丸囲み数字は一部の機種で文字化けになるので、ここでは[1][2]の表示をします。
目次
第46回気象予報士試験 専門知識 問1
(a)は「誤」
10秒間ではなく、瞬間風速は3秒間の平均です。
(b)は「誤」
静穏の風速は0.2m/s以下です。
風力階級は文章通り「風力0」です。
⇒風力階級表
(c)は「誤」
36方位表記では北は「36」です。
南は「18」でOKです。
方位「00」は、無風(静穏)を表します。
正解は [5] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問2
(a)は「誤」
ドップラーレーダーでは「3次元速度ベクトル」は測定できません。
追加の解説記事があります。
(b)は「正」
文章通りです。
(c)は「正」
ドップラーレーダーは、周波数変化を求めるためにパルス状に電波を発します。
そのため、単純に降水粒子を観測するよりも、距離的な制限を受けて観測距離は短くなります。
正解は [4] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問3
(a)は「誤」
ラジオゾンデには、風向風速計はついていません。
ラジオゾンデ自身が風に流されるので、位置情報を追跡すれば、風向と風速が判ります。
位置情報は、GPS信号方式が主流になっています。
(b)は「正」
概ねマイナス40℃以下になると測定誤差が大きくなるので、湿度の測定を行いません。
(c)は「誤」
最新のラジオゾンデでは、GPS信号を受信して直接高度を算出します。
正解は [5] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問4
(a)は「誤」
コンピュータ技術がや観測技術がいかに発達しても、大気のカオス的性質のために、2ヶ月先の長期予報は不可能だとされています。
カオスとは混沌と言う意味です。
例えば上層大気の気流予測において、予測していない飛行機が飛んで熱源を振りまいて気流を乱したとすれば、気流予測計算が合わなくなります。
また、大規模な火災が発生すれば強い上昇流が発生します。
このように、自然現象以外の要素(人や動物の活動)によって生じる現象は予測できません。
小さな変化でも大きな変化の引き金になり、やがて予測不能な状況につながるので、長期予報は困難なのです。
(b)は「正」
これは、問題文通りですね。
アンサンブル予想が時間とともにバラつきが大きくなることがそれを意味しています。
(c)は「誤」
アンサンブルモデルは、初期値を変えるのであって、予報モデルを変えているのではありません。
(d)は「誤」
アンサンブル予報のばらつきが大きいのは、予測を絞り切れないことであって、天候が荒れるとか変動が大きいとは関係ありません。
正解は [4] です。
(b)が「正」と、(c)が「誤」は確実よ。
すると、選択肢は[4]に決まるの。
だから、(a)が分からなくても、この問題は正解できるわ。
ついでに(d)も分からくていいわよ。
第46回気象予報士試験 専門知識 問5
パラメタリゼーションとは、コンピュータで直接計算することが出来ない膨大な物理過程を、サブグリッド内の現象として簡略化する手法です。
BとDは、コンピュータによって正確に計算ができますから、パラメタリゼーションの過程には含まれません。
正解は [2] A,C です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問6
(a)は「誤」
捕捉率と空振り率は相反する要素があり、両立することは出来ません。
捕捉率とは、ある事象が発生したときに、それを何%予測できたかの確率です。
例えば、オオカミがでそうな気配を感じたら、
「オオカミが出るぞ」
と予言します。
僅かな気配で
「オオカミが出るぞ」
といつも叫んでいれば、オオカミの出現は確実に予言できるので、捕捉率が高まります。
しかし、予言をしても、オオカミが出ないケースも増えます。
これが空振りです。
空振り率が高いと「オオカミ少年」と言われてしまいます。
(b)は「正」
ガイダンスでは、系統的な誤差は修正できます。
(c)は「誤」
数値予報の予測が違っている場合には、ガイダンスでは修正できません。
正解は [4] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問7
雲の明るさ(輝度温度)から、BとDは上層雲だと判断できます。
それを前提に見ていきましょう。
(A)は「山岳波」と呼ばれる雲です。
山越え気流が、繰り返し波を打ちながら上昇する雲を作ります。
この衛星写真は、奥羽山脈を越えた山越え気流が山岳波を形成しています。
(B)は「トランスバースライン」です。
輝度温度が低い(明るい)ことから、上層雲であろうと推測出来ます。
上層雲付近にジェット気流があると、乱流が発生して、ジェット気流に直交する小さな雲列が現れます。
(C)は「カルマン渦」です。
海洋の風の中に障害物をおくと、その下流で右巻きと左巻きの渦が交互に現れます。
日本近海で特に有名なのが、問題の写真のチェジュ島(済州島)と屋久島です。
(D)は「地形性巻雲」と呼ばれる雲です。
輝度温度が低い(明るい)ので、上層雲であろうと思います。
また、北海道の山岳地帯を堺に雲が発生しているので、山岳由来ではないかと推測できます。
西風が北海道の山岳地帯を超えるときに発生した波動によって、上層に影響を及ぼして巻雲を発生させたものです。
(B)は上層のジェット気流によるものですが、A、C、Dは山岳由来の雲と言えます。
この問題は、詳細な発生メカニズムや名称を知らなくても、奥羽山脈、チェジュ島、北海道の山地からそれらしい雲が発生しているので、見当をつけやすいと思います。
(B)には、対応しそうな山岳が見当たりませんね。
正解は [3] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問8
(a)は「正」
赤道付近の低緯度地域で上昇流が発生しますが、上昇した空気はどこかに降りなければなりません。
北緯(南緯)30度付近で下降流となって降りてきます。
下降流は高気圧であり、この緯度付近を亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)といい、降水が少なく、多くの砂漠が存在する領域になっています。
(b)は「誤」
シベリア高気圧は、背が低い高気圧です。
シベリア高気圧(シベリアこうきあつ、英語:Siberian High)は、冬季のシベリアを中心としたユーラシア大陸の広い範囲の地表で発達する、下層が寒冷な背の低い高気圧のことである。
高度はせいぜい地上から1000~2000メートルの大気境界層の上限程度までで、それより上空は高気圧になってはいない。
(c)は「正」
オホーツク高気圧に関するキーワードが3つあります。
- 下層が低温
高緯度に位置するので低温になります。 - 下層が湿潤
海上に存在するので湿潤です。 - 停滞性
上空のブロッキング高気圧とつながり動きが遅くなることがあります。
正解は [2] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問9
(a)は「誤」
風速15m以上の強風域の半径を基準にしています。
衛星画像は台風の大きさ判断には関係ありません。
(b)は「正」
日本に接近した台風の中心位置や進路予想は1時間毎に発表されます。
(c)は「正」
文章通りで正しいです。
暴風域に入る確率
地域ごとの時間変化
気象庁は、市町村等をまとめた地域ごとに「暴風域に入る確率」を発表します。72時間以内に台風の暴風域に入る確率が0.5%以上である地域に対し、下の図のように72時間先までの3時間ごとの値を示します。
気象庁ホームページでは、「台風情報」のページの「情報選択」で「台風の暴風域に入る確率(地域ごと時間変化)」を選ぶとご覧いただけます。下のグラフは表示例です。
値の増加が最も大きな時間帯(上図では23日午前中)に暴風域に入る可能性が高く、値の減少が最も大きな時間帯(上図では24日午後)に暴風域から抜ける可能性が高くなります。確率の数値の大小よりも、むしろ変化傾向やピークの時間帯に注目してご利用ください。
(d)は「誤」
これは困りましたねぇ。
基本的に、温帯低気圧に変わったら台風情報は終了します。
しかし、下の囲みで示すように災害を及ぼすおそれがある場合は継続するって。
その判断基準は、風速ではないのです、だから「正」か「誤」か判断に迷います。
台風から変わった温帯低気圧の情報
- これまでは、台風が温帯低気圧に変わると気象庁は「台風情報」の発表を終了していました。
- しかし、2004年の台風第18号のように、温帯低気圧に変わりながら再び発達し、広い範囲で台風に匹敵する暴風・強風を伴って被害をもたらすため、引き続き警戒が必要な場合があります。
- このため、台風から温帯低気圧に変わっても、暴風を伴って災害を及ぼすおそれがある場合には、台風情報として発表を継続し、台風並みの警戒を呼びかけることとします。
⇒ 実は、(a)(b)(c)が「誤正正」となれば、選択肢は[3]に決まってしまいます。
だから、自動的に「誤」になるのですが、非常に分かりにくい惑わすような出題ですね。
正解は [3] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問10
(a)は「正」
これは有名な定番問題です。
全員正解でしょう。
(b)は「正」
気温が低下すると台風の発生数は減少します。
(c)は「誤」
空気は水と比べて比熱が1/10ほど小さいので、暖気によって海水が温まる影響は微小です。
それよりも、台風の強風によって海面が強く撹拌されて、深部の冷たい海水が海表面に巻き上げられるので、一般に台風通過後の海面水温は低下します。
(a)(b)が「正正」なら、自動的に(c)は「誤」になります。
正解は [1] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問11
(a)は「クラウドクラスター」
テーパリングクラウドは、頂点から三角形が広がるように分布します。
九州西側の雲域には、そのような特徴が見られません。
テーパリングクラウド(Tapering Cloud)
赤外画像 平成18年(2006年)7月7日 |
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対流圏上・中層の風上側に向かって、次第に細くなっている「毛筆状」あるいは「にんじん状」の雲域を「テーパリングクラウド」(Tapering Cloud)と呼びます。
テーパリングクラウドは、積乱雲(Cb)と対流圏上層の風下側に流されたかなとこ巻雲から構成されています。
テーパリングクラウドの穂先部分では、豪雨、突風、雷、降雹などの顕著現象が発生することがあります。
テーパリングクラウドを構成する積乱雲は、対流圏上・中層の風下側へ移動する場合、ほぼ停滞する場合(右画像)、そして時には風上側に伸びる対流雲列上に発生する場合があります。
テーパリングクラウドの継続時間(ライフタイム)は、ほとんどが10時間未満です。
一方クラドクラスターは積乱雲が集まって巨大な塊になった状態です。
日本付近で発生する大型のクラウドクラスターの多くは梅雨期の東シナ海で発生・発達し、時として日本に大雨をもたらすことがあります。
(b)は「下層ジェット」
1500m付近ということで「下層ジェット」に決まります。
亜熱帯ジェットは、対流圏界面付近の上層で吹く強風です。
(c)は「対流不安定」
問題の図に、絶対安定と絶対不安定の領域に着色してみました。
気温の赤い線が中央の白い部分を通っているので、「絶対不安定」ではないし「絶対安定」でもないことが分かります。
すると、(c)は「条件付き不安定」か「対流不安定」かの選択になります。
実は、この時点で、(a)(b)によって選択肢は[4][5]に絞られているのです。
(c)は「絶対不安定」か「対流不安定」の選択になります。
2つの条件を満たすのは、「対流不安定」に決まります。
正解は [5] です。
試験テクニックとしては「対流不安定」が導き出せたのでこれでよいのですが、対流不安定についてきちんと理解しておきましょう。
下の図は、第38回実技1問4(3)の図です。
高度680hPa付近にある安定な「層DE」を断熱的に100hPaほど持ち上げた結果を示してます。
高度580hPa付近まで持ち上げられた「層D’E’」は不安定に変わってしまいました。
持ち上げる前の相当温位は、Dが338K、Eが330Kで、高度が高いEの値が小さいのです。
これが、対流不安定の原理を示しています。
このように、相当温位が高度とともに小さくなっている層は、対流不安定層です。
問題の図を見てみると、黄色で示された相当温位は、700~900hPaで左に傾いているので、高度とともに値が小さくなっていることを示しており「対流不安定」であると判断できます。
第46回気象予報士試験 専門知識 問12
(a)は「正」
文章通りで正しいです。
降水予想領域のばらつきが大きくなって、いわば雲散霧消する場合と、メンバーの降水予想領域が狭くなって重なりが少なくなる場合のどちらもが予想されます。
分かりにくいという質問があったので、図で説明します。
この問題での降水量予想頻度分布90%以上というのは、こんなイメージです。
各メンバーの降水量予想領域を重ねて描いたときに、五角形の部分では全体の90%が重なっています。
上の図では10個のメンバーを描いていますが、茶色のメンバー以外は、五角形の領域で重なっているので、ここが90%以上の領域になります。
以下、中央の青い円の大きさは同じなので、基準としてとらえてください。
この後、予想時間が長くなるに連れて、
(1)メンバー間の空間のばらつきが大きなった場合とはこんなイメージです。
各メンバーの領域の大きさは変わりませんが、バラバラに分散してしまったので、重なっている領域がなくなってしまいました。
あるいは、
(2)予想降水域が小さくなったメンバーが多い場合とはこんなイメージです。
メンバーの降水予想領域は、青い円の中にまとまっていますが、それぞれが小さくなったので、重なり合う部分がなくなったということです。
予想時間が長くなるに連れて、各メンバーの予測がずれてくるので、上記の
- (1)メンバー間の空間のばらつきが大きなった場合
- (2)予想降水域が小さくなったメンバーが多い場合
のどちらの可能性も考えられますので、問題文通りで正しいと判断できます。
(b)は「正」
文章通りで正しいです。
予想線のばらつきが大きいということは、谷の深さが絞り込めないということなので、予想よりも深い可能性もあるし逆に浅い可能性も否定できません。
同様に、通過する時間帯も絞り込めません。
(c)は「誤」
168時間後の九州地方の降水確率は10%以下とかなり精度良く絞り込んでいます。
一方、192時間後は、10~50%と不確実な予想です。
さらに、24時間の時間差も考慮すると、標準偏差に0.49と0.47の差があっても、192時間の予報精度が高いとは言い切れません。
正解は [2] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問13
(a)は「誤」
過去3時間の解析雨量を用いて降水域の移動をパターンマッチングにより捉え、一般移動ベクトルを応用しています。
(b)は「正」
例えば、地形効果による降水の増減が反映されています。
(c)は「正」
どちらか片方の予測が降水がない場合は、降水の強さが弱められる結果となります。
正解は [3] です。
第46回気象予報士試験 専門知識 問14
(a)は「正」
平均誤差はプラスとマイナスの誤差が相殺されますが、RMSEではマイナスがなくなるので相殺されないので、一般的にはRMSEが大きくなります。
例)例えば個別の誤差データが、〔-2、+1、+3〕の場合
平均誤差は、(-2+1+3)/3=0.67
RMSEは、√(((-2)2+(+1)2+(+3)2)/3)=√(14/3)=2.16
(b)は「正」
ブライア・スコアとは、降水確率予報値をFi(0.0~1.0)、実況降水をOi(1または0、雨が降ったか降らなかったか)として、
BS={Σ(Fi-Oi)2}/N の式で計算します。
BSが小さいほど精度が高く、完全な予報では0.0、最悪の予想では1.0となります。
ブライアスコアの計算例
日付 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
確率予報 | 0.1 | 0.6 | 0.4 | 0.9 | 0.7 | 0.4 | 0 | 0.6 | 0 | 0 |
実況降水 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
BS={(0.1-0)2+(0.6-1)2+(0.4-1)2+(0.9-1)2+(0.7-0)2+(0.4-0)2+(0.0-0)2+(0.6-0)2+(0.0-0)2+(0.0-0)2}/10
=1.35/10=0.135
(c)は「正」
スレットスコアとは適中率の計算において実況・予報ともに「降水なし」の事例を除外したものであり、4分割表でA/(A+B+C) で表されます。
比較的まれな現象の予報精度の評価に適しており、値が大きいほど予報精度が良いことになります。
降水の有無の予報の的中率は、(A+D)/(A+B+C+D)です。
D=0の場合は、スレットスコアと同じですが、Dが大きくなればスレットスコアよりも大きい値になります。
正解は [1] です。
参考ページ
⇒ 検証方法の説明
第46回気象予報士試験 専門知識 問15
(a)は「誤」
翌日からではなく、情報発表日の5日後から14日後までを対象としています。
(b)は「正」
問題文通りです。
下記、気象庁の参考ページをご参照ください。
(c)は「正」
問題文通りです。
下記、気象庁の参考ページをご参照ください。
正解は [4] です。
Echoさん、情報提供ありがとうございます。
参考ページ
⇒ 異常天候早期警戒情報について (現在ではつながりません)
⇒ 異常天候早期警戒情報:用語解説(現在ではつながりません)