風速シアの次元

はじめに フォーラム めざてん掲示板1 風速シアの次元

  • このトピックには6件の返信、1人の参加者があり、最後にわかやまにより7年、 11ヶ月前に更新されました。
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    • #6183
      わかやま
      ゲスト

      わかやまです。

      平成19年度の第1回の一般知識の問5に風速シアの次元を問う問題があるのですが

      風速シアの定義がのっている書籍が見つけられません。

      どなたか知っておられたら、よろしくお願いします。

    • #6184
      古久根 敦
      ゲスト

      わかやまさん,おはようございます.

      風速シアについて書かれている書籍を私も探してみたのですが.見つかりませんでした(^0^;)

      なので,解説資料作りました.

      https://www.evernote.com/shard/s34/sh/15d357eb-f48c-4a24-bc96-517f6e3dc02b/d1f0c03bb82946fd

      風速シア,つまり2地点間の距離に対する風速の差は,温度傾度や気圧傾度と同じように考えてOKです.ただし,風は大きさも方向も持っているので,向きも考えた風のズレの場合には,ウインドシアと言った方がいいでしょう.

      参考資料としては,書籍ではないですが.以下が参考になります.後日ご紹介しようと思っていた,日本気象学会の機関誌「天気」に過去に連載されていた「気象のABC」という記事です.

      天気 気象のABC No.28 「ウインドシア」
      http://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2013/2013_08_0035.pdf

      以下,機関誌「天気」関係で予報士になったら読んでみてほしいもの
      1.天気の教室
        小倉先生の著書「日本の天気」の素材になっている連載記事.2005年9月号から連載.気象予報士試験で言えば実技レベルの知見が深まります.

      バックナンバーはここで閲覧できます.
      http://www.metsoc.jp/tenki/index_tenki.php

      2.気象のABC
        2011年5月号からの連載記事.何名かの研究者の独自の世界が繰り広げられていて,とても楽しい記事です.内容は気象で取り扱う様々な事項の基礎解説に近いですが,結構難解なことも書かれていたりします.気象予報士試験対策の段階で読むのはオーバースペックになりそうです(^0^;)

      http://www.metsoc.jp/tenki/?%E6%B0%97%E8%B1%A1%E3%81%AEABC

    • #6191
      わかやま
      ゲスト

      古久根 敦様

      返事が遅くなり、申し訳ありません。

      様々な参考資料をご紹介いただき、ありがとうございます。

      グラディエントという説明で単位の方は、すっきりとしました。

      ケース3で書いていただいている、速度と直交方向の傾度が関心事である

      というのは、航空機等の事故に関係するからということで良いのでしょうか?

      どうぞよろしくお願いします。

    • #6194
      古久根 敦
      ゲスト

      わかやまさん,おはようございます.

      拙い説明だったかもしれませんが,グラディエントですっきりされたようで,よかったです.

      ケース3(ウインドシアとして風の方向と大きさのズレを考える)についてですが.航空機の事故へのつながりとは関係はありません(^0^;) 航空機では,速度と直交方向の傾度だけが関心事ではなくて,速度と平行方向も重要です.向かい風・追い風での風速変化は速度方向の変化を言っています.それ以外にも上空では鉛直シアも大切です.

      ケース3を用いた意図は,ウインドシアは本来は3次元的な成分を考えるもの,風速(大きさ)だけではないよ,ほら天気図でのシアラインの解析でも風速の違いだけでなく風向を見ているでしょ,ということを,実際のウインドシアの値を求めることで体験してもらいたかったからです.また,収束と変形を理解する一つの例にしたかったからです.

      速度と直交方向の傾度が関心事というのは,「変形」という物理的な意味を込めています.前線形成過程では「変形」することが前線強化につながる大切な要因の一つです.一般気象学p.197~199に関係します.

      ケース3は一見すると地点Aと地点Bの風は「収束」しているとだけしか思わない人もいるかもしれません.確かに収束していますが,同時に「変形」もしています(他の地点の風も見ないといけませんが).

      変形(特にシア変形)の場合には,風向のズレと,ずれている2地点間の風向と直交する距離が物理的に意味を持ちます.流体力学に少し触れないと難しい概念です(^0^;)

      例えば,直方体の箱を考えてみましょう.直方体の上面と下面のそれぞれに直方体の横面から逆向きの力を加えて直方体を横から見たとき平行四辺形になるような変形させようとしたとします.直方体の上面と下面の距離(直方体の高さ)が小さいと結構大きな力を加えないと直方体は平行四辺形になってくれません.逆に直方体の上面と下面の距離が大きければ(高さが高ければ)容易にさほど力を加えなくても平行四辺形になってくれます.このことは,力の向きと直交方向の距離が短ければ大きな力が必要だということを意味します.

      風向と平行な方向の距離は変形(シア変形)には関与しないので,図では関心がないと書きました.

    • #6196
      わかやま
      ゲスト

      古久根 敦様

      ありがとうございます。

      意図が理解できました。

      気象予報士を合格後は、流体力学の学習もはじめてみたいと考えています。

      初学者向けの書籍や気象との関連が深い書籍でおすすめのものはないでしょうか?

      よろしくお願いします。

      • #6201
        古久根 敦
        ゲスト

        わかやまさん

        気象の土台になっている流体力学の本はどれも難しいものばかりですが,これはいいなと個人的に感じた本をご紹介しておきますね.

        1.流れのふしぎ 遊んでわかる流体力学のABC 日本機械学会編,講談社
          どの単元も「やってみよう」(実験),「どう役立つ?」(活用先),「タネあかし」(理論)の3つで構成されていて,理想的な学び方です.流体力学で知っておきたい事項が網羅されています.有名なブルーバックスシリーズですから,内容は平易です.例えば,カルマン渦は気象の世界ではおぉ!となりますが,実は日常的に皆さん感じているはず.風の強い日のピューという音や電線の揺れ,カルマン渦(はく離渦)の仕業.気象と結びつけて読んでみるのも悪くありません.

        2.流れの科学(改訂版) 木村竜治著,東海大学出版部
          自然現象,気象と絡めながら,流体力学を学んでいる学生を設定した物語調になっていて,その世界に吸い込まれます.

        3.JSMEテキストシリーズ 流体力学 日本機械学会
          難しい数式を使った解説が多い流体力学の中で,それを可能な限り抑えつつ,演習問題付きで丁寧に解説している参考書.理論的に土台をしっかりしたいのであれば,この参考書などで理解していくことは大切です.

        他にもあると思いますので,本屋で品定めしていただいて,これ!という本を見つけてくださいね!

    • #6203
      わかやま
      ゲスト

      古久根 敦様

      ありがとうございます。

      また、自分でもいろいろと探してみたいと思います。

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