『場』という概念を考えてみよう

気象予報士の試験問題で、しばしば『場』という用語が登場しますが、一般的な概念では理解できない、気象用語独特な響きがあり、わたしはにとっては不得意な用語です。

「~~のを考慮して」とか「~~のについて」とかの文章題を見ると、

「あちゃ~、また『場』が出ちゃったよ」

と、ビビってしまうほどです。

過去の試験問題に出てきた『場』が、具体的に何を表しているのかを、問題文と模範解答から紐解いてみました。

例文は後方に付いています。
ここでは、さとちゃんの問題比較表を利用しました。
(便利ですね)

まとめてみると

  • 高度場:トラフ
  • 気圧場:高気圧、低気圧の場所
  • 渦度場:正渦度領域、負渦度領域、正渦度移流
  • 温度場:暖気核、寒気、暖気、等温線、気温経度、気温値
  • 温位場:等相当温位集中帯、相当温位値、相当温位が高い領域
  • 風の場:風速、風向、循環、強風軸、収束、発散、シア、等温線との角度
  • 湿数場:湿潤域、乾燥域
  • 鉛直p速度の場、鉛直流の場:上昇流域、下降流域
  • 下層の場:暖気移流、寒気移流、上昇流、下降流

 実際の例

30-1
問2(4) (3)の閉塞点、寒冷前線を決める際に考慮した850hPa面での位置を推定した根拠を、図5(下)気温と図6相当温位の場を基に、閉塞点は35字程度、寒冷前線は45字程度で解答。

閉塞点:9℃の等温線および315Kの等相当温位線がくさび状(極側)に侵入した北端付近。
寒冷前線:閉塞点から南西に伸びる9℃の等温線付近および等相当温位線集中帯の南東縁の315K付近

30-2
問3(1)②領域Aの雲域について図5から700hPaの湿数・鉛直p速度の場との関係を15字程度で解答。

湿数6℃以下で、上昇流の領域

30-2
問3(1)③領域Aの雲域について図5(下)から、850hPaの気温・風の場との対応について20字程度で解答。

等温線の集中帯(込んだ)領域で低気圧性循環。

30-2
問3(3)③図4(上)の高度・渦度場を考慮、前問の特徴と雲域の位置から判断、どんな風の場に対応するか簡潔に。

ジェット気流(上空の強風軸)

30-2
問6(1)図11、12領域P10日12時(03UTC)以前と15時(06UTC)以降で降水をもたらす大気の成層状態が変わる。図13の850hPaの気温・風の場、図11のSSIから推察される大気の成層状態を12時以前と15時以降でそれぞれ40字程度で解答。

12時以前:下層の風が南よりであり、SSIが0℃以下のところがあり成層が鉛直不安定である。
15時以降:下層の風が北寄りに変わって気温が下がり、後にSSIが大きくなり成層が安定する。

31-1
問1(2)低気圧Aに伴う寒冷前線が活発であることを示す850hPaの温度場と風の場の特徴を35字程度で解答。前線の後面で気温の傾度が大きく、等温線に直角な風速の成分が強い。

31-2
問4(3)問4(1)九州地方の降水域は850hPaの相当温位、風の場のどんな所に対応してるか35字程度で解答。

相当温位が342~348K、西風25~40ノットの領域にある。

32-2
問2(3)解析雨量図で対馬付近から日本海中部にかけて帯状の降水域、能登半島以西この降水域の南縁は850hPa相当温位と風の場のどのような所に対応か40字程度で等相当温位線がやや込んだ領域の南縁で、風のシアがある領域に対応。

35-1
問2(3)②大きな降水量が予想されている九州の雨域が前線・低気圧のどのような部分にあたるかを簡潔に記述。
また大きな降水量が予想される場の特徴を850hPaの風と相当温位に着目、30字程度で記述。

低気圧の暖域
強い南西風によって相当温位が高い空気が流入している

36-2
問3(2)図9(上)と図10を用いて、500hPaで東経135度付近にある低気圧の、500hPa面と300hPa面における中心付近の温度場の特徴を40字程度で述べよ。

中心付近の気温は500hPaでは周囲より低いが、300hPaでは周囲より高い

36-2
問2(2)③・・・・・850hPaにおいて初期時刻から24時間後にかけて予想される低気圧前面および後面の、風と温度場の変化について55字程度で述べよ。

低気圧の前面では、南よりの風による暖気の流入が強まり、後面では西南西~北西の風による寒気の流入が強まる。

37-2
問3(3)問3(2)の解答から、低気圧Aの中心付近の上層(400hPaより上)と下層(850~600hPa)での風の循環場の違いを35字程度で述べよ。

上層では低気圧性の循環が明瞭であるが、下層では循環は見られない

38-2
問2(1)⑥図3から本州では南西風が吹いている。この風をもたらす高度場を形成する要因を30字程度で記述。

本州の西方にトラフがあり、東方に太平洋高気圧がある。

38S-1
問4(3)図8で予想されている台風の進む方向及び速さについて、図7を用いて台風自身が作り出している場を除外した一般場を考察して、50字程度で記述。

台風は、概ね一般場の等高度線に沿って北東に進み、次第に一般流の速い所に進むため、速度が速まる。

38S-2
問2(2) 4日9時に東シナ海にある低気圧は、初期時刻から12時間後にかけての期間と、12時間後から24時間後にかけての期間を比べると、発達程度に大きな差がある。それぞれの期間における低気圧の発達の差異に対応する下層の場の特徴について、図2(下)と図4を用いて、45字程度で記述。

(2)12時間後以降の方が、低気圧前面の暖気移流と上昇流および後面の寒気移流と下降流が大きい。

39-1
問1(2)①領域Aの雲域は北側に凸状に膨らんでいる。このパターンが発現する時の500hPaの高度場の特徴及び予想される低気圧の変化を25字程度で記述。

西側にトラフがあり、低気圧が発達すると予想される。

39-2
問1(1)③500hPa天気図を用いて、台風の温度場と黄海から東シナ海にかけてのトラフの温度場を比較し、それぞれの特徴を20字程度で記述。

台風は暖気核トラフは寒気を伴っている。

 40-1
問2(3) 図5(下)で北海道付近に等圧線の屈曲を予想、北海道東部に擾乱(低気圧)が存在することを示唆。この擾乱の構造について図5、8、9から次の①~④に関する特徴を地上擾乱から見た相対位置を含めそれぞれ35、40、25、20字で解答。
①850hPaの相当温位と風速の分布
②700hPaの鉛直流と湿数の分布
③500hPaの正渦度極大値との位置関係
500hPaの温度場の谷との位置関係

①擾乱付近で相当温位が高く、南側では50ノット以上の風が吹いている。
②北西側に強い上昇流、南東側に下降流があり、北西側から南側に湿潤域がある。
③地上擾乱と同じ位置に正渦度極大域がある。
④地上擾乱の西で温度場の谷がある。

40-2
問1(2)④領域Bの特徴的な雲はどのような場で発生しているかを地上天気図に着目して簡潔に解答。

高気圧の縁を回る風の場

41-1
問2(1)図8(上)?図10(上)を用いて,24時間後から72時間後までの,5760mの等高度線が東経120°線を横切る緯度の変化とそれに対応する高度場の変化について,緯度値を示して30字程度で解答。

等高度線は北緯39°から北緯31°に南下し,トラフが深まる

41-1
問2(3)①問2(1)で着目した高度の場から見たときの,台風の進路の予想を15字程度で解答。

①台風はトラフの東側を北上する。

41-2
問3(3) 図9(下)を使って,12時間後に予想されるこのじょう乱に対応する850hPa面の温度場および700hPa面の鉛直流の特徴を30字程度で述べよ。

東海道沖に等温線の北への盛り上がりと強い上昇流がある。

41-2
問2(1)②12時間後から24時間後までの間の低気圧Aの移動について,500hPa面の強風軸との位置関係を含めて35字程度で述べよ。また,図7(上)にみられる低気圧Aに関係する高度場の変化について簡潔に答えよ。

②低気圧の移動:500hPa強風軸に接近しながら北上し,500hPa強風軸の下に進む。(35字)


<500hPa面強風軸><その位置関係>
高度場の変化:地上低気圧の西側で低気圧が形成される

41-2
問2(1)③この降水に関連する500hPa面の高度場の谷(トラフ)と温度場の谷の位置関係の特徴を25字程度で述べよ。

温度場の谷高度場の谷よりも先行している。(21字)

42-1
問3(2)①14日0時(13日15UTC)において,強雨域A,Bが地上気圧場のどのような所に位置しているかを簡潔に答えよ。

低圧部の東端Q 地上気圧場なので、「低気圧の東端」と書きたくなるが?
⇒結果論ですが、「気圧場のどのようなところ」なので「気圧場」といえば
「低圧場」という表現です。「低気圧」だと名称です。「場」で言えば「移流
場」みたいに「低圧場」と答えるのが適当だと考えます。

42-1
問2(1)②この降水に伴う700hPa面の湿潤域が500hPa面のどのような渦度場のどのような相対的位置に予想されているかを,15字程度で述べよ。

沿海州の正渦度域の南縁。

42-2
問1(4) 図3(上)の500hPa高度・渦度解析図において,東北地方の日本海側で5520mの等高度線の低気圧性曲率が大きく正渦度極大域となっており,この付近にトラフが存在している。また,図2によると東北地方には中層・下層雲がみられ,図1には記入されていないが仙台ではこの時刻に雨が観測されていた。このような状況に対応して,三陸沖から関東の東にかけての地上気圧(図1),850hPa気温(図3(下))および700hPa鉛直流(図3(下))がどのような場になっているかを,それぞれ簡潔に答えよ。

地上気圧:気圧の谷
850hPa気温:温度の尾根
700hPa鉛直流:上昇流域

42-2
問2(1) 予想図によると,初期時刻に中国大陸東岸にあった低気圧は,24時間後には既に閉塞過程にあると判断される。次の①と②の観点から,その根拠となる初期時刻からの変化を,それぞれ30字,35字程度で述べよ。また,③の観点から,12時間後から24時間後にかけてみられる閉塞過程の特徴を45字程度で述べよ。
①地上低気圧と500hPa渦度場の関係
②地上低気圧と500hPa強風軸の位置関係
③700hPa鉛直流・湿数の分布①地上低気圧の中心が500hPaの負渦度域から正渦度域に進む。(30字)
②地上低気圧の中心が500hPa強風軸の低緯度側から高緯度側へ移る。(33字)
③下降流に対応する乾燥域が,地上低気圧の南西側から北東方向へ,回りこみながら侵入する。(42字)

42-2
問2(4) 図2の雲域P,Qに対応する場のその後の変化に関連して以下の問いに答えよ。
①雲域Pは850hPa等相当温位線の集中帯に存在している。図2と図10を用いて,初期時刻から36時間後までの,北緯30°以南の850hPa等相当温位線の集中帯の幅と集中度の変化の予想を20字程度で述べよ。
②雲域P,Qは700hPa湿潤域に存在している。図7~9を用いて,12時間後から36時間後にかけて,北緯30°以南の700hPa湿潤域の幅の予想される変化を簡潔に答えよ。

①次第に幅が狭くなり集中度が強まる。(17字)
②次第に幅が狭くなる。
③初期時刻には:等相当温位線の集中帯とその南の相当温位が高いところで大きい。(30字)
③24時間後には:等相当温位線の集中帯の南側で大きい。(18字)

43-1
問1(3)図4から黄海にある地上低気圧の発達を示唆している850hPaの温度場の特徴と850hPaの温度移流の状況をそれぞれ15 字と30字程度で述べよ。

温度場の特徴:等温線の集中帯がある。(11字)
温度移流の状況:低気圧の前面で強い暖気移流,後面で強い寒気移流となっている。(30字)

43-2
問1(3)③雲域Nは山陰沖の低気圧に対応する雲域として次第にまとまりつつある。その要因を,図4(上)の500hPa高度・渦度場および図4(下)の700hPa鉛直流場に関連付けて30字程度で述べよ。また,①に着目して,雲域Nを構成する主な雲の種類(層状雲・対流雲のいずれか)を答えよ。

要因:トラフ前面の正渦度移流に伴う上昇流域が進んできたため。(27字)
種類:対流雲

43-2
問3図10は図1の6時間後にあたる19日15時(06UTC)の地上天気図である。この時刻には,東海道沖に新たな低気圧が解析され,この低気圧に関して海上暴風警報が発表されている。この低気圧の発生につながる特徴を,次の四つの観点から,()内の図に基づいて,それぞれ30字,50字,55字および30字程度で述べよ。
①雲分布(図2)
850hPa温度場(図4,図8)
700hPa鉛直流と湿数の場(図4,図8)
500hPa高度と渦度の場(図4,図5)

①四国の南海上に周囲より明るいまとまった雲域がみられる。(27字)
②東海地方の沿岸付近で気温の水平傾度が大きく,12時間後には伊豆諸島付近で等温線が北に凸の形状となる。(50字)
③初期時刻に四国の南にある上昇流域が,12時間後には伊豆諸島付近に進んで強まり,かつその付近が湿潤となっている。(55字)
④東海道沖ではトラフの接近により正渦度移流が大きくなる。(27字)

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