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2017年1月22日 11:46 #6197akariゲスト
いつも過去問解説や知識解説でお世話になっております。
いずれも気象予報士試験第43回 専門知識の過去問です。
問4の領域Cで寒冷渦は可視画像より水蒸気画像のほうがよく映ると解説がありました。なんとなくこれかな、という理由は分かるのですがイマイチぱっとしません。なぜ水蒸気画像のほうがよく映るのでしょうか?
問5の(c)でパラメタリゼーションは積雲の対流には用いられるが、積乱雲の組織化などには用いられない、と解説がありました。なぜでしょうか? そもそもモデルの式にパラメタリゼーションが組み込まれているのでどの系でもパラメタリゼーションは必要だと思っていました。それとも「地表面からの蒸発や積雪の融解」のパラメタリゼーションは用いず、他のパラメタリゼーションは用いるのでしょうか?
勉強不足で申し訳ありません。
解答のほうよろしくお願いいたします。 -
2017年1月23日 02:21 #6202古久根 敦ゲスト
akariさん,こんばんは.
寒冷渦は上層ほど低気圧性が明瞭で下層では不明瞭になることもあり,中上層の雲渦を確認することになります.水蒸気画像は中上層の水蒸気の多寡によって明域・暗域としてみられますから,上層ほど明瞭な低気圧である寒冷渦の雲域を把握しやすいです.一方,可視画像は雲による反射率で明るい・暗いが決まってきます(雲の厚みを捉えていると考えてもよい)が,一般的に下層ほど雲の密度が大きいため反射率もよく,寒冷渦のような中上層の雲域(下層雲がほとんどない)を追いかける場合,下層雲と比べればやや暗くなってしまいます.以上から,寒冷渦を追跡する場合は,水蒸気画像の方が捉えやすいと言えます.ただし,一枚の水蒸気画像だけで判断することが難しい場合も多く,時系列(動画)で追跡する必要があります.
組織化された積乱雲による強い降水を精度よく予想するためには,モデルの格子間隔より小さな範囲で起きている事象をしっかりと捉えたり考慮しなければなりません.これをパラメタリゼーションと言います.
さて,ご質問のきっかけになっている「パラメタリゼーションは積雲の対流には用いられるが、積乱雲の組織化などには用いられない」という記述は私も???です.
パラメタリゼーションには,積雲対流パラメタリゼーション(積雲による鉛直方向の運動量・熱・水蒸気の輸送を考える),雲物理(雲の発達・衰弱や相変化に伴う熱のやり取りなどを考える),放射(雲は放射に影響を与えるなど),地表面(地表面・土壌と大気との間の運動量・熱・水蒸気のやり取り),境界層(大気境界層での乱流などによる運動量・熱・水蒸気のやり取り),雲(格子間隔よりも小さな雲・部分雲を考慮)などがあります.
この中で積乱雲を考えたときに大切なパラメタリゼーションはどれでしょうか?
積乱雲では,鉛直シアの存在と,積乱雲内部の相変化がとても大切になってきます.なので,パラメタリゼーションでは積雲対流パラメタリゼーションに加え,雲物理や境界層も取り入れる必要が出てきます.
一方,問題(c)の文では,地表面に関するパラメタリゼーションが大切だと述べていますが,地表面のパラメタリゼーションで勘違いしてはいけないのは,あくまで陸上が基本ということです.具体的には,生えている植物,積雪状況,土壌水分量などを考えます.海面も取り入れますが,主に海面水温です.では,これらの効果は積乱雲発達や降水予想に重要な過程でしょうか?積雲対流や雲物理や境界層に関するパラメタリゼーションと比べたら小さいと考えられます.
以上から,問題文としては誤りの文ということになります.(c)の文の前に「最も重要な過程として」とあるから誤りになるわけです.取り入れていないわけではありません.実際には全球,MSMなどモデルによって取り入れるパラメタリゼーションや取り入れ方に違いがあります.
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2017年1月25日 00:09 #6215akariゲスト
古久根様
非常に丁寧な返信、ありがとうございました。
とてもよく理解できました。積乱雲の問題は、「使ってはいるけど、もっとも重要ではないで」ってことなんですね……国語の問題みたい……(´・ω・`)
まだまだがんばります!!
ありがとうございました(^-^)また宜しくお願いします!
akari
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