第40回気象予報士試験 実技2 問2


第40回 気象予報士試験 実技2 問2(1)


二つの低気圧が絡み合って、南側の前線は解析が済んでいる。
北側の低気圧に伴う前線を解析するのだが、難しい。
参考にするのは、図6と図9である。2つの図を連結して表示する。
j40k221b
左下の地上天気図には、南側の低気圧に伴う前線をグリーンの線で記入した。

解析に先立って、前線について整理しておこう。
・暖気と寒気の境界が前線面で、地上との接点が前線である。
・前線は、気圧の谷に沿うことが多い。
・前線は、降水量が多い。
・前線面では、風のシアがある。
寒冷前線では、西~北西(寒域)と西南西~南南西(暖域)のシア。
温暖前線では、南西~南(暖域)と南東~東(寒域)のシアに。
・前線面前後で、相当温位の傾度が大きい。
・前線面前後で、気温傾度が大きい。(相当温位よりも精度は低い)
・寒冷前線前面(暖域)では上昇流、後面(寒域)では下降流。
・寒冷前線前面(暖域)では湿潤域、後面(寒域)では乾燥域。
・温暖前線前面(寒域)では、上昇流になる。

こんな点に着目して、まず、寒冷前線を解析した。
1、左下図の地上気圧では、気圧の谷が明確なので、これに沿った青い線を寒冷前線候補とする。伸ばしすぎると下の前線と重なってしまうので、四国辺りまでとする。
2、右上図の700hPa 湿数に着目して、湿潤領域と乾燥領域の境界が前線面だろうと想定すると、地上前線はやや南側になる。そこに青い線を引いて、寒冷前線候補とする。
3、右下図の上昇流に着目して、上昇流域と下降流域の境界が前線面だろうと想定すると、地上前線はやや南側になる。そこに青い線を引いて、寒冷前線候補とする。
この図では、西寄りの風と南西寄りの風のシアラインが、青い線に重なる。
以上の考察から、青い線がほぼ一致したので、寒冷前線の位置が決まった。

次は、温暖前線だが、すごく難しい。
4枚の図の中で、私が見つけた唯一の特徴は、右下図の風のシアだけである。
南南西の風と南南東~東南東の風のシアラインに、赤い線を引いたのが、温暖前線の候補である。
この赤い線に着目して、左下、地上天気図の降水量域を見ると、降水領域が広がっており、矛盾しない。
右上図の500hPaの-6℃等温線とほぼ重なっているのは、偶然かも?
非常に根拠が弱いが、上図の右下の赤い線を温暖前線とすることにした。

結果は、下の模範解答と合わせてみるとほぼ正解だったが、温暖前線についてはまったく自信がなかった。


第40回 気象予報士試験 実技2 問2(2)


低気圧の圧力値を読み取って、引き算をするだけなので、これは簡単だ。
まず、元になる圧力値を確認しよう。

j40k2221

 ・初期時刻は、中心気圧が1008hPaと表示されている。
・24時間後は、最も内側の等圧線が1000hPaなので、これが中心値となる。
・48時間後は、1000hPaから内側に2本目なので、992hPaである。

答えは、
24時間後にかけては、1000-1008=「-8」hPa
48時間後にかけては、 992-1000=「-8」hPa
となる。
もちろん、このまま正解である。


第40回 気象予報士試験 実技2 問2(3)


図8を提示する。

j40k223a

500hPaの低気圧中心位置と、地上低気圧の中心位置が、ほとんど同じ場所である。
発達期にある温帯低気圧は、低気圧の軸が西に傾いているが、最盛期になると鉛直線上に一致する。
中心気圧は時間ごとに低下するが、衰退期になると低下しなくなる。

解答は「ウ:最盛期」である。

上に書いたことを、根拠として40字にまとめると、「前24時間の中心気圧が低下し、地上と500hPaの低気圧中心位置が鉛直線上にある。」(41字)
「ウ:最盛期」は当然として、根拠の模範解答は「地上と500hPa の低気圧の中心位置がほぼ同じで,気圧の谷の軸が立っている。」(38字)だった。
中心位置が同じなら軸が立っているのは当然のこだろう。わざわざ書くことだろうか。それよりも、圧力値の変化に触れている方が有効だと思うが、どうだろうか。
でも、点数はもらえる内容だろう。


第40回 気象予報士試験 実技2 問2(4)


     丸囲み数字は機種によって文字化けするので、代わりに[1][2]の表示を使います。

j40k224a

[1]
36時間後から48時間後の低気圧の進路は、青い矢印の通りである。
見ての通り、北上しているので、今後も「北上」すると予想するのが当然あろう。

j40k224b

[2]
強風軸はグリーンの矢印で示した辺りと推定できる。
その軸上に、「176×10-6の正渦度の極大値がある。


[3]
[2]の正渦度極大点を閉塞点として、南の領域をグリーンでマークした。
このグリーンの領域で、強い風の方向といえば、「西」か「南西」かと思うのだが、正解は「南」だった。
文脈からは、南の風にしたいところだが、図の中では、南西しか見られないので、ちょっと納得できないなぁ。

j40k224c

左図に、寒冷前線の想定ラインを青い線で引いた。
[4]「上昇流」である。

図を省略するが、図11(上)では、寒冷前線想定ラインの西側では乾燥している。
[5]「乾燥」である。


第40回 気象予報士試験 実技2 問2 模範解答


問2
(1)〔6点〕

j40k2q2a
(2)〔4点〕
初期時刻~24 時間後:
-8 hPa   24 時間後~48 時間後:-8 hPa
(3)〔7点〕 発達段階:
根拠:地上と500hPa の低気圧の中心位置がほぼ同じで,気圧の谷の軸が立っている。(38字)
 (4)〔5点〕
[1]
北上  [2]176 × 10-6  [3]南  [4]上昇流  [5]乾燥

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