久しぶりの、語呂合わせ新作です。
雪の目安の呪文
凍(こお)れる寒さは大雪で、
アラサーティの
八五郎には雪が降る。
数字の意味は
500hPaの天気図で、-36℃以下なら大雪の目安で、
500hPaが-30℃であれば雪の目安であり、
850hPaの天気図で、-6℃ならば、雪の目安である。
数字の位置は次の通りです。
寒候期は、12月から3月までですが、
試験では前後一ヶ月の幅を広げて
11月から4月頃までは、雪を警戒した方が良いです。
その意味は
相変わらず意味不明な呪文ですが、こんな思いで、作りました。
江戸時代には、嫁をとれない独身男性が多かったそうです。
男子の出生率が女子より多いですが、戦いで命を落とすことを神様が計算していたらしいのです。
ところが、平和な世界になると、戦いがないので男子が余ってしまい、結婚できない男性が増える。
江戸時代に、アラサーティ(30歳前後)になっても結婚できない男性が増えました。
女の子なら15、6歳でお嫁に行く時代のことです。
嫁さんがほしいと思う八五郎の心の中には雪が降ったことでしょう。
そんな背景を考えた語呂合わせです。
(無理がありすぎかもネ)
平成の世では、アラサーティはまだまだ若いので、女子でも結婚しない人のほうが多いくらいですね。
沖縄に雪が降った
2016年1月24日の夜、沖縄で観測史上初めての雪が記録されました。
実際は「みぞれ」だったのですが、記録上は「雪」になります。
★日テレNEWS24★数十年に一度クラスの非常に強い寒気の影響で、九州では平野部で記録的な大雪となった。沖縄本島では、観測史上初めて雪が観測された。
鹿児島・奄美市では24日午後1時13分頃からみぞれが降った。奄美市で雪が観測されたのは1901年以来115年ぶり。また、鹿児島市内でも14センチの積雪となり、路面電車が運休するなど交通機関に乱れがでた。
気象庁の観測によると、日本の上空には、数十年に一度クラスの非常に強い寒気が入り、西日本や北陸などで雪が降り続き、九州では平野部で記録的な大雪となった。長崎市では午後5時に17センチの積雪を観測し、110年前に統計を取り始めてから最も多い積雪となっている。
長崎市の人「犬は喜ぶ。『庭駆け回り』と言うが、庭の中で駆け回ります」
沖縄では名護市で午後10時半頃から15分間、みぞれが観測された。みぞれは観測上は「雪」と扱うため、沖縄本島で観測史上初めて雪が観測されたことになる。
(2016年1月25日 00:52)
この時の850hPaの高層天気図が、これです。
日本列島がすっぽりと、沖縄ばかりか台北まで-6℃の寒気が覆っています。
この日は、台北もでもみぞれが降りました。
雪に気をつけましょう
『雪に気をつけましょう』と言っても、長靴を履きなさいとか、手袋をしなさいとかの生活の注意ではありませんよ。
当然、気象予報士の試験問題に関してです。
季節が冬なら雪の可能性を忘れるな
出題が、11月から3月頃の期間であれば、降水の型が雪になる可能性を常に意識しておく必要があります。
この語呂合わせ呪文で覚えているように、地上気温が4℃以下になれば、雪になる可能性があるのです。
雪の目安を覚えておこう
地上気温が4℃で、気温減率が6℃/kmだとすると
850hPaでは、4℃-(6℃/km×1.5km)=-5℃
500hPaでは、4℃-(6℃/km×5.5km)=-29℃
以下であれば、雪を考えなければならないということです。
寒候期の高層天気図は6℃刻みなので、こうなります。
500hPaでは、-30℃
(500hPaで-36℃なら大雪の目安)
これを常に意識して、忘れないようにしましょう。
出題の例
問題の出し方も結構意地悪な場合があります。
降水の型は何か?
このように素直に聞かれたら、『雨か雪か』誰だって考えますよね。
ついうっかり、雪を忘れてしまうパターンは次の2つです。
警報や注意報を書かせるパターン
こんな問題です。
「図-Xを用いて、A市に発表が予想される警報を書け」
地上気温を示さずに、上空の天気図で判断させる問題です。
上空の気温が低ければ、明らかに雪になりますが、試験会場で緊張するとすっかり雪のことを忘れてしまいます。
大気が不安定で、積乱雲が発達して、激しい降水が予想される。
そんな条件で「大雨警報」「洪水警報」なんて書いたら大間違いです。
雪が降っているのだから、大雨も洪水もありえません。
例えば、第37回実技1問4(6)がこの例です。
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天気予報を書かせるパターン
こんな問題です。
「図-Xを参考にして、A市の明日の天気予報を書け」
雪を意識していれば、こうなります。
「西の風のち北西の風で、昼過ぎには雪が降るでしょう」
雪を意識してないと、こんなふうに間違えてしまいます。
「西の風のち北西の風で、昼過ぎには雨が降るでしょう」
例えば、第31回実技1問2(5)がこの例です。
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コメント
テレビで、「上空約1500mで-12℃の寒気が大雪の目安」と言っています。これも、物理を無視した間違った説明です。1500mは850hPaに相当し、大気下層に分類されます。強い寒気が下層に入ると、大気は安定し逆に雪は降りにくくなります。下層が暖かく、その上の層が冷たい時に対流が起こり雲が発達するのです。但し、もし降水がある場合は、下層が非常に冷たいと雪水比(降水量と降雪量の比。例えば1mmの降水量で1cmの積雪だと、雪水比は1となる)が大きくなるので、大雪になる可能性はあります。但し、その為には、冬型時は700hPa(上空3000m付近)に相当強い寒気がないと対流は起こりません。仮に、850hPa(上空約1500m)に-12℃が入るとすると、対流が起こるためには、湿潤断熱減率で100mにつき0.6℃下降すると仮定すると、3000m(700hPa)-1500m(850hPa)×0.6℃/100=9℃となり、700hPaに-21℃以下の寒気が入らないと対流は起こりません。これからの季節は、上空約1500mに-12℃の寒気が入ることは度々あります。しかし、700hPaに-21℃が入ることは、そうそうはありません。従って、上空約1500mに-12℃が入っても雪はあまり降らずただ非常に寒いだけという事が多くなるのです。その時、「上空約1500mで-12℃の寒気が入ると大雪となる」と信じ込んだ世の中の多くの人に対し、テレビ局はどう説明するのでしょうか?世の中にウソの説明をしてはいけません。「一般の人はどうせ説明しても理解できないから」という考えはよくないと思います。正しい理解をしていただく努力は必要だと思います。やはり、「上空約3000mに-21℃以下の非常に強い寒気が入り・・・」など、物理的に正しい説明をするべきだと思います。
そこまで画期的な理論であれば、是非とも気象学会なり気象予報士会の勉強会あたりで発表頂きたいものです。そうすれば気象庁や民間気象会社も放ってはいないでしょうから、その折にはご高説賜りたいと存じます(_,_)w。
500hPaの寒気は、大雪の目安となることもありますが、実際は降雪量には全く影響しません。何故なら、冬型時に対流により雲頂高度が5000mに達することはまずないからです。どんなに上がっても、せいぜい3000mです。ですから、降雪量は3000m付近の700hPaの寒気で決まります。700hPaの寒気(目安はおよそ-21℃)が強いと、ほぼMAXの3000mに雲頂高度が達します。その上の層の寒気、例えば500hPaの寒が、-30℃でも、-50℃でも、-100℃でも、雲長高度はMAX以上には上がりませんし、降雪量には1㎜も影響を与えません。では、何故500hPaの寒気がこれまで、目安とされてきたのでしょうか。多くの場合、500hPaで例えば-36℃の寒気が入る場合は、大抵700hPaで-21℃前後が同時に入ります。その時は、大雪となることが多いので、「500hPaで強い寒気が入ったから大雪となった」と勘違いしていたのだと思います。でも、実際は700hPaの寒気で大雪になっていたのです。ですから、多くの場合は500hPaの寒気も目安になります。しかし、それも私の感覚では、10回に7回くらいです。でも、500hPaの寒気で大雪を予想すると残りの3回は予想を外すことになります。私の感覚だと、10回に2回くらいは、500hPaの寒気が弱くても大雪になります(例えば、500hPaで-27℃とか)。多くの予報士は、500hPaで-30℃に行かないから、大雪とならないと予想します。しかし、その場合でも700hPaで-21℃が入れば、間違いなく大雪になります(そういう事は実際に起こっています)。逆に、500hPaで-36℃が入ったとします。多くの予報士は、大雪になると考えるでしょう。しかし、10回に1回位は、700hPaで寒気が弱く、大雪になりません。結局、500hPaの寒気は降雪量に1mmも影響しないばかりか、500hPaの寒気で大雪を予想すると、外すリスクが大きくなります。100害あって1利なしです。今後は、700hPaの寒気を目安としてください。但し、700hPaの寒気が例えば-21℃の強い寒気が入っても、風向・風速、下層寒気の影響で、100%大雪となるとは言えません。機会があれば、その目安もお教えします。
今朝のテレビで、蓬莱さんが、3000メートルで-21℃の寒気と言っていましたよ。
日本海側の雪がどんな原理で降るのか考えてみましょう。いろんな視野で見てみましょうね。
因みに同じ1500mでも関東なら-3℃以下が雨雪の目安と言われていますよね。
エマグラムなどで鉛直大気を観察すればその理由はすぐ分かると思います。