第40回気象予報士試験 実技2 問4


第40回 気象予報士試験 実技2 問4(1)


(a)と(b)の移動の様子を画像で見ると次のようになっている。

一見して分かるとおり、
・降水域(a)は時間と共に、東に移動している
・降水域(b)はほぼ同じ位置に停滞している

これを35字で表現するとこうなった。
「降水域(a)は東に移動するが、降水域(b)はほぼ同じ場所に停滞する。」(34字)
模範解答はこうだ。
「降水域(a) は東に移動するが,降水域(b) はほとんど移動しない。」(32 字)

ほとんど同じ意味だから、正解とみてよいだろう。


第40回 気象予報士試験 実技2 問4(2)


寒冷前線に対応している降水帯であれば、前線の進行と共に移動するはずだから、停滞している(b)ではなく、東進した「(a)」であろう。

正解は、「(a)」だった。


第40回 気象予報士試験 実技2 問4(3)


まず、図6(下)から見てみよう。

j40k243a

降水量の極大値が5箇所あるが、前線付近や後面を除外して、前面を探すと、必然的に、駿河湾付近のグリーンの丸で囲んだ「+22mm」になるだろう。

図9(下)はこれだ。

j40k243b

上昇流なので、符号はマイナスである。
6ヶ所をマークしてみたが、上と同じ位置であれば、グリーンの丸で囲んだ「-52hPa/h」になる。
上昇流だからマイナスの数値だけれども、「絶対値で答えよ」との出題なので、上の降水量も含めて、プラスやマイナスの符号を付けてはダメだよ。
その点さえ気をつければ、極めて簡単な、サービス問題だ。

正解は、「22」mm 「52」hPa/hである。


第40回 気象予報士試験 実技2 問4(4)


地上の風向を示してということなので、図13の降水域(b)付近の風の特徴を探してみると、継続して南風が吹いている。
低気圧の暖域からの南風となれば、相当温位が高い湿った風である。
降水域(b)の地形を考えれば、富士山や南アルプスなどの高地が思い浮かぶ。
すると、水分を含んだ南風が山地にぶつかれば、上昇流が発生して、地形成の降水を引き起こすことが容易に想像できる。
そのようなことを、45字にまとめればよいのだろう。
ポイントは次の点かな

  • 持続する南風
  • 暖域なので水分が多く相当温位が高い
  • 富士山と南アルプスの山地にぶつかる
  • 強制的な上昇流発生
  • 地形性降水

これらを取り込んで、書いた答えがこうだ。
「相当温位が高い南よりの風が持続し、本州の山地によって滑昇して継続的な地形制降水となる。」(43字)
模範解答は「寒冷前線前面の南よりの風が続き,中部山岳地帯の南側斜面を上昇して降水が維持される。」(41字)

言いたいことは同じなのだが、使った用語が違っている
寒冷前線前面→(暖域だから)→相当温位が高い
中部山岳地帯→(実際は富士山と南アルプスだと思う)→本州の山地
南側斜面を上昇→(南風だから南側斜面は余計だろう)→滑昇
実際の採点で何点もらえるかは分からないが、まったく同じ用語を選ぶのは無理だろう。


第40回 気象予報士試験 実技2 問4(5)


図10(下)と図11(下)はこうなっている。

j40k245a

襟裳岬を通る等温線は、紛れが少なく、簡単にピンクの線が特定できる。
・左側が36時間後 「6℃」
・右側が48時間後 「0℃」
である。

『降水の型』を答えよ、という問題だが、降水の型の用語を知らなければ、「土砂降り」とか「しとしと雨」とか書きそうだ。
降水の型とは、雨、雪、みぞれなどの表現を求めているのだ。

4度以下、湿度が高けりゃびしょ濡れで、乾燥してれば雪が降る」

20130506aym

雪か雨かは、地上の気温と湿度が一つの目安となる。
850hPaの高度を1.5km、湿潤環境なので気温減率を4.5℃/kmと仮定して、850hPaの気温が0℃の場合、地上の気温は4.5℃/km×1.5km=6.8℃となる。

左は良く知られた図(丸囲み数字は関係ないので無視)だが、5℃程度以下であれば相対湿度が低ければ雪になる可能性もあるが、地上気温が6℃以上では雨とみてよいだろう。

出題は、36時間後の地上の降水の型である。
850hPaの気温が6℃なので、間違いなく地上では「雨」である。
正解はもちろん「雨」である。


第40回 気象予報士試験 実技2 問4(6)


最初に、「上記の型のまとまった降水量」を具体的に解釈する必要がある。
降水の型が、「雨」なのだから、「まとまった多量の雨が降ったとき」の防災上注意すべき点と理解してよい。
「災害御三家」から、長時間降雨の災害は、河川の増水、低地の浸水、土砂崩れ、はん濫だ。
しかし、出題では、大雨、洪水、浸水、土砂災害を封印して、それ以外に二つ答えよ、ということだ。

さて、困った。 何も思いつかない。

キーポイントは、「積雪が多い地域」だ。
雪が積もったところに、大雨が降ったらと想像しよう。
深く積もっている屋根の雪に雨がしみこんだら重くなって家がつぶれる、とか。
思いつくまま、ぬかるみ、融雪、ビニールハウスがつぶれる、なだれ、交通障害、氷柱(つらら)、休校……。
わからん。
解答は気象用語らしく、「なだれ」「融雪」としておこう。

なんと、正解は「なだれ」「融雪」だった。
ラッキー♪~♪ d(⌒o⌒)b♪~♪ランラン

※この解説は、北上大の実際の試験解答とは関係ありません。
というより、何を書いたか覚えていません。


第40回 気象予報士試験 実技2 問4 模範解答


問4
(1)〔4点〕
   降水域(a) は東に移動するが,降水域(b) はほとんど移動しない。(32 字)
(2)〔2点〕  (a)
 (3)〔2点〕  22mm  52hPa/h
(4)〔5点〕  寒冷前線前面の南よりの風が続き,中部山岳地帯の南側斜面を上昇して降水が維持される。(41字)
(5)〔4点〕  36 時間後:6 ℃  48 時間後:0 ℃  降水の型:
(6)〔2点〕  なだれ,融雪( 順不同)

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