第45回気象予報士試験 実技1 問3(1)
丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
等圧線の作図問題です。
最初に基本的な解析方法を解説します。
青い点のデータが与えられたとして、83の等圧線を引く場合の考え方です。
与えられたデータには、83の点はありませんが、83より「大きい点」と「小さい点」の間には、必ず83があるはずです。
83の位置を、目分量で決めます。
82と84であれば、中央が83になると予想します。
82と86であれば、4分割した位置と見当をつけます。
81と84であれば、3分割した位置になります。
83として仮決めした位置を、周囲の線とのバランスを考えながら滑らかに結んで解答にします。
ここでは、986hPaと984hPaの等圧線を求められています。
もし必要なら982hPaも描きますが、与えられたデータで最も小さいのが835(983.5hPa)なので、982hPaのラインはありません。
まず、前後の時間帯が与えられているので、大体その中間付近だろうとの見当をつけます。
実際の試験ではこんな悠長なことはやっていられませんが、860をまたぐデータに線を引いて、目分量で860の点をプロットしてみました。
なんとなく形が見えたので、ラインで結んでみます。
840のプロットは3個しか得られないので、860のラインと風の循環を参考にしてラインを引きました。
下の模範解答の図と若干違いますが、ポイントは抑えているので、この程度の変形は問題ありません。
第45回気象予報士試験 実技1 問3(2)
これは、単純に作業を進めれば、間違うことはないでしょう。
等圧線と風の循環を参照して中心に星形を置いてみました。
星形を順番につなげば、解答になります。
第45回気象予報士試験 実技1 問3(3)
問3(2)の作図で、6時~9時の移動位置は分かりましたが、縮尺スケールが与えられていないので、実際の距離を推測しなければなりません。
こんな時の常套手段は、緯度間の距離を使うことです。
経線間の距離は場所によって長さが変わりますが、緯線間の距離はどこでも一定です。
長さの定義によって、緯線10度間の距離が600海里と決められていますから、緯度1度間であれば60海里になります。
この問題では、解答用紙に1°間を6等分した目盛りがあるので、これを海里スケールとして利用できます。
下辺の北緯31°を0海里としてメモリを振ればこんな風になります。
では実際に移動距離を測ってみます。
台風の移動位置を間違えると誤差が発生するので、模範解答の位置を利用して説明します。
『台風中心の経路に沿った』移動距離なので、直線ではありません。
経路に沿った長さを計測しなければなりません。
具体的にどんな作業をするか説明します。
別の問題用紙の裏を利用して、6時と7時の位置に印を付けます。
次に、この用紙をズラして、7時の位置を合わせて8時の位置に印を付けます。
同じように、9時の位置に印を付けます。
こうして、6時から9時までの経路に沿った長さが直線になりました。
念の為に、6時から9時までの直線距離も記録してみましょう。
このようにして作った長さを、解答用紙の海里スケールに当てて長さを読み取ります。
このスケールで読み取ると、経路に沿った距離は、83海里ほどなので、5海里刻みなら、80海里か85海里になります。
[移動距離]
模範解答は「80」海里になっていますが、このように際どい場合はおそらく「85」海里も正解扱いになると思いますが、実際の採点基準は公開されていません。
[速さ]
80海里を3時間で割ると速度は26.7ですが、5ノット単位の指定により「25」ノットにします。
もし85海里と解答したら3時間で割ると速度は28.3となり、5ノット単位の指定により「30」ノットになります。
第45回気象予報士試験 実技1 問3(4)
[1]解答要素を図に記入しましたので、解説は不要でしょう。
[時刻]「1時50分」
[風速]「22」m/s
[風向]「南」
[風速比]「2.4」
[2]台風の中心位置は海面気圧で判断します。
[時刻]「6時40分」
[風の変化]風の変化には風向と風速の要素があります。それぞれについてポイントを書きましょう。
風向:南南西から北西に急変した。
風速:一旦弱まってまた強くなった。
これを30字にまとめた北上大の解答は
「風向が南南西から北西に急変し、風速が一旦弱まり再び強くなった。」(32字)
模範解答は
「風向が南よりから北西へと大きく変化し、風速が最も弱くなった。」(30字)
まぁ、良いでしょう。
第45回気象予報士試験 実技1 問3(5)
[1]中心気圧との関係を求めているのですから、中心気圧を見てみましょう。
6時から9時までのそれぞれの、中心付近に示された最低気圧を並べてみます。
- 6時=981.4hPa
- 7時=983.5hPa(+2.1)
- 8時=985.0hPa(+1.5)
- 9時=985.4hPa(+0.4)
再接近したのが6時40分なので、その後、徐々に中心気圧が高くなっています。
通常の状態でも、低気圧が遠ざかるときには気圧が回復(上昇)しますが、それに加えて低気圧の中心気圧が上昇すれば、気圧変化は急激になります。
このことを30字で表現すればよいのです。
北上大の答えは
「通過後に台風の中心気圧が連続的に上昇しながら離れていったため。」(31字)
模範解答は、
「台風は最接近後、中心気圧が浅くなりながら遠ざかったため。」(28字)
だいたい同じことをいっています。
[2]今度は風の移動速度です。
1時間毎の移動距離を問題用紙の上で測定してみました。
- 6時-7時の移動距離=10mm(問題用紙を実測)
- 7時-8時の緯度距離=15mm(問題用紙を実測)
- 8時-9時の移動距離=17mm(問題用紙を実測)
徐々に距離がのびている、つまり増速していることが分かります。
通常の状態でも、低気圧が遠ざかるときには気圧が回復(上昇)しますが、それに加えて低気圧の移動速度が速くなれば、気圧回復(上昇)は速くなります。
このことを20字で表現すればよいのです。
北上大の答えは
「通過後に台風の移動速度が速まったため。」(19字)
模範解答は、
「台風は最接近後、加速して進んだため。」(18字)
だいたい同じことをいっています。
模範解答