第42回気象予報士試験 実技2 問2(1)
[1]地上低気圧と500hPa 渦度場の関係。
下図に500hPaの渦度の代表値として正渦度の極大値の位置を示した。
初期には地上低気圧の西側にあった正渦度の極大値が、徐々に地上低気圧の位置と一致してくる。
この状況を30字で表現する国語のテストだ。
『500hPaの正渦度場が地上低気圧の西側から近づき鉛直に重なる。』(32字)
模範解答は『地上低気圧の中心が500hPaの負渦度域から正渦度域に進む。』(30字)だって。
あれれ!
全然だめじゃん。
やっぱり、『場』という概念が良く把握できていないんだなぁ。
それじゃ、地上低気圧と、正渦度の位置関係を確かめてみよう。
ふーん。最後の24hが正渦度域に入ったことは分かったけど、初期は境界領域じゃん。
この状態を負渦度領域って言うのかなぁ。
ともかく、温帯低気圧が成熟するときには、負渦度域から正渦度域に進むことは覚えておこう。
[2]地上低気圧と500hPa強風軸との位置関係。
初期の強風軸は、問1(2)の問題で[b]の位置であることが明らかになっているので、12hと24hについて考察してみよう。
地衡風は、等高度線に平行に吹くので、それぞれの図に強風軸と思われるラインを描いてみた。
この結果を35字で表現する。
『500hPaの強風軸が地上低気圧の北側から南側に移動する。』(29字)としたが、
模範解答は『地上低気圧の中心が500hPa強風軸の低緯度側から高緯度側に移る。』(33字)だった。
採点はどうだろうか、まずまずのセンだとは思うのだが。
[3]700hPa鉛直流・湿数の分布の観点から閉塞点の過程の特徴。
700hPa 鉛直流と湿数の経過図を並べてみた。
赤丸が地上低気圧の中心位置である。
12時間後と24時間後は、上昇流域と湿潤域がほとんど同じような形で、低気圧の中心を取り囲んでいる。
この様子を、45字で表現する。
『700hPaの上昇流域と湿潤域がほぼ同じ形で低気圧中心の東から北側に回りこみ西側まで入る。』(45字)でどうだろうか。
模範解答は『下降流に対応する乾燥域が、地上低気圧の南西側から北東方向へ、回り込みながら進入する。』(42字)
なるほどね、元々が上昇流域(湿潤域)だったところに、下降流域(乾燥域)が入り込んできたわけだ。
こりゃイカン。
このセンスの悪さじゃ、当分合格しそうな気がしないなぁ。
25日9時の閉塞点の位置
25日9時は、初期時刻から24時間後のことなので、図10を使って判断する。
相当等温線集中帯を目安に前線を解析すると下図のようになり、
閉塞点は『北緯40度、東経133度』とした。
第42回気象予報士試験 実技2 問2(2)
図3、4、5、6に、模範解答のトラフ位置を書き写したので、等高度線との関係をよく見てください。
日付は、初期時刻が24日9時なので、それぞれ、
第42回気象予報士試験 実技2 問2(3)
問2(2)の解答図を参照しながら答えれば良いのだが・・・。
こんなふうに間違えてはいけませんという、自戒の意味を込めて、北上大のボンクラ解答を残しておきます。
[1]『24』、[2]『A』、[3]『東』→『前面』、[4]『急速』、[5]『西』→『直下』、
[6]『B』、[7]『影響』→『接近』、[8]『更に』→『緩やかに』
[3][7][8]は、あながち間違いとは言えないと思うが、やっぱりダメなんだろうな。
第42回気象予報士試験 実技2 問2(4)
[1]図10の北緯30度以南の相当温位線の集中帯に色を付けてみた。
集中帯の幅は『狭くなる』
集中度の変化は、『高まる』
20字の解答はこうなった『等相当温位線集中帯の幅が狭く集中度が高まる。』(22字)
これより短くはできないだろうと思ったのだが、
模範解答はこうだ。『次第に幅が狭くなり集中度が高まる。』(17字)
ええ~、『等相当温位線集中帯』を省略していいのかよ、って感じ。
[2]「簡潔に答えよ」の時には、本当に簡潔でよいはずだ。
だから、答えは 『狭くなる』とした。
模範解答は『次第に幅が狭くなる。』だって!
これじゃ、[1]の「20字程度で述べよ」と[2]の「簡潔に答えよ」の差がないじゃないか。
ヾ(*`Д´*)ノ” おっちゃんは怒ってるぞ。
[3]
初期時刻:
下図は、初期時刻の等相当温位線と上昇流域の合成図
相当温位分布図と関連付けて30字で表現すると。
『等相当温位線集中帯とその南側にかけて、上層流が大きい。』(29字)
字数もピッタリだし、これはいけるんじゃないかな。
で、模範解答は『等相当温位線の集中帯とその南の相当温位が高いところで大きい。』(30字)
そうか、ただの南側じゃダメなんだ。
相当温位が高いところだよね。
問1(3)で学んだところじゃん。
24時間後:
合成図は下図。
相当温位分布図と関連付けて20字で表現するとこうなる。
『等相当温位線集中帯の南側で上昇流が大きい。』(21字)
模範解答は『等相当温位線の集中帯の南側で大きい。』(18字)でした。
うん、これは、まずまずの出来だな。\(^o^)/
模範解答
コメント
いつも勉強させていただいております。
問2、(1)③では閉塞点を答えよとなっています。
閉塞点は地上の前線上での位置と考えているのですが
地上天気図では情報がないために北上様の解説にあるように850hPaの天気図から判断するというのは納得しています。
地上の前線解析を850hPaの等温位線集中帯から判断した場合には地上では1度程度南側に修正せよとよく言われますが、
この場合にはそのような考慮は不要なのでしょうか。
細かいことで申し訳ありませんが気になっています。
東京堂出版の「模範解答と解説」によると、最終的には
図5(下)の地上天気図に落として、地上気圧・降水量・風の24時間予想図で、気圧の谷、風のシアー考慮して、地上での寒冷前線、温暖前線および閉塞前線を描いて判断すると書いてあります。
ですから、moritanさんの考察が必要なようです。
結果的には、同じになってしまいましたが(苦笑)
北上様
ご丁寧にありがとうございます。
前線解析の問題ではいくつかの天気図を参照するようにヒントが与えられますが
いろんな図を見ている余裕はありませんのでいつも850hPaの等相当温位線を主体に判断しています。
総合的に判断と言われても時間的にはなかなか難しいですね。
問2(2)について
北上様
いつも丁寧な説明をありがとうございます。
トラフ解析問題ですが、今回の模範解答では、トラフが負渦度領域を横切ってしまっていいるように見えるのですが、このようなことは通常あり得るのでしょうか?
(トラフは正渦度領域内で収まると覚えていたので、混乱してしまいました…)
Gachiさん、こんにちは。
現在、54回直前対策講座の資料作成に追われており、じっくり考えることができません。m(_ _)m
難しい議論なのでわたしの回答は後ほどにして、過去にこのような議論があったので、とりあえずご覧ください。
https://kishoyohoshi.com/forums/topic/%e3%80%90%e7%ac%ac42%e5%9b%9e%e3%80%91%e5%b9%b3%e6%88%9026%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e7%ac%ac1%e5%9b%9e-%e5%ae%9f%e6%8a%802%e3%81%ae%e5%95%8f2-%e3%80%9c%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%95%e8%a7%a3%e6%9e%90%e3%81%ab
北上様
承知しました。
まずはそちらの議論を参考にさせていただきます。
また時間があるときにご回答いただければ幸いです。
ありがとうございました。
北上様
ダーンより
貴重な時間を使い、尚早々にコメント頂きありがとうございます。
長文で申し訳ありませんが、以下にコメントさせて頂きます。
>36時間後には、トラフAが急に北上します。
>等高度線(強風軸に通じる)に沿った動きと見ることが出来ます。
>トラフBもこれを追いかけて北上するのだろうなと予想できますね。
>さて、これを追いかけるトラフBの位置として2つの候補があります。
>赤いラインと緑のラインです。
>上空5500m付近を大きな空気の塊が流れているのですから、いきなりふた手に別れて南>下する緑のラインは不自然ですよね。
>そう考えると、赤いラインを選ぶのが正解になります。
●私には北上様御説明のような考えに至る事ができませんでした。理由として緑のトラフに対応する正渦度極大域(東経128度付近の+103)は、高度は5460m付近にあり、24時間後のトラフBに対応する正渦度極大域(+161)の高度も5460mに近いので、等高度線に沿って動く考えから、東経128度付近の+103の極大域も有りでは?と考えたためです。(南下するイメージでは捉えませんでした)
一方、回答例のトラフBに対応する正渦度極大域(東経135度付近の+188)の高度は、5280m付近ですので、同じトラフの極大域の高度が24時間後の5460mから48時間後には5280mに変わってしまうので、「等高度線に沿って動いた同じ正渦度とは考えにくい」と私の中で結論付けていました。どこか間違えていると思いますが、今でもそれは変わりません。トラフの解析は難しいです。
そのうち理解できる様、希望をもって勉強を続けたいと思います。
尚、ご回答の情報は、当方で格納しましたので、閉じられても結構です。有難うございました。
ごろごろ ダーン さん、こんにちは。
トラフAを指標にして、トラフBの動きを推測する問題ですね。
トラフを追いかける手法として、正渦度の動きを追う方法があります。
しかし、正渦度を追いかけるのは、テクニックの一つであって、これだけで決まるものではありません。
強風軸とも関連する等高度線に沿って動く性質もあります。
もっとも大事なことは、気象の基本として大気はつながって動いているということを忘れてはいけません。
トラフAとトラフBは、同じ大気を構成する成分ですから、連動するのが普通でありバラバラに動くものではありません。
さて、問題にもどって、12時間後と24時間後までは納得していますね。
では、36時間後について考えてみましょう。
トラフとしての明瞭な等高度線の膨らみが観察されないので、正渦度の位置で判断することにしましょう。
すると、東経128度付近の+108と東経135度付近の+188が候補になりました。
極端に整理してしまえば、この2つのうち、どちらを選んだら良いかと言う質問になるかと思います。
ここでは、トラフAの位置が予めヒントとして与えられています。

初期時刻から36時間後までのトラフABの位置を順番に確認してみましょう。
36時間後が、「赤いきつね」か「緑のたぬき」か、どちらかを選べということです。
当初時刻、12時間後、24時間後までは、トラフA(青い線)をトラフB(赤い線)が追いかけています。
36時間後には、トラフAが急に北上します。
等高度線(強風軸に通じる)に沿った動きと見ることが出来ます。
トラフBもこれを追いかけて北上するのだろうなと予想できますね。
さて、これを追いかけるトラフBの位置として2つの候補があります。
赤いラインと緑のラインです。
上空5500m付近を大きな空気の塊が流れているのですから、いきなりふた手に別れて南下する緑のラインは不自然ですよね。
そう考えると、赤いラインを選ぶのが正解になります。
おまけの動画gifです。

初めまして。過去問を学習中の者です。
問2(2)の質問です。
本問題のトラフの解析について、すでに解決すみとは推測致しますが、私も同様トラフの解析では苦労しており、本問題では、36時間後(25日 21時)が理解できません。
(尚、渦度極大域と等高度線の曲率大の箇所を探すのがこれまで得た知識です)
24時間後までは、初期時刻の正渦度極大域(+134)が高度5400mと5460mの間にある事から、地衡風で流れるであろう12時間後のほぼ同じ高度にある正渦度極大域を探し、+135が見つかります。同様に24時間後は+161が見つかります。
しかし36時間後は、東経128度付近に、+103が見られるので、そこをトラフと解析しましたが、解答例では、高度5280m(東経135度付近)にある+188を通るようになっていました。
つまり、24時間後までとほぼ同じ高度に沿った渦度極大域を探すだけでは、トラフの位置を解析できませんでした。
ここは、どのように解析したらよいのでしょうか?
ご教授頂けるとありがたいです。
なお、36時間後の極大域+103は、24時間後の極大域+161との距離が近すぎると思いますが。
干し柿さん、こんにちは。
難しい問題ですね。
この問題のポイントは、正渦度の保存則を最大限に活用することのようです。
初期時刻にトラフとして指定されている領域には
+134の正渦度の極大値があります。
これを追いかけて行くと、24日21時(12時間後)には、
+135となって解答位置付近にあります。
ここの僅かな湾曲を捉えて解答としてます。
更に24時間後には、+141に成長しています。
こんな風に、標的となる正渦度を目印にして考えてみてください。
いつもら拝見させていただき、ありがとうございます。
一点、教えて頂ければ幸いです。
平成29年度第1回 実技2 第2問(2)のような、トラフの位置を当てるような問題が、よくわかりません。解答案を見ても位置とする法則もよくわからんのです。
何かよい案はないでしょうか?
p.s
ちなみにどれぐらい分からないかというと、この問題で言うと、解答は24日9時から21時にかけて、いきなり南下していますが、もっと5220mから5340mぐらいにあると思ってました。
25日21時に関しては、解答を見てもその部分の等圧線が凹んでるとさえ感じません。