台風のミニテスト30問
確認のためのミニテスト
- Q1) 赤道直下ではなぜ台風が発生しないのか。
- Q2) 台風発生に気圧傾度が必要か。
- Q3) 台風発生に必要な海水温は何度か。
- Q4) 台風は熱帯の水蒸気顕熱をエネルギー源として発達するのかな。
- Q5) 中心付近の最大風速が54メートルの台風の強さの階級は何。
- Q6) 大型の台風は成層圏まで成長することがあるってホントかな。
- Q7) 暴風域と強風域は、どう違う。
- Q8) 台風の大きさは、暴風域で判断するか強風域で判断するか。
- Q9) STSの風速基準は風速何ノット以上か。
- Q10) 大型の台風の強風域は、九州全土を覆いきることが出来るか。
- Q11) 台風の中心は周辺より気温が高いか低いか。
- Q12) 夏台風が日本に近づくのを妨げているのは何者か。
- Q13) 台風の中心付近で、時計回りの風は存在するか。
- Q14) 台風の眼を取り囲む背の高い雲の名前はなんと言うか。
- Q15) 台風の中心が24時間予報円の範囲に入る確率は、80%よりも高いか低いか。
- Q16) 台風が東方向に移動速度が加速される主な要因は何か。
- Q17) 晩秋の台風は沖縄に上陸するか?
- Q18) 台風中心位置の表現で、GOOD、FAIR、POORの日本語訳を言え。
- Q19) 台風中心位置の表現でFAIRの上下限の数値を海里で答えよ。
- Q20) 暴風域と暴風警戒域の違いを説明せよ。
- Q21) 3日先予報で暴風警戒域がなく予報円しか表示されていないのは、何を意味しているか。
- Q22) 「台風が室戸岬に接近した」とき室戸岬から台風までの距離は何キロメートルか。
- Q23) 台風の通過に伴って風向が時計回りの変化をしたとき、台風はこの地点の右側を通過したか左側か。
- Q24) 台風が上陸して急激に衰退する理由を二つ述べよ。
- Q25) 台風通過のとき、台風の東側では西側よりも風が強い、その理由は。
- Q26) 台風が近づいて大しけになりそうだ、では波高はどのくらいだろうか。
- Q27) 台風が伊勢湾付近で停滞しているとき、遠州灘と熊野灘では、どちらの潮位がより高くなるか。
- Q28) 台風の強風域がなくなることを温帯低気圧化という。
- Q29) 台風の眼は下降流だって、ホント。
- Q30) 台風の南側に、乾燥域が出来つつあるが、これは何の前兆か。
台風ミニテストの解答
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- Q2) 台風発生に気圧傾度が必要か。
必要ない。
台風発生に必要なのは、水蒸気をたくさん発生させる海水温度と回転を作るコリオリ力である。
- Q2) 台風発生に気圧傾度が必要か。
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- Q3) 台風発生に必要な海水温は何度か。
26~27℃といわれている。
- Q3) 台風発生に必要な海水温は何度か。
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- Q4) 台風は熱帯の水蒸気顕熱をエネルギー源として発達するのかな。
顕熱ではなく潜熱が必要。海面から蒸発した水蒸気が凝結するときに発生する潜熱で中心部分が暖かくなって台風は発達する。
- Q4) 台風は熱帯の水蒸気顕熱をエネルギー源として発達するのかな。
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- Q5) 中心付近の最大風速が54メートルの台風の強さの階級は何。
猛烈な台風である。
台風の強さは、4階級だ。
1、表現しない、
2、強い(風速33m/s~)、
3、非常に強い(44m/s~)、
4、猛烈な(54m/s~)
覚え方の呪文は→強い台風
- Q5) 中心付近の最大風速が54メートルの台風の強さの階級は何。
- Q6) 大型の台風は成層圏まで成長することがあるってホントかな。
ウソ。
活発な対流活動なので、成層圏までは届かない。高さの限界はせいぜい地表から15kmまで。
- Q7) 暴風域と強風域は、どう違う。
強風域は風速15m/s以上の区域、暴風域は風速25m/sの以上の区域。
気象庁の解説では、強風域は「台風や発達した低気圧の周辺で、平均風速が15m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域。通常、その範囲を円で示す」
暴風域は「台風の周辺で、平均風速が25m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域。通常、その範囲を円で示す」
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- Q8) 台風の大きさは、暴風域で判断するか強風域で判断するか。
風速15m/s以上の強風域の大きさで判断する。(暴風域の大きさではない)
- Q8) 台風の大きさは、暴風域で判断するか強風域で判断するか。
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- Q9) STSの風速基準は風速何ノット以上か。
STSは風速48KT以上、64KT未満。
・TD=28~(トロピカル・デプレッション)、海上風警報に該当
・TS=34~(トロピカル・ストーム)、海上強風警報に該当
・STS=48~(シビア・トロピカル・ストーム)、海上暴風警報に該当
・T(TY)=64~(タイフーン)、海上台風警報に該当
覚え方の呪文は→三枝が無視した
- Q9) STSの風速基準は風速何ノット以上か。
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- Q11) 台風の中心は周辺より気温が高いか低いか。
中心付近の気温が高い。上空には暖気核(ウォーム・コア)と呼ばれる暖気の固まりがある。 - Q12) 夏台風が日本に近づくのを妨げているのは何者か。
太平洋高気圧。台風は太平洋高気圧の縁辺を回りながら北上する。
- Q11) 台風の中心は周辺より気温が高いか低いか。
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- Q14) 台風の眼を取り囲む背の高い雲の名前はなんと言うか。
上の図にもあるように、英語で「アイウォール」、日本語では「壁雲」という。活発な積乱雲である。
- Q14) 台風の眼を取り囲む背の高い雲の名前はなんと言うか。
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- Q15) 台風の中心が24時間予報円の範囲に入る確率は、80%よりも高いか低いか。
80%よりも低い。
予報円に入る確率は70%である。
- Q15) 台風の中心が24時間予報円の範囲に入る確率は、80%よりも高いか低いか。
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- Q16) 台風が東方向に移動する主な要因は何か。
偏西風に流されるから。500hPaの強風軸(渦度ゼロライン付近)が影響している。
- Q16) 台風が東方向に移動する主な要因は何か。
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- Q17) 晩秋の台風は沖縄に上陸するか?
晩秋も盛夏も沖縄には上陸しない。
これは言葉遊びで、台風上陸の定義は、「台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合を言う」とされており、沖縄は上陸の定義に含まれていない。沖縄の場合は通過という。
- Q17) 晩秋の台風は沖縄に上陸するか?
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- Q18) 台風中心位置の表現で、GOOD、FAIR、POORの日本語訳を言え。
順番に、「正確」「ほぼ正確」「不確実」である。
- Q18) 台風中心位置の表現で、GOOD、FAIR、POORの日本語訳を言え。
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- Q19) 台風中心位置の表現でFAIRの上下限の数値を海里で答えよ。
気象庁のサイトで確認すると次のように記載されている。
・正確(GOOD) 概ね60km(30海里)以下
・ほぼ正確(FAIR) 概ね60km(30海里)超 概ね110km(60海里)以下
・不確実(POOR) 概ね110km(60海里)超
- Q19) 台風中心位置の表現でFAIRの上下限の数値を海里で答えよ。
- Q20) 暴風域と暴風警戒域の違いを説明せよ。
暴風域は現在の状況で、暴風警戒域は今後の予想範囲をいう。気象庁の解説によると、暴風域は「台風の周辺で、平均風速が25m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域。通常、その範囲を円で示す」暴風警戒域は「台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域」
- Q21) 3日先予報で暴風警戒域がなく予報円しか表示されていないのは、何を意味しているか。
3日後に暴風警戒域がなくなる予想である。
- Q22) 「台風が室戸岬に接近した」とき室戸岬から台風までの距離は何キロメートルか。
『接近』とは、台風が、室戸岬の半径300km以内の域内に入ったことを意味する。
- Q23) 台風の通過に伴って風向が時計回りの変化をしたとき、台風はこの地点の右側を通過したか左側か。
『台風の左に立てば左巻き』の呪文で覚えておこう。
- Q24) 台風が上陸して急激に衰退する理由を二つ述べよ。
地上の摩擦力と、海からの水蒸気補給の遮断
- Q25) 台風通過のとき、台風の東側(右側)では西側(左側)よりも風が強い、その理由は。
東側では台風本来の低気圧性循環による回転の風に移動速度が加わり風速が大きくなる。逆に、西側では、移動速度の分が相殺されて風速が小さくなる。
例えば、風速68ノットの強い台風が15ノットで移動してる場合、
東側では68+15=83ノットになるが、
西側では68-15=53ノットになる計算だから、けっこう馬鹿にならない差がつく。
- Q26) 台風が近づいて大しけになりそうだ、では波高はどのくらいだろうか。
大しけの定義は、波高が6m超~9m以下の範囲である。
しけは4m超~6m以下、猛烈なしけは9m超。
しけの波高の覚え方の呪文→しけでコロコロ
- Q27) 台風が伊勢湾付近で停滞しているとき、遠州灘と熊野灘では、どちらの潮位がより高くなるか。
下図のように、熊野灘では岸から離れるように風が吹くが、遠州灘では海水が陸地に押し寄せるように風が吹くので、吹き寄せ効果がはたらいて、潮位が高くなる恐れがある。
- Q28) 台風の強風域がなくなることを温帯低気圧化という。
間違い。
強風域がなくなるだけなら、弱い熱帯低気圧に変わるだけで、温帯低気圧の定義とは違う。
温帯低気圧は寒気と暖気の気温傾度が大きいことが条件なので、気温が同心円状にほぼ均一であれば熱帯低気圧のままだ。 - 台風の雲は強い上昇流によって発達するので、下降流といわれると意外な気がするが、Q13)の台風構造の断面図にあるように、中心部の眼の中では下降流になっている。
- Q30) 台風の南側に、乾燥域が出来つつあるが、これは何の前兆か。
熱帯からはるばる北上してきた暖かく湿った風の渦巻きの中に、温帯の冷たい空気(乾燥域)が入り込んで、温度傾度が大きくなる動きなので、温帯低気圧化の前兆である。