℃の等温線の真上ですね。
他の値との整合性が確認できたので、正解は、自信を持って「-6℃」です。
[2][3] 850hPaの気温は、図8です。
点P付近を通る、それぞれの等温線を確認しましょう。
T=48は15℃と18℃の間にあり、目分量で16℃をしていますが、これ以外はすべて18℃の等温線の上にあるので、[2][3]共に「18℃」になります。
[4][5] 850hPaの風なら図8ですね。
と、思って例題になるべきT=12の35ノットとT=48の20ノットを探したが見つかりません。
よく見ると、850hPaの風は、図10にもありました。
こちらには、T=12の35ノットとT=48の20ノットがありました。
下図の青い丸です。
これが確認できたら、赤い丸のT=24が[4]「45ノット」とT=36が[5]「25ノット」を読み取るだけですね。
[6][7] 相当温位は図10です。
ここでの相当温位は、330Kと345Kの間にありますから、
330K⇒333K⇒336K⇒339K⇒342K⇒345K
のどれかになります。
基準になる330Kか345Kの当相当温位線から何本目にあるかを数えればよいのです。
下図に示す通り[6]は「345K」で、[7]は「330K」です。
以上を整理すると、完成した表は、次のようになります。
要素 | 17日 21時 |
18日 9時 |
18日 21時 |
19日 9時 |
---|---|---|---|---|
500hPa気温 | -4℃ | -5℃ | [1] -6℃ | -9℃ |
850hPa気温 | [2]18℃ | 18℃ | [3]18℃ | 16℃ |
850hPa風速 | 35ノット | [4]45ノット | [5] 25ノット | 20ノット |
850hPa相当温位 | 339K | [6]345K | 342K | [7]330K |
第44回気象予報士試験 実技2 問3(2)
前問の表から、気温条件を抜き出してみましょう。
要素 | 17日 21時 |
18日 9時 |
18日 21時 |
19日 9時 |
---|---|---|---|---|
500hPa気温 | -4℃ | -5℃ | -6℃ | -9℃ |
850hPa気温 | 18℃ | 18℃ | 18℃ | 16℃ |
気温差 | 22℃ | 23℃ | 24℃ | 25℃ |
気温差がどのように変化するかを簡潔に表現すれば、「徐々に大きくなる」でしょう。
模範解答では「次第に大きくなる。」としていますが、どちらでも良いと思います。
第44回気象予報士試験 実技2 問3(3)
[1] 前問と同じように、表から必要な部分を抜き出してみましょう。
要素 | 17日 21時 |
18日 9時 |
18日 21時 |
19日 9時 |
---|---|---|---|---|
相当温位 | 339K | 345K | 342K | 330K |
相当温位が最大になる日時は、「18日の9時」ですね。
[2] これは難しいですね。
直感的には、相当温位が最大のところだと思うのですが、根拠がはっきりしません。
過去の試験にしばしば取り上げられた相当温位の数式があります。
θe = θ+2.6q
θe:相当温位
θ :温位
q :混合比
混合比は、
q = wtr/air
wtr:水蒸気の質量
air :乾燥空気の質量
2式を合わせるとこうなります。
θe = θ+2.6(wtr/air)
この式を水蒸気量を求める形に変形すると
wtr = (θe – θ) × (air/2.6)
実質的な内容を文字で表してみるとこうなります。
〔水蒸気の質量〕=(〔相当温位〕ー〔温位〕)× C
C:定数
つまり、相当温位が大きく、温位が低い条件で、水蒸気量が多いのです。
ここで、設問の期間の気温を見ると、3点とも18℃で、一定です。
同じ気圧で同じ気温なら、温位も一定になります。
このように整理してみると、
相当温位が最も高い「18日9時」の水蒸気量が最大になることが分かります。
その理由は、次の3つです。
- 相当温位が大きいこと
- 温位が一定であること
温位が一定である理由は
・気温が一定である
・気圧が一定である
これを、25字で表現します。
「相当温位が最大で、気温と気圧による温位が一定だから。」(26字)
模範解答は次の通りでした。
「気温がほぼ一定で、相当温位が最大となるため。」(22字)
これは、あんまり良い出来とは思えませんね。
気温は、18℃との計測値が表示されているのだから、「ほぼ」じゃないし。
気圧のことに触れていないので、温位が一定とは言えない。
850hPa面だから気圧が一定なのは自明だとして省略したようですね。
それにしても、「温位」のキーワードは表記すべきだと思います。
[3] これは簡単ですね。
水蒸気フラックスは、〔水蒸気量〕×〔風量〕が最大の点を探せば良いことになります。
〔水蒸気量〕が最大である「18日9時」が、たまたま〔風速〕も最大なので、水蒸気フラックスも最大になります。
この理由を20字で書きます。
「水蒸気量が最大で、風速も最大であるため。」(20字)
模範解答は次の通り。
「風速と水蒸気量がともに最大となるため。」(19字)
どちらの日本語がより美しいかという判定があるかもしれませんが、主旨は全く同じですね。
第44回気象予報士試験 実技2 問3(4)
与えられた条件を整理すると、こんな図になります。
緑色で描いた降水量極大値48mmの発生理由を探る問題です。
問2の考察で描いた寒冷前線の想定位置を、両図に青い線で記入しました。
さらに、図8からは、赤丸で示したように、-38hPa/hの上昇流の極大値の存在と強い南西の風が分かります。
前問の[3][4]からは、この領域の水蒸気量が多いことが明らかになっています。
寒冷前線の前面から、水蒸気を多量に含んだ強い南寄りの暖気が吹きつけて上昇流が形成されたら、雨が降らないほうがおかしいくらいですね。
ここまで状況が整理されたら、文章をまとめるだけですから、ある程度の受験勉強をした人なら、そこそこの解答文が書けるはずです。
問題は、緊張した試験場で制限時間内に、情報整理が出来るかという点だと思います。
さて、これを40字にまとめるのですが、文字数が多くなると悩みますね。
「水蒸気を多量に含んだ暖気が南側から寒冷前線に流れ、強い上昇流を発生させるため。」(39字)
模範解答
「多量の水蒸気を含む空気が寒冷前線に向かって流れ込み、上昇気流が強まるため。」(37字)
模範解答通りにはいきませんが、そこそこの合格点はいただけると思います。
模範解答
⇒次は『第44回実技2問4』