第44回気象予報士試験、一般知識、問6の動画解説を作りました。

温度風の問題なのですが、解説のpdfを見ても分からないとの質問を頂きました。

こんな問題です。

i44kq06q

この問題のいやらしいところは、実感として理解し難い点です。

通常、温度風の対象となる地衡風においては、上空に行くほど風速は大きくなるものですが、この問題では、逆に上空の風速を小さく設定しています。

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この構造図を見て気付いた方もいらっしゃると思いますが、どうやら台風をモデルにしているようですね。

一般には温度風の関係を論じるときには地球規模の地衡風を対象にしているのですが、この問題では地域的な循環なので経験的な思考では分かりにくいでしょう。
むしろ、理論的なゲームとして楽しむくらいの余裕がほしいところです。
(緊張している試験会場ではムリでしょうねぇ。)

この問題を解くにあたって必要な温度風の定義はこの2つです。
(1)温度風とは、上層の風と下層の風のベクトルの差
(2)北半球の温度風は、温かい方を右手に見る

この2つの条件で絞り込んでいけば自然に答えが導かれるのですが、なかなか分かりにくいです。

そこで、動画解説を作ったので、こちらを見てください。
5
33秒の動画です。

これで、分かると思いますよ。


『気象予報士受験者応援団』は気象予報士北上大が個人で運営しているサイトです。
「気象庁」および一般財団法人「気象業務支援センター」とは関係ありません。
記事中で使用している問題文は、一般財団法人「気象業務支援センター」に届けて了解を頂いております。

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コメント

  1. ラジオα より:

    北上さま
    合格後も過去問の研究をされていることに頭が下がります。

    さて、本問ですが「実際にはこんな気象はめったに生じません。」とのことですが
    私は試験中にこの設問を見たときに台風のことだと思いました。
    ご存知のとおり台風は中心に暖気核があり、気圧傾度力と摩擦力の兼ね合いで
    自由大気最下層の高度2~4km付近で風速最大となりそこから上層に向かうほど
    風速が小さくなるなど、設問の状況に近似していると思いますがいかがでしょうか?

    • 北上大 より:

      わたしも構造図を描きながら「台風」かと頭をよぎったのですが、地衡風で作用する温度風を台風と関連付けて良いのかと逡巡して、あんな中途半端な表現になってしまいました。

      一般気象学【第2版】によると、温度風の説明は必ず「地衡風」について書かれています。
      しかし、台風は地衡風ではなく傾度風との認識でしたので、温度風を論じるには適していないのかと思った次第です。

      しかし、ラジオαさんのコメントを読んで調べてみたところ、
      台風の接線方向の風は温度風の関係が成り立つとの記載が2つありました。
      台風力学の基礎(琉球大学 伊藤耕介)
      ハリケーンとその成熟期の構造(名古屋大学地球水循環研究センター気象学研究室)

      これを踏まえて、解説の文言を修正します。
      ありがとうございました。

  2. ASTR より:

    第42回の学科、専門の問12の(C)の問題の逆のバージョンのようですね。
    今回の問題では温度風の向きが問題の焦点で,第42回では鉛直方向での風速変化が
    温度風の向きから問われているということだと思います。

    ここでの解説を見て理解を深めることができました。

    • 北上大 より:

      ASTRさん、コメントありがとうございます。

      なるほど、そういうことですね。
      42回専門の問12の解説を補充しなければなりませんね。

      ありがとうございました。