第45回気象予報士試験 実技1 問2(1)
丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
でかい表が現れて面食らった人も多かったと思いますが、基本的な問題なのでだいたい出来ると思います。
わたし個人的には[7][8]は納得できていませんが。
表1では、日付を10日9時とか11日9時のように表現してますが、図と照合するためには、初期時刻からの時間に変換しなければなりません。
そこで、「最初に日付をメモしよう」が活躍します。
わたしは、試験開始直後に問題用紙の隅に日付を書き込むことにしています。
下の図は、今回の試験で実際に書き込んだ数字です。
このおかげで、10日9時は24時間後、11日9時は48時間であることが、悩むことなく瞬時に判断できました。
[1]11日9時は48時間後なので、図5下の低気圧の中心気圧を読み取れば良いのです。
1000hPaから2本内側なので「992」hPaですね。
[2]図-2の数値を読み取るだけの問題です。
ご覧の通り「784」です。
[3]下の図(図-6上)をどう判断するかですね。
わたしは、低気圧中心と、極大値の位置がほぼ重なっていると判断して「同位置」にしましたが、模範解答は「南」でした。
僅かな違いを読み取りなさいと言うことのようです。
[4]図-6下では、地上中心と渦度極大点が接近しているので、トレーシングペーパーやデバイダを活用して正確な位置を判断しないと間違えてしまいます。
下の図で示すように「南東」が正解でした。
[5]図-7下の暖域の気温を読み取ります。「0」℃ですね。
[6]同じく上の図(図-7下)を使います。
地上低気圧の中心を星印で示しました。
気温極大点を「W」の位置とみなすと、正確な方向は西南西ですよね。
問題文の指定で8方位とあるので、「西」が正解です。
(「南西」も正解にしています)
[7]湿潤域は図-7下の青く着色した領域です。
この問題における中心が何を指すのか不明確ですが、普通に考えれば地上低気圧の中心でしょう。
とすると、青い星形のところになります。
中心の([7])側で湿潤と問われたら、「北」側でしょうね。
ところが、模範解答は「東」側でした。
これは、ちょっと訳が分かりません。
中心の([8])側で相対的に乾燥、と問われれば????
湿潤域のど真ん中にいるので、答えようがありません。
分からないので「北」以外ならどこでも構いません。
模範解答は「西」となっていました。
中心が、Wの文字の位置であれば、模範解答との整合性がありますが、なぜWの位置が中心なのか分かりません。
気温極大点を中心と定義されていれば良いのですが、そうでもないし・・・。
[9]図-8下を使います。
循環中心は、矢羽の回転方向から真ん中辺りに検討をつけます。
赤丸の循環中心は、北北西ですが、8方位の指定なので「北」が正解です。
☆下の図の分布を20字でどう表現するかですね。
北上大の答え
「中心の南東側から北東側に帯状に分布」(17字)
模範解答
「中心の南側から北東側にかけて帯状に分布」(19字)
くーっ!! 惜しい!!
[10]図-8下を使います。
場所はすぐ分かると思いますが、数値を読み違えないように注意しましょう。
基準は345Kの太線です。
345Kから4本目の線なので、345K+12K=「357」Kになります。
第45回気象予報士試験 実技1 問2(2)
[1]台風の構造の特徴といえば、円形と上空の暖気核を考えます。
語呂合わせ呪文で「台風の真上に必ず暖気核」があります。
この観点で表1を見ると、11日9時の暖気核(気温極大点)をさがしてみると、
500hPaでは西にずれていますが、暖気核があります。
850hPaでは同位置なので、暖気核として作用しています。
以上のことから北上大の答えは
「500hPaと850hPaで、上層に暖気核を形成している。」(29字)
模範解答は
「500hPaと850hPaで、中心部に暖気核が残っている。」(29字)
まぁ、正解でしょうね。
[2]
表1で、500hPa面で与えられてる情報は、「渦度極大点」、「気温極大点」の2点だけですから、
(a)「渦度極大点」 (b)「気温極大点」(順不同)になります。
850hPaでは「循環中心」と「相当温位極大点」が与えられていますが位置がずれているのは「循環中心」ですね。
「相当温位極大点」は同位置となっています。
だから(c)は「循環中心」です。
台風の構造の特徴の一つは「円形」です。
台風から温帯低気圧に変化するときには、円形が崩れます。
だから(d)は「円形」と答えましたが、模範解答は「対称性」でした。
第45回気象予報士試験 実技1 問2(3)
図5上の多量の降水が予想されている領域とはここのことです。
この領域を図8上に重ねるとこうなります。
850hPaの空気の性質は、相当温位が高いので高温多湿ですね。
風向・風速は、南西方向から40ノットの強い風が、降水領域に吹き込んでいます。
降水領域から流出していく風は、20ノット以下で弱くなっています。
ということは、吹き込んだ風量がどこかに消えたことになります。
海中に消えるはずはありませんから、上空に消えた。
つまり、上昇気流になって収束したと考えられます。
降水には上昇気流が付きものであることをよく覚えておきましょう。
この様子を簡潔に答えればよいのです。
北上大の答えは「高温多湿の空気が上昇気流となる。」
模範解答は「湿潤暖気の収束」
なるほど、模範解答の方がスマートですね。
主因となる相当温位の値は、上の図で赤く着色した領域だから
「345」Kです。
第45回気象予報士試験 実技1 問2(4)
[1][2]は、図5下の日本海北部の低気圧の24時間前の位置を推測する問題です。
ヒントは、台風崩れの低気圧の進路です。
上の図に書き込んだように、台風の低気圧は赤い線の進路を通りました。
ですから、日本海北部の低気圧はその逆の線を辿ると、青い楕円の領域にあったものと推定できます。
こうして、24時間前の図5上を見ると低気圧の「L」の文字がありますね。
この位置が[1][2]の答えになります。
この位置を読み取って[1]は北緯「41」度、[2]は東経「133」度となります。
[3]500hPa面で大陸にあるものとは何でしょうか。
低気圧がありますね。
これが答えなのですが、わたしは「低気圧」としました。
模範解答では「寒冷低気圧」となっています。
配点が1点の問題ですから、0.5点なんてありえませんね。
ということは「寒冷低気圧」まで踏み込まないと正解にはならないのでしょうね。
もう一つは、「トラフ」と言う答えも浮かんだのですが、これもダメかな。
[4]低気圧の「何」側の縁辺を進む、と問われたらなんと答えるべきでしょうか。
わたしは「外」側としました。
模範解答は「南東」側となっていました。
外側でも良いような気もするけど、ダメなんだろうなきっと。
[5]この低気圧の発生時(図8上)の循環中心はこのように、等相当温位線の密集帯上にあります。
この24時間後(図8下)では、下図のように密集帯の北側に移動しています。
ですから[5]は密集帯の「北」側にしましたが、模範解答は「西」でした。
[6]同じ図8下ですが、循環中心の場所に閉じた相当温位線があります。
数値は「336」Kですね。
[7]閉じているということは、地形図に例えれば、この部分が山の頂上になっていることを意味します。
そこで、わたしは「極大域」が形成されていると答えました。
しかし、模範解答は「暖気核」となっています。
気温の極大値であれば暖気核で良いと思いますが、相当温位の極大域を暖気核と言って良いのでしょうか?
若干疑問が残りました。
[8]図7下の低気圧中心付近はこのようになっています。
湿潤域が、低気圧中心のどの方向かと問われたら「東」側でしょうね。
[9]南西方向からくさび状にのびるのは、「湿潤域」に対応する「乾燥域」です。
[10]ドライスロットが低気圧中心に迫るのは「閉塞」し始めている兆候です。
[11]48時間後の850hPa等相当温位線は図8下です。
等相当温位線集中帯の南縁を前線とすると、北緯40度を通るのは東経「138」度ですね。
[12]さらにのびている方向は「南南西」です。
模範解答
動画解説(22分06秒)
動画中で、問2(4)[5]の模範解答を誤って「北」と言っていますが、正しくは「西」です。