離岸距離を眼で見よう

離岸距離を眼で見よう

離岸距離

日本海の北西側のロシアの岸辺からわずかに離れた場所で湧き立った雲が、筋状に整列して日本海を横断して日本列島に向かっています。

大陸の海岸から離れて、雲が発生するまでの距離を『離岸距離』といいます。

離岸距離の長さが、寒気の強さの指標になっています。

離岸距離が短い(縦線が6本)

図をクリックすると、動画にリンクしているので、動いている雲の様子を確認してください。

午前中は離岸距離が短いですが、夜半にかけて少し離れてきます。

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日本海には、縦の等圧線が6本あります。

この図は、2012年12月26日午前6時のものです。

★この日の天気概況★
冬型の気圧配置が強まり、日本海側は雪雲が次々と流れ込んだ。
青森県の酸ヶ湯は午後9時までの24時間に81センチの雪が降り、この冬全国で初めて積雪が250センチを超えた。
風も強く吹き、北海道のえりも岬は未明に最大瞬間風速31.2メートルを観測。

強い寒気が流れ込み、大陸の海岸を離れるとたちまち雲になっているので、離岸距離などほとんど確認できないほど海岸に近いですね。

日本海の等圧線の数を数えてみると、朝鮮半島の東端から北海道函館付近までに、6本の縦線が通っています。

夜半になって、寒気が少し緩んでくると、縦線の数が4本減り(下図)、これにともなって離岸距離が少し離れてきます。

夜半になって少し寒気が緩んだ(縦線が4本)

上の図は午前6時の天気図ですが、午後9時になると寒気が少し収まって、離岸距離が長くなりました。

20161216g

もはや離岸距離とは言わない(縦線が3本)

翌27日になると、日本海の縦の等圧線はさらに減って3本になりました。

こうなると、雲の発生地点は日本海中央になり、離岸距離という言葉がふさわしくなくなります。

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★翌日の天気概況★

冬型は緩んで高気圧に覆われたため、九州から関東は晴れた所が多かった。
一方、東北と北海道の日本海側は寒気が入り広く雪が降った。
積雪の深さが平年の2~3倍以上になっている所も多かった。
北海道は風も強く吹き、所々で最大瞬間風速20メートル以上を観測。

西高東低

日本の西側に位置するシベリア大陸は、北海道よりも遥かに高緯度地帯であるために、冬季は太陽の角度が低いし日照時間が短いので太陽の熱があまり届きません。
そのため日中でも気温が上がらず、また晴れているので放射冷却が強くさらに気温が下がります。
マイナス30℃、40℃の冷気が地上にたまり、シベリが高気圧が発生します。

その一方、日本の東側は海ですから、海面気温は氷点下にはなりません。
シベリアと比べると暖かいので、冬の日本付近は、西高東低の気圧配置になります。

この気圧配置に伴って、日本付近は北よりの風が吹きシベリアの寒気が日本海に流れ込んできます。

シベリアから流下する寒気は、冷たく乾燥しています。

日本海で水分補給

マイナス40℃のシベリアから流れ出た寒気にとっては、凍っていない日本海は、ぬくぬくの溫泉にでも感じることでしょう。

湯気が立ち上る日本海で熱と水分を吸収して次々と雲を噴き上げて積乱雲をつくります。

この様子が、シベリアから日本海を横断する筋状の雲の正体なのです。

寒気が強いと日本海に入ってすぐに積乱雲ができるので、大陸からの距離(離岸距離)が短くなります。

シベリアの海岸を離れるときには、カラカラの冷気だったのですが、日本海でたっぷりと水分を補給した寒気は、日本にやってくると脊梁山脈によって上昇して、日本海側の地方に大雪を降らせます。

この時の寒気の強さによって、『山雪型』と『里雪型』の降雪スタイルに分けられます。
これもよく試験に出るので、合わせて学習しておきましょう。

⇒ 松江気象台の解説『山雪型』と『里雪型』 が分かりやすいです。

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