第45回気象予報士試験 実技2 問3(1)
前線位置解析の問題です。
一般的に、前線位置解析に使用される因子はこんな要素です。
- 850hPaの等相当温位線集中帯の南縁
- 風の水平シアライン
- 地上低気圧の谷線(等圧線が屈曲している)
- 降水域
- 気温傾度が大きいラインの南縁
前線解析でもう一つ有用な要素が、閉塞の有無を確認することです。
この問題では、寒気の回り込みやドライスロットの侵入が見られないので、閉塞なしと判断しました。
一般に最も保存性が良いのが、850hPaの等相当温位線の南縁付近です。
これに沿って線を引いてみると、こうなります。
地上等圧線の谷線(くさび状に屈曲しているところ)との解離が大きいので、ちょっと違和感がありますね。
赤く点滅した点が地上低気圧の谷線なのでこの付近を通るのが普通なのです。
もう一つのヒントとして、850hPaの風向が与えられています。
分かりやすいように、寒冷前線付近では北向きの成分を有する風に青色、南向きの成分を有する風に赤色の矢印を描きました。
温暖前線付近では、角度が大きく変化した風にグリーンの矢印を描きました。
そうすると、こんな図が出来ます。
色の境目がシアラインです。
シアラインに線を引いてみましょう。
地上低気圧の谷線とほぼ一致しました。
地上の30mm以上の降水域とも大きな齟齬はありません。
以上の状況を総合的に判断すると、模範解答のラインが描けるはずです。
ここで、温暖前線と寒冷前線の記号を描き忘れないように注意してくださいね。
減点されてしまいますから。
第45回気象予報士試験 実技2 問3(2)
降水量予想ラインの読み取り問題です。
降水量予想ラインは、点線で示されているとと、しばしば密集するので非常に読み取りにくいです。
ここでは、ちょっとしたコツを教えます。
まず、潮岬がどこだかわからないと話になりません。
分かりますよね。
台風や低気圧の通過指標としてしばしば使われるので、太平洋に面した主な岬は覚えておきましょう。
御前崎はともかく、足摺岬、室戸岬、潮岬は確実に覚えておいてください。
12時間後と24時間後の図を合わせて載せましたが、潮岬の位置は青い星印です。
降水予想ラインを、降水側から読むと込み入っているので分からなくなります。
降水予想せんは、比較的まばらな0ラインからの本数で確認します。
12時間後は、ゼロから3本目なので「30」mm
24時間後は、ゼロから2本目なので「20」mm
簡単に判別できました。
第45回気象予報士試験 実技2 問3(3)
丸囲み数字は、機種によっては文字化けするので[1][2]を使います。
[1]低気圧の通過に関する問題です。
わたしの語呂合わせ呪文の中でも傑作だと思っている作品の一つに
「台風の左に立てば左巻き」
があります。
台風も低気圧も同じですから、風の回転方向を読み取るだけで分かりますね。
ご覧のように、風向が左回転していますから、潮岬は低気圧の左側にあることが分かります。
左側とは、台風(低気圧)が
- 北上している場合は西側であり、
- 東進している場合は北側になります。
この問題では、低気圧は東進しているので、北側ですよね。
ということは、低気圧は潮岬の「南」側を通過しました。
根拠を25字で書きます。
上の図に書いた表題ほぼそのままです。
「風向が時間とともに反時計回りに変化したため。」(22字)
模範解答は
「風向が北東から反時計回りに北西に変化したため。」(23字)
具体的に風向を示せとの指示はないので、これでも良いと思います。
[2]これは、1時間と3時間を勘違いしなければ、簡単な問題です。
雨の降り出しは、グラフが立ち始めた時間ですから「20」日「15」時過ぎであることは明らかですね。
3時間降水量は、ちょっと引っ掛け問題かもしれませんね。
1本のグラフは1時間降水量ですから、3時間降水量を見るなら、3本のグラフの連続加算が必要になります。
3本連続で一番大きいのは、「15.5+21+12」です。
これの出現日時とは、完了した時点を指しますので、赤い矢印で示した「20」日「21」時です。
単純な足し算では48.5mmですが、二捨三入のルールによって、答えは「50」mmになります。
模範解答